ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




精工舎南館。墨田区太平4-1。左:1992(平成4)年4月26日、右:2002(平成14)年1月3日

精工舎の敷地の南側、錦糸公園の側に中央館と南館が建っていたが、その東の方が南館。『東京建築回顧録』(読売新聞社編、読売新聞社、1988年)によると、昭和9年に第二懐中時計工場として完成した建物。航空写真を見ると、大きさは昭和3年に建った東館(懐中時計工場)と同じで、両者とも中庭を2つもつ「日」の字形の平面。ファサードは少し異なるが構造は同一なのかもしれない。
「懐中時計工場」というからには、当時は腕時計より懐中時計のほうを多く製造していたのだろう。腕時計が普及するのは戦後のことなのだろうか?
『TIMEKEEPER> 精工舎・服部時計店』に、「精工舎が昭和8年7月に作成したと考えられる資料」が掲載されている。それによると、昭和8年の生産高は「1.懐中時計(腕時計を含む)=45万個、2.掛置時計=95万個、3.懐中時計側、艦船用時計、蓄音機等」。従業員数は「職員=83人、男工=1,696人、女工=731人」。第三期拡張工事(南館)が昭和8年末に完成見込み、としており、そうなると生産量も5割アップということになりそうだ。



精工舎南館。2002(平成14)年1月3日



左:1992(平成4)年4月12日。右:1992(平成4)年4月12日

工場敷地の東側に資材や製品の搬入出荷口があり、製品倉庫もその横にある。上左写真の左の工場が南館、右は東館。



製品倉庫。1992(平成4)年4月12日

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