嶋津隆文オフィシャルブログ

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『骨まで愛して』…お盆に季節に思う人間の業

2013年08月10日 | Weblog

写真:「渥美半島」

幼なじみの友人の奥さんが逝きました。先日葬儀がもたれたのですが、近所の人は大いに戸惑いました。

というのはその人がエホバの証人に属していたからです。エホバは輸血を拒否することで知られていますが、葬儀についても火葬だけを行い、それ以外の仕切りはないのです。彼女も遺骨へのこだわりはなかったといいます。

旧来からの仏教による通夜、読経、葬儀、火葬、納骨といった一連の流れが、生活の一部そのものになっているこの地の人たちにとって、葬送のない別れにさすがに困惑したようです。

幼なじみの友人は、それでもと気持ちを切り替え、少しのお骨をつぼに入れて帰り、こうしみじみ言っていました。「自分はよく登りに行く山があります。その山の樹木の下にこの骨を埋めてやります」と。

そういえば信州の友人が数年前に妻を亡くしたおり、お骨を墓に入れるのは忍びないと、その骨を粉状にしてガラスのつぼに入れて部屋の中に置いていました。そのガラスのつぼの真っ白な光沢に、彼の妻への愛情を感じる一方、確実に戸惑いを憶えたものでした。

昭和40年代初めに城卓矢の『骨まで愛して』という歌が流行ったことがありました。子供心に痛切なギャグではないかと笑っていたものの、この歳になると、人間の業の強いリアリティを感じない訳にはいかないというものです。


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