嶋津隆文オフィシャルブログ

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鶴岡の町並み、村上の町づくりに感銘

2009年09月24日 | Weblog

写真:映画「蝉しぐれ」の舞台・丙申堂 本人撮影

5連休の前半は東北から上越を巡りました。秋田県の横手市で、B級グルメ全国大会が開催され、その視察に行ったのが直接の目的です。来年の9月には厚木市でこの全国大会が持たれるだけに、その事前調査という含みもありました。

その帰り道、せっかくの機会でもあり、一度はぜひ行ってみたいと思っていた町並み自治体の踏破を思いつきました。宿泊した湯沢から出発し、山形は金山町、酒田、鶴岡、そして新潟の村上、長岡と欲深に足をのばしてみたのです。新車のインサイトは快適で、窓から入る風も涼しく、それに加えやはり高速の1000円がさらに気持ちを大きくしたようです。

鶴岡の町並みは秀逸でした。鶴岡城址の松林も、藩校のたたずまいも、鳥海山や羽黒の山々の遠景も、何とも人の心を落ち着かせるものがありました。藤沢周平のふるさとであり、映画にもなった「蝉しぐれ」の舞台の地です。ふくと文四郎が別れを惜しむ旧家「丙申堂」の小部屋は、藤沢周平が描く日本人の心の細やかさが凝縮されており、またこの北国の凛とした城下町の心意気を包み込んでいるように思われたものです。

こうした「耐える」という日本人の精神構造を感じるとき、鶴岡の一角にある南岳寺という小寺に自ずと足が向きました。明治の初めに即身仏となった和尚が安置されていると聞いたからです。「即身仏とミイラとは全然違うのですよ」、と寺の人は静かに説明してくれました。「即身仏の場合は、死後腐敗しないような身体にするため、死の数年前から自ら食物を抑え身体を鍛錬していくのです。ですから大変な精神力が求められるのです」と。

その強烈な言葉に動揺しながら訪れた村上のまちで、もう一つ強烈な出来事に出くわすこととなりました。ここ10年、衰退しがちなこの小城下町の振興を図るとして、町屋をいかした町づくりを進めてきた村上商人会のキーマン吉川真嗣さんの体験談を聞いたことです。

新参者として地元の反発を受けながらも、町屋の伝統を生かした人形さま祭りや屏風祭り、町並みを黒塀で囲む黒塀プロジェクトといった、アイディアを次々と打ち出してきた人物。その地元振興にかける精神力に、圧倒されてしまったのです。鶴岡の町並みと比べ、風情において劣っている村上界隈ではあります。しかし近い将来、確実にこの町は観光まちづくりの伝説の地となると思わせる気迫が、この観光カリスマにはありました。

歴史と風物を大切にするみちのくと北国の町々への旅。各地で予想もせぬ感銘を受け、それだけに庄内平野や新潟平野に広がる黄金色の稲穂に劣らぬ収穫があったと納得したものでした。


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