コロナ禍が一息した山形に、先週、銀山温泉と肘折温泉とを訪づれました。戦前の風情の旅館群が並ぶ2つの温泉地。しかし違いがあります。銀山温泉は大正ロマンをウリにした風格のある温泉地。いささかケバイのではという批判はあるにしても、多くの訪問客が訪れていました。他方の肘折温泉はひっそりとしており、名物の朝市の人出もそこそこでした。
そんな肘折の夜に、旅館主や観光学の教員たちと酒を交わす場があり、そこに参加した時のことです。「銀山の大正ロマンの向こうを張って肘折は昭和レトロとし、2つが連携して観光客誘致を図ってはどうか」。私の小さなこの発言に旅館主たちからは反論が。
「銀山温泉とウチは違います、肘折温泉は極力、街をあるがままとしておきたいのです」。
大分の別府温泉のケバサに反発して静かな温泉町を形成した湯布院。そんな対比イメージを持っていたのかもしれません。しかしあるがままとは言いながら、肘折温泉の、放置されたかのような裏通りの雑然さ等には首をかしげます。温泉地には、せめて「薄化粧」や「寝化粧」は欠かせないもの。寝しなに入った老舗旅館の湯殿で天井を見あげつつ、そう思うことしきりの肘折でした。
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