【 影響力を構成する要素 】について、分析してみると、【 影響力 = 専門性 × 播種力 × 刺突力 × 残留力
】という方程式が成り立つのではないかということ。
有吉佐和子さんは環境問題の専門家ではありませんでしたが、この連載にあたり、10年にわたって300冊の関連書籍に目を通し、何十人という専門家から話を聞いたそうです。
つまり、当然それを専門とする学者さんには及ばぬでしょうけれども、「一定レベル以上の専門知識」を身につけていたであろうと思われます。
次に、こうして学んだ知識や思いが巨大全国紙というメディアを通して、たくさんの人に伝達されました。
新聞の連載小説という形式で、圧倒的多数の人の心に「播種(はしゅ=種を蒔くこと)」されたことになるでしょう。
しかも、ただ種がばらまかれただけでなく、インパクトのある「複合汚染」というタイトルやタイトル負けせぬショッキングな内容でありましたからぐさりと人の心に突き刺さりました。
メッセージに「刺突力」があったといえましょう。
このようにして突き刺されたメッセージは、その場限りですぐに忘れ去られることなく、記憶の中に残留しつづけるという「残留力」をも持ち合わせていたがゆえに、今に至るまで、さまざまな影響を及ぼしえたそんな風に思われるのです。
以上をまとめると、【
影響力 = 専門性 × 播種力 × 刺突力 × 残留力
】ということになります。
右側の要素を「相加的(累積的)ではなく、相乗的(かけ算的)」に組み合わさった合計が社会に及ぼす影響力となるのです。
とするならば、どれだけ高い専門性を持った人であってもあとの3つが欠けていたら、他者に大きな影響を与えることはできないでしょう。
(身内といえる、ごくごく一部の人以外には広がらないのです)
同様に、メッセージをどれだけ多くの人の目に触れさせることができたとしても当該分野における専門性や刺突力あるいは、刺した後、抜けずに留まれる力が伴わなければ、他の人に大した影響を与えられません。(目に触れさせても、あっという間に忘れ去られるから同じく広がりません)
※有限会社セカンドステージ(鮒谷周史代表)平成進化論から一部抜粋