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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・202『雪国・2』

2025-04-19 10:13:40 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
202『雪国・2』   




 雪国…………?


 川端康成はうる憶え、ノーベル賞の『雪国』もロコに言われて――あぁ、そんなのあったか――という程度。

 そのせいか、突然ワープしたそこは、深々(しんしん)と雪が降るだけの一面の雪原。

 ただ、ロクなもんじゃないという気持ちはあって、右の耳に手をかざす。

 シュッ! カキーーン!

 衝撃が二つ。

 前方から光の速度かと思うようなものが飛んできて、とっさに右耳の如意(高松塚で青さんからもらった武器)を取り出し、弾き返しながら左に移動!

 弾き返したそれは、ブーメランのようにクルクル回って20メートルほど先で目の高さに静止……あ……高松塚の宝剣!?

 宝剣に気づくと、それを中段に構えるユリアが実体化した。

「フフ、岬じゃ、これでクソババアの右腕を切り落とせたんだけどね……お前も力を付けたもんだ」

「その剣は高松塚の青さんが言っていた宝剣でしょ、さっさと返しなさいよ!」

「いやなこった。これは魔封じの宝剣、魔法少女にも有効だってことは、こないだの戦いで分かったからね。さっさと宝剣の錆になっておしまい!」

 ガキーン!

 剣が唸ると同時に衝撃、ユリアは剣を振りかぶると同時に距離を詰めてくる! わたしは、それを辛くもはじき返して、全速力で駆けるしかなかった。駆けて駆けて、ユリアとの位置を変えることだ。位置と距離が変われば、勝機が見えてくる。

 しかし、逃げても走っても、走っても躱しても、この雪国は延々と雪原が続く!

 カキーーン! ガキガキ! シュイ―ン! ガキーーン!

 打っては離れ、離れては打って、それを何べん繰り返しても、雪原は続いていく……この雪国って……なんなの!?

「ここは世界最大の雪国さ」

「世界最大の雪国?」

 シュイ―ン! ガキーーン!

「シベリアよ」

「シベリア!?」

 そうだ、ナースチャがシベリアという言葉に青くなっていた。

 カキーーン! ガキガキ!

「そうよ、シベリアというのは永遠の流刑地! 川端の雪国を知らないから、その言霊にシベリアを結び付けてあげたのよ、時司巡はここで果てるの、このソビエトのユリアの力に屈してね!!」

 ガキガキ! シュイ―ン! ガキーーン!

「くそ!」

 ユリアの打撃斬撃はことごとく躱せる……んだけど、こちらの打撃も届かない!

 シュイ―ン! ガキーーン! ガキガキ! カキーーン!

 ウウ……どうやら技能は互角。

 ガキーーン! ガキガキ!

 しかし、スタミナというか耐久力は、ユリアの方が勝っている。

 あの炎熱の万博でも涼しい顔でソ連のコンパニオンをやっていた。岬の戦いでも、戦艦石見やアキラの介入で敗退したとはいえ、わたしとお祖母ちゃんを相手にしつこく攻撃を加えて来た。

 このままじゃ、スタミナ負けしてしまう(-_-;)。

 シュイン! ズザザザザ!

 一撃を躱して、雪原を地上スレスレに飛んで逃げる。

 いっそ、急上昇して逃げようかという気持ちが起こる。地上スレスレでは、いつ地面に接触するか分からず、すごいストレス。

 でも、上昇すればユリアは下の方からも攻撃できて、逃げの姿勢でいる限りアドバンテージはユリアにある。

 ああ、視界の縁が暗くなってきた……ちょっとヤバイ、宝剣奪還どころじゃない。

 え?

 狭まった視野の端っこに三角のサンドイッチが見えてきた……なんでサンドイッチ? そうか、お祖母ちゃんは夕べのサラダをパンに挟んで三つも食べていた。年寄なのに、しっかり食べるんだとか思ってた。

 わたしは、いつものように生協のクロワッサンをコーヒー牛乳で流し込んだだけ。

 だから、サンドイッチの幻影。

 それは、よく見るとカステラみたいなパンの間にアンコが挟んである。

――食べて!――

 思念が飛び込んできて、口元までやってきたそいつをひとカブリ!


 シャララン彡☆彡☆


 星くずのエフェクトがしたかと思うと、公民館の結婚式場、そのスタッフ控室。

「間に合ったあ(;'∀')!」

 だれか抱き付いてきたと思ったら、巫女服のスセリビメ、いや、御神楽采女さん!

「た、助かった……んですよね?」

「そうよ、雪国のフレーズで引っ張られたのよ、あのロシア女に!」

「あ、ありがとうございます」

「わたしの力では、あそこまでは飛んでいけなかったから、あれで助けられたらって……うまくいってよかった!」

「あの、甘いサンドイッチはなんだったんですか?」

「シベリアよ」

「シベリア?」

「日本独自のサンドイッチ、さっきのはコシアンだったけど、羊羹を挟んであるのもあるっていうか、そっちが正統シベリアなんだけどね、とっさのことに間に合わなかった」

「あはは……なんかダジャレの世界ですね(^_^;)」

「駄洒落は言の葉、思いを籠めれば武器にも助け舟にもなるのよ」

「そうなんだ」

「宝剣は残念だったけど、また、なにか方策はあるでしょ」

「そうですね……て、あ、学校始まっちゃう!」

 ええと、宮之森行きのバスは……とっさに控室の時刻表。

「なに言ってんのよ、グッチの力ならひとっ飛びでしょ」

 え、あ、そうだった。

 そして、学校を念じると、あっという間に学校にワープ。

 いきなりクラスの自分の席にワープしたものだから、すぐ後ろのロコをビックリさせてしまった(^_^;)。

 

☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • ナースチャ             アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)
  • ユリア               ナースチャを狙う魔法少女
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ  戦艦石見(アリヨール)  藍(アオ、高松塚の采女)    
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 

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