龍の声

龍の声は、天の声

「陰陽五行説とは、①」

2014-09-26 07:38:50 | 日本

「陰陽五行説」について、以下、3回にわたり学ぶ。



東洋医学では自然の現象を長い間の観察より5つの事象に分類して物事を考えてきた。
この陰陽五行説は、太陽と月を象徴とする陰陽論と、五つの元素(木火土金水・もっかどごんすい)を根本とする五行説との組み合わせであり、中国の戦国時代(紀元前5~3世紀)に誕生した。日本には紀元6世紀の大和朝廷の頃に儒教や仏教と共に伝来した。暦、天文、地理、兵法、医療、占いなどの原理とされ、特に天武天皇は「五行説を重視し陰陽寮と呼ばれる機関を設立し研究した。

陰陽の考え方は、相反する性質を有する2つの気が相互に影響するものとして分類された。

五行は循環して泊まるところのない「木火土金水」を万物創世紀の元素と考えた。
木から火を生み、火によって土(灰)を生み出し、土から金を生み(採掘され)、金から水を生み出し(金属に水滴がつきやすく)、水から木を生ずるような関係を相生(そうせい)といい、それぞれが相手を生み出す循環の関係であり、1つでも欠けると全てに影響を及ぼすとされた。
また、木は土の養分を吸い取り、土は堤防となり水をせき止め、水は火を消し、火は金(金属)を溶かし、金は(金属の)釜で木を切り倒すと言う、相手を害する関係を相剋(そうこく)と言う。

以降に述べるのは、漢方における陰陽五行説である。





【1】五蔵の病気の特徴

・肝臓に傷害のある方は、顏色が青く、眼光に異様な光があって、目がつり上がっていたり、怒りっぽい性格で、酸っぱいものを好む。又、春になると病気が悪くなったりする。

・心臓に病気の素因があるものは、赤ら顔で、舌がもつれて言葉尻がはっきりせず、性格は陽氣でよく笑い、苦みのあるものを好み、病気は夏に属する。平素陽気で多血質なひとが突然心臓麻痺や脳溢血などの循環器系の疾患を患ってしまうことがある。

・脾(胃腸)が弱かったり、傷害がある人は、顏色は黄色を帯びている。日頃より物事を思い過す性格だが、よく物忘れをする。唇が厚く時々熱っぽく腫れたりする。甘い味が好きで、病気は四季の土用に属し、俗にいう季節の変わり目(季節と季節の変わり目の18日間)に体調を崩しやすい。

・肺に故障のある人は、顏色が白く(蒼白で)、常に憂いがちな性質である。ビリ辛い味が好きで、皮膚が弱い。病気は秋に属すので、秋口に呼吸器病が悪化する。

・腎臓に病気があると、顏色は黒く、性格は神経質であったり、臆病であったりする。耳の異常を起こしやすく、塩辛い味(しょっぱい味)が好きで、冷え性(特に足腰)である。病気は冬に属すので、冬になると膀胱炎を起こしやすかったりする。





【2】五臓(肝心脾肺腎)のはたらき


◎体の臓器、五臓の分類
・肝臓=木
・心臓=火
・脾臓=土
・肺臓=金
・腎臓=金


◎この五行象意の相性
・肝臓は心臓を生む。
・心臓は脾臓を生む。
・脾臓は肺臓を生む。
・肺臓は腎臓を生む。



【肝の働き】

◎「肝」の働き ⇒「木」

・木の行に属するものは、木などの植物が地(陰)から出て天(陽)に向って伸びていき枝葉を広げるという様な性質を持つ。物事を伸びやかにさせるのが「木」の気である。
方角は東、季節は春、一日のうちでは朝という様に物事の始まり、そして動的な方向に進んでいく様を表す。

・肝は将軍の官
外敵<病邪>を防ぐ一切の思慮、計謀を司る。

・肝は疎泄を主る
新陳代謝を行う。

・肝は血を蔵す
血を貯蔵して体の血量を調整して、全身に栄養を供給する。

・肝は筋を主る
筋の緊張と筋の運動を維持する。

・肝は目に開竅し(目眩や目病)、その華は爪にある(爪の病変)
肝は血を受けてよく視るといい、かすみ目、めまい、眼の乾燥、夜盲症などは肝の異常と関わりがある。また肝以外では特に心、腎と深い関係がある。肝の血が不足すると、爪が柔らかく厚みが薄くなり、色が淡白となってツヤが無くなる。

・精神活動を安定させる
官は思惟の中心で、思考思索をめぐらす。肝気が弱くなると思惟活動が鈍り、ぼんやりし、無気力になる。
 
・肝臓と腎臓は片方だけが悪くなることは少なく、病気が永引けば肝の影響が腎に及んで両方共に弱り(相生関係という)、また肝の働きが弱まりはやがて脾の働きにも影響して弱まってくる。(相剋関係)


◎肝気の異常

・肝臓は精神作用の内の「魂」を主宰すると定められている。「魂」という字は気魂、精魂という語に示されるように、努力、鋭敏、果断、周到、整頓など心的作用のうちの積極的な良い方面を代表する。物事をはじめたら徹底的にやらねば気が済まない、すべてを几帳面に整頓する性格である等がこれに当たる。そこで肝臓機能が異常に亢進していると、これらの特性を極端に発揮する肝症病みになる。反対に肝気が衰えている人は、この方面の精神能力が欠如している。

・「百病は気より生ず」と言うように、体内の故障を真っ先に反映するものは気分である。肝臓病者の精神について著しい者は「怒」および感情の興奮である。当然睡眠と深く関わってくる。

・人が寝る時は血は肝に藏まるのだが、肝実質の傷害で納まるべき血が妨げられることになると不眠が生じてくる。これは言葉を換えると「肝が昴ぶる」という状態である。

煩驚、易驚、恐怖、驚恐、驚狂、易怒、多怒、粗暴、怒悲、焦燥、いらいら、不眠、気欝、ノイローゼ、血の道、感情不安定、神経過敏、譫語、狂躁、癇症、顏色蒼白
 

◎筋緊張の亢進

・「肝は筋を主る」とは肝が肉体的に関係するところを意味する。筋とは主に筋肉のことである。その主な病変は攣急という筋の硬直や痙攣性諸疾患は肝臓の病気とされる。

肩こり、腹直筋の緊張、筋の痙攣(こむら返り)、諸々の痙攣症状(胃痙攣、痙攣性の咳)など
 

◎解毒機能の低下
・腺病質、炎症、化膿傾向、皮膚病、顔色浅黒い、皮膚暗褐色


◎肝によい食べ物
・桃、柿、梨、梅、ブドウ、イチゴ、バナナ、ソーダ水、小松菜、大根、スイカ、キュウリ、酢、寿司