龍の声

龍の声は、天の声

「南支那海での振る舞いを侵略と呼ばない媚中報道の罪」

2016-03-29 23:42:57 | 日本

永山英樹さん(台湾研究フォーラム会長)が「南支那海での振る舞いを侵略と呼ばない媚中報道の罪」と題して掲載している。
以下、要約きす。



ニュースに関する読者の疑問に記者が応える毎日新聞の「なるほドリ」欄。十二月二十一日のテーマは「南シナ海問題 日本どうするの?」。

中国は南シナ海のほぼ全体の領有権を主張しており、南沙(英語名・スプラトリー)諸島で岩礁を一方的に埋め立てて「人工島」建設を進めました。これに対し、米国は10月、イージス駆逐艦を人工島の12カイリ(約22キロ)内に派遣しました。中国が人工島の「領海」だと主張できる12カイリ以内にあえて派遣することで、中国の主張を受け入れず、埋め立てを認めない姿勢を示しました。「航行の自由」作戦と呼び、当面継続する方針である。

Q:記者はまず、このように南支那海での米中対立の状況を紹介した上で、「日本はどうするの?」との読者の質問に対し、次のように説明する。

A:安倍晋三首相は11月のオバマ米大統領との会談で作戦支持を明言し、南シナ海での自衛隊の活動について「情勢が日本の安全保障環境に与える影響を注視しつつ検討する」と伝えた。

Q:「自衛隊を南シナ海に派遣するの?」との問いに対しては、

A:具体的な計画はない。米軍側からは継続的に海域をパトロールする警戒監視活動への参加を期待されているが、現状ではそちらに部隊を割く余裕はない。沖縄県・尖閣諸島がある東シナ海の監視や、アフリカ・ソマリア沖に海賊対処として艦船などを派遣しているからである。また南シナ海は遠く離れており、給油ができる拠点がなければ十分な活動はできず、防衛省幹部も「現実的ではない」と否定的。ただ、首相は将来的な活動の可能性までは否定しておらず、政権の判断次第といえる。

Q:「安全保障関連法が成立して自衛隊の活動が拡大したんじゃないの?」との質問には、

A:具体的な計画はない。米軍側からは継続的に海域をパトロールする警戒監視活動への参加を期待されているが、現状ではそちらに部隊を割く余裕はない。沖縄県・尖閣諸島がある東シナ海の監視や、アフリカ・ソマリア沖に海賊対処として艦船などを派遣しているからである。また南シナ海は遠く離れており、給油ができる拠点がなければ十分な活動はできず、防衛省幹部も「現実的ではない」と否定的である。ただ、首相は将来的な活動の可能性までは否定しておらず、政権の判断次第といえる。


このような説明に、「日本までがプレゼンスをします必要はあるのか」「米中対立問題に日本まで関与する必要はない」「すべては安倍政権の『判断次第』。安倍さえいなければ」といった声が、読者の間から聞こえてきそうだ。安全保障関連法への反対の声がそうだったように。


◎国民を平和ボケさせるメディア

そうした一国平和主義者達の特徴は、中国の脅威を見て見ぬ振りをすること。そうすれば日本は安泰でいられると思い込んでいる(思い込みたがっている)ようだが、そもそもそうした思潮を作り上げた元凶の一つが、中国の寛大な(中国に迎合した)毎日新聞を含むマスメディアである。

これらが拡大一方の中国の脅威の深刻さを明確に伝えていないため、国民はいつまで経っても平和ボケから覚醒できないでいるのだ。

南シナ海・スプラトリー(中国名・南沙)諸島のファイアリークロス(中国名・永暑)礁を埋め立てて建設した飛行場で、着陸した中国の航空機の前で記念写真に納まる関係者ら=1月6日

では中国の脅威の「深刻さ」をいかに報じればいいのか。実はこれは簡単なことである。

たとえば今回の「なるほドリ」は「中国は南シナ海のほぼ全体の領有権を主張しており」とは伝えているが、それに加えて「領有権の主張」は虚偽であることを国際法の観点(歴史的経緯も含め)から解説すればいい。

そして「岩礁を一方的に埋め立てて『人工島』建設を進めました」との説明で終わるのでなく、それがアジア全体の平和を脅かす危険で不法な領土拡張、侵略の動きだと指摘すればいいのである。

そのようにすれば読者は、より問題の深刻さを理解することができることだろう。

中国の島の接収の不当性を指摘しなければ意味なし

もっとも毎日新聞は、実はそうしたことをまったくやっていないわけではない。

十一月二十五日に掲載のコラム「木語」は次のように書き、中国が南支那海の島々の領有宣言を行ったのは戦後のことであると伝えている。

中国が「南沙」の実測地図を作ったのは戦後、1947年以後だ。蒋介石政権が日本軍の占領していたパラセル(中国名・西沙)諸島や、日本領「新南群島」(スプラトリーの日本名)に軍艦を派遣して接収した。初めてこの地の島々を測量して南沙と命名した。主要な島には軍艦の名前から「太平島」「中業島」など中国名をつけた。このころ、南シナ海全域に「十一段線」(後に九段線)という線引きをして領有宣言した。
これであれば、中国側の「南海諸島(パラセル、スプラトリー諸島など)は古来中国領土であり、先祖が残したものであり、いかなる者であれ中国の主権や関連権益を犯そうとしても中国人民は承諾しない」(習近平主席)といった類の主張に対する反論にはなりに得る。

しかし、それでもまだ不十分なのだ。戦後の中国による「接収」が領有権の根拠たり得ないことを書かなければ、何の意味もないのである。
中国はもちろん「接収」は合法だと主張する。たとえば王毅外交部長は次のように説明する。

「中国はカイロ宣言、ポツダム宣言を根拠に、日本に不法に占領された南沙、西沙諸島を回収した」

要するに日本は「中国から盗取した領土を返還すべし」と謳うカイロ宣言の履行をポツダム宣言の受諾を通じて誓約したことで、これらの島々は中国領土に復帰したと、いう国際法上の主張である。

中国は台湾についても全く同じ主張をしているわけだが、しかしいずれも捏造宣伝だ。

事実を言えば日本は、スプラトリー諸島にしても台湾にしても、中国へは「返還」(割譲)していないのだ。実際には一九五二年に発効のサンフランシスコ講和条約に基づいてそれらを放棄しただけであり、その後の新たな帰属先は確定されなかったのである。

マスメディアは、この事実を明確にすればいいのである。ただそれだけで中国の「主張」は完全な作り話であることが実証されよう。

しかし、日本のメディアはそれができないのである。

なぜなら中国は、台湾とともに南支那海もまた「核心的利益」だと位置付け、それら問題に各国が容喙することを断じて許さない構えだ。そのような中国の怒りを恐れる日本メディアは、従来台湾に対してそうだったように、南支那海の島々についても「中国の領土ではない」と明言できないのだろう。

日本の過去の戦争については、自衛戦争という側面を無視して「侵略」と断罪したがるメディアだが、中国が現実に行っている領土拡張の動きに対しては、以上のような理由で「侵略」と報じないのだから有害極まりない。









最新の画像もっと見る