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第030話 コーライを革命する力を!

2021-07-29 08:48:06 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第三十話

アツイ夜の一件以来、コーライ社会では、反パーク・シネ政権の気運が高まる一方、従来なら、暴動などで発散される反政府活動が、むしろ鎮静化する傾向があった。
公安関係者は、不気味に感じていた。
一方、大企業の労働者を中心に、労働組合の結成が相次いでいた。どういうわけか(もちろんムーンの不作為な仕込みではある)、ちょうど労働の基本法が最低労働賃金の法案の際に整備され、この世界では先進的な労働者の権利保護を含んでいたので、労働組合を不法な結社として、取り締まるのが憚られた。
法律を作った者達には、労働組合ができるとどうなるかということまでは想像の埒外だったので、すんなり通してしまったことも幸いした。

ストライキ・ピケット・団体交渉などの組織化が進み、労働者の権利を勝ち取るという今までにない成功体験を平民が経験することになった。会社単位では個別撃破されるので、業種ごとのユニオンを組み、更なる上位組織まで組むに至っては、公安関係者もなにか危ないものを感じ、厳重監視対象に加えることになったが遵法闘争の形態を取っているうちは、なかなか手を出すには至れなかった。
労働組合を母体に、平民の間で広く政治活動にまで手を広げる素地ができあがっていった。

しかし、安易な行動は体制側につけ込まれて潰されるという(金曜日の酒場の賢者の)助言により、小規模な政治デモ・暴動などは抑制され、静かに力を貯めていった。組織力の涵養は、合法的な労働争議を通して行われた。
平民の不満というものは一揆のような頭の悪い暴動で発露されるという古い考え方しか持っていない体制側の公安関係者は、法律のギリギリを攻めるような狡猾やり口に変貌したことに対応できていなかった。

労働者達の雑談
「しかし、こんなに労働組合というのが強いとは思わなかった。」
「今までの苦労は何だったんだろうと思うくらいだ。」

「まるで労働組合のために出来たとしか思えない労働基本法がちょうど先だって成立していたのが大きいなあ。」
「あの最低賃金というやつは評判悪いらしいが、賃金交渉の権利が保障されたのは怪我の功名というヤツだろう。」

「”ねだるな。勝ち取れ。さすれば与えられん”か…」
「あ、俺もそれ聞いたことある、酒場の賢者の格言だよな。」

「”燃やせ、奪え、とか、取られたものは取り戻せ!”という過激なのもあったぜ。」
「燃やすって何だよw。その辺のものを燃やしたら放火の罪で捕まるいい名目ができてしまうだろう!」
「そういえばそうだな。なんでも、賢者様の説話では、ローソクというのを燃やしたらしいぜ。」
「ローソクって、あの特殊なプレイに使うヤツだろ?なんで?」
「さあ、よくわからんが、手を出したら、この火を街に放つぞって脅しなのかもな」
「取り締まろうとしても、一揆とかの夜襲で使われる、あからさまな松明とかじゃなくて、”高度に趣味的で文明的な照明器具です”って言い張れるところが良いんだろう」
「えげつねえなあw賢者の智恵ってヤツかw」
「さっそく、ローソクを揃えようぜ。しかし、ローソクなんてどこで手に入るんだろう…。」

この世界の灯りは、煤は出ずロウもたれない魔法道具が担っており、薪や焚き火は安い魔道具のひとつも買えない貧困者の象徴であった。
首都ウルソの繁華街には街灯も整備されており、夜に松明を持ってスラム以外の街を練り歩こうものなら不審者として取り締まられても文句は言えなかった。

ローソクは垂れるロウを使った極めて特殊なプレイにしか使われておらず、低温ローソクは比較的高価なものだった。魔導ランプの方がランニングコストを考えたらよほど安く、貧乏人がわざわざ購入するものでは無い。
そんな特殊な需要しかないローソクの突然の大量発注を受けたウルソの街の「大人のおもちゃ屋さん」は腰を抜かした。
その生産産業はコーライにはなく、「Hentaiの国」として名高いモトヒノに輸入を全て頼っていた。
趣味人に向けて贅をこらした高品質の低温ロウソク(造形に拘ったり、媚薬を練り込んだりと職人さんの工夫が光る)を製作していた数少ないモトヒノのローソク職人が、他国の労働者のために昼夜を問わないブラック労働でフル生産に勤しむことになった。

来るべきK(コーライ・革命・賢者・金曜日…あとなんだろう、なにかKのつく単語があった気がするが思い出せない…)-dayの為の準備が水面下で進められていた。



2 コメント

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Unknown (匿名リサーチ)
2021-07-31 10:15:05
先生が敢えて避けられた単語は、金爆(誤変換)か館長(誤変換)と想像しました。
Unknown (ryouchin)
2021-07-31 19:03:21
なるほど。それもありましたね。だけどもっとあったような気が…。

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