写真:「流された家庭を想起させるガスボンベ群(女川町)本人撮影」
昨日(29日)、やっと震災の復興基本方針が政府決定されました。過日訪れた石巻や女川で見た街の惨状や、避難所で力なく横たわっていた人々の表情が脳裏から消えないだけに、少しホッとしたところです。
と、書きたいところですが、激しい不安と不満を持たずにはおれません。計画というものには絶対に欠かせない要素があります。おカネと時間です。すなわち実現性の担保です。行政に関わった者なら、誰もが知るイロハのイです。ところが今次の基本方針には、この財源とスケジュールが極めて曖昧になっているのです。
執行部案の「復興財源は基幹税を中心とした増税で」というのが「税制措置は基幹税などを多角的に検討する」となり、「復興債の償還期間を原則5年」というのが「償還期限は今後検討する」となりました。
民主党の中での反発が強かったためです。マニフェストが破たんしながら、未だにその経文にしがみつく硬直した党員たちの、声高な批判に執行部がずぶずぶの妥協をしたのです。しかも一か月前の税と社会保障の一体的改革案と同様、閣議決定も行われませんでした。
きちっとした裏付けのないプランは必ず崩れてしまうものです。財源もスケジュールも曖昧、決定の仕方の曖昧というのですから、誰もがその本気度を疑うのは当然でしょう。それほどまでに与党は混乱し、政権は迷走しているということです。実に怖いことです。