寓話の部屋

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Mと愉快な仲間達2 裏山しのロケット

2021-07-05 09:12:18 | 召喚大統領が異世界を逝く!

信じられないことに比較的に穏当に開発の進みそうなプロペラ機の開発の一方、ジェットエンジンの方は道程、遙か遠くといった感であった。
まずは燃料に最適な油を探すことから始まった。
ミスターMが「クリーンバイオ燃料で自動車も飛行機も動いていたニダ!」という適当な発言をしたためにエクストラヴァージンオリーブオイルやナタネ油や松根油、地溝油、人髪醤油などの様々な植物・動物性油を試し全滅。
無事、暗礁に乗り上げた。
次は鉱物油を入手し、実験が続けられたが、そもそも便利すぎる魔動機があるために外燃機関・内燃機関が発達していないこの世界では、混合気という概念の理解から始めないといけないのだ。
一足飛びにジェットエンジンを開発しようというのにはかなり無理がある。

航空力学的には順調なプロペラ機の開発だったが、どうしても、不安の残る要素があった。
魔動飛行機の燃料タンクに相当する魔力槽の性能が足りなさすぎる。
ヘリコプターは、まだ垂直離着陸が出来るため、たとえ多少航続距離が短くても空間機動を提供するプラットフォームとしての生きる道はありかなと考えられていた。
その点、プロペラ式飛行機は離陸・着陸というプロセスにも削られ滞空時間が短すぎる。
ミスターMによると、ジェットエンジンなら、その問題は解決できるという(レシプロエンジンでもいいじゃんとは思うが、まったく知らないのでトンチンカンなアドバイスw)。
ちなみに、ミスターMの国がジェットエンジンを自主開発できたという事実は無かったが、たぶんロケットエンジンと混同していた。
一時間にも遙かに満たない燃焼時間で済むロケットエンジンと、構造が複雑で何千時間もの稼働時間を維持しなくてはいけない航空機用のジェットエンジンでは難易度が違いすぎるのだが、素人のムーンは、「宇宙まで飛べるロケットエンジンの方が高級で、ロケットエンジンを開発できる我が国がジェットエンジンを作れなかったわけがない。隣の国は戦闘機用のエンジン作っていたし…」とか実に素人にありがちな誤解をしていたのだった。

「そういえばこの世界でもロケット(化学式噴進弾)はあるニカ?」

無煙火薬の開発の最中で発見された燃焼速度の遅い・燃焼時間の長い火薬を応用して、低圧で発射できる利点を生かした多連装の面制圧兵器から実用化された。
これは非装甲目標に絶大な効力を発揮し、「代理戦争」時代に猛威を振るった。(発明された当初の「大洋戦争」の時代の戦場は縦深が浅くて、対潜ロケット程度にしか活用されず。)
発展して、大型弾頭の弾道ミサイルも開発はされたのだが、コストの割に実に悲惨な命中精度であり、投機的な兵器の性格が否めなかった。
相手国が先進国でどの町に落ちようが政治的目的を達せられるとか特殊な政治的状況や、弾頭に化学兵器を搭載するなどの、化学兵器使用に対する国際的非難をものともしない政体などの特殊条件(北とダイシン帝國側のみが当てはまる)が無ければ、本気で開発する価値は無いものと見なされていた。(核弾頭でもあればまた違ったんでしょうねえ・・・。)

「弾道ミサイルが当たらないのは、測位システムが無いからニダ!」
ムーンにしては、妙に詳しい、実に的を射た指摘をしたのだ。
というのもレームダック化した任期後期にK国型測位システムのための衛星を打ち上げるという気宇壮大な計画があったのを覚えていたからだった。隣の国が持ってるのにウリ達が持っていないのはおかしい!!
しかし、完全自国製ロケットwでの衛星打ち上げ成功例が1回しかなく、おそらく他所の国のロケットに打ち上げを発注することになったであろう事業に、なぜそこまでホルホルできたのかはいつものことなのでケンチャナヨ。

技術者E
「なるほど!して、その測位システムとやらはどうやって実現するのですか?!」

ミスターM
「それは、宇宙ロケットで測位衛星をいくつも打ち上げて…」

技術者一同
「いや、だから、今、我々のロケット技術が原始的って腐されたばかりですよね…。」

しかし、「宇宙ロケット」という概念は、確実に技術者達の少年の心に火を付けたのであった。

「今回は、雑談のみで実用性のあるものは作られなかったので爆発は無いニダよ。チェソンハムニダ。」


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