遊煩悩林

住職のつぶやき

何を学ぶのかを明らかにせよ

2010年04月04日 | ブログ

4月2日、春の法要にバス2台で団体参拝しました。
全戦没者追弔法会に参拝して、午後は阿弥陀堂にスライドされた素屋根を視察しました。素屋根視察は常照寺のホームページに写真を掲載しています。http://www17.ocn.ne.jp/~jyosyoji/events/goenki.html

「往生をねがうしるし 世をいとうしるし -歴史の闇に人を訪ねて-」というテーマで勤められた今年の全戦没者追弔法会は「大逆事件」からちょうど100年を迎えて、無実の罪で死刑判決を受けた高木顕明という一人の大谷派の僧侶に焦点があてられていました。
東本願寺の参拝接待所ギャラリーでは「非戦・平和展」が法会と同様のテーマで開催され、大逆事件をテーマにした展示のほか、非戦と平等の願いに生きた人びとをたずねる展示がされていました。

高木顕明と大逆事件についてはコチラ
真宗大谷派浄泉寺http://www1.ocn.ne.jp/~jyosenji/index.html

全戦没者追弔法会では、泉恵機元大谷大学教授から「『国家仏教』の闇を照らすもの」と題した記念講演があり、死刑判決を受けた高木顕明に触れて「彼は明治天皇暗殺を計画したのではなく、真宗門徒は戦争に加担するものではないと語っていたのです」「判決後、大谷派は彼の僧籍を奪い、寺から追い出し、やがて彼は獄死した」・・・。
また、昭和52年に起きた東本願寺大師堂爆破事件http://ja.wikipedia.org/に触れて、今回の御修復で、あの爆発の痕まで修復されてしまったのではないかと思っていたが、そのままになっていて安心したと言っていました。
「闇の土蜘蛛」を名のる人物が、大師堂(今の「御影堂」)を爆破して突きつけたのは「東本願寺はアイヌモシリ(アイヌの大地)の侵略者である」ということの自覚でした。
「開拓・開教」と称して行った侵略の歴史、また侵略戦争を「聖戦」と呼んで、仏の名のもとに多くの若者を戦場におくった歴史、そして仏の教えによってそれに「否」を唱えた僧侶を見捨ててきた歴史。いずれも「国家」に従い、仏の教えに背いてきた教団の歴史です。結果、朝鮮半島、中国、アジア諸国、そして北方の先住民の人びとにどれだけの苦しみと悲しみを生んだのか。
このような歴史から目を背けないこと。そしてその歴史から「何を学ぶのかを明らかにすること」それがこの法要の肝要であるとの講師のメッセージでした。そしてそれが、法会に参った者の勤めでありました。
全戦没者追弔法会は、戦死者の慰霊祭ではない。
慰霊して讃えようとする「国家」的な「世をいとう」と同時に、その世に従属する私を自覚し、自衛的で侵略的な「じぶん」の性質を知らしめてくださる仏さまに出会う「法会」ではないかといただきました。

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