大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・高安女子高生物語・49『大阪はどないなっとんねん!?』

2017-11-20 06:40:52 | 小説・2

高安女子高生物語・49
『大阪はどないなっとんねん!?』
     


「おーい、明日香とこの校長クビになったで!」

 お父さんの声で目が覚めた。

 パジャマ代わりのジャージで二階に下りると、お父さんが新聞を広げてた。
「このオッサン、たいがいやなあ……」

――またも民間人校長の不祥事! どうなる、大阪!?――

 見出しが三面で踊ってた。
 読んでみると、人事差別と人事権の恣意的な乱用。事故死した生徒・保護者への心ない対応。
 そんな副題のあとに、実名は伏せながら、関係者が読んだら、事細かに分かる内容が書いたった。

 再任用教諭の理由無き任用停止。元教諭、校長を提訴。

 あ、これは光元先生のこっちゃ。始業式で、光元先生は一身上の都合で退職しはったと聞かされてた。
 光元先生は、OGH高校の前身府立瓦屋町高校の時代からの先生。学校の生き字引みたいな先生で、卒業生やら保護者からの信任の厚い先生やった。佐渡君が亡くなったときも校長室で、なんか話してはったけど、うちら生徒には分からへんかった。
 新聞には「あの校長先生は、うちの子が死んだんを真剣に受け止めてもらえなかった」と、母親の言葉が書いたった。佐渡君は交通事故で、うちが救急車の中で見守ってるうちに死んでしもた。純然たる事故死。

 佐渡君は遺書を残してた。

 交通事故で遺書いうのは、なんか変や……読み進んでいくと分かった。

 佐渡君は、生きる気力を無くしてた。で、なにが原因かは分からへんけど死を予感して、遺書めいたものを書いてたらしい。
 お母さんは、それを生徒に公開して欲しいと頼んだらしいけど。校長は断った。で、全校集会で、ありきたりの「命の大切さ」「交通事故には気を付けよう」で、お茶を濁しよったのは記憶にも新しい。

 で、肝心の遺書は、新聞にも載ってなかった。府教委も内容を精査した上で、公開を検討……あほくさ。個人名が書いたったら、そこ伏せて公表したらええだけのこっちゃ。

 それから、佐渡君が死んで間もない日に、音楽鑑賞で大フィルの演奏を聞きにいくはずやったんが、急に取りやめになった。「生徒が命を落とした間もない日に、かかる行事はいかがなものかと思った」と校長は言うてるらしい。
 お母さんは、あとになって、そのことを知った。
「あの子は音楽の好きな子でした。実施されていたら、遺影を持って、わたしが参加するとこでした。なんで、相談してもらえなかったんでしょう」
 お母さんの弁。こんなことは、うちら何にも知らんかった。火葬場で会うた佐渡君の幻も、そういうことは言わへんかった。佐渡君は根の優しい子やから、たとえ校長先生でも、人が傷つくことは言いたなかったんやろと思た。

 で、光元先生は再任用の先生で、契約は一年。
「せやけど、65歳までは現場に置いとくのが常識や」
 お父さんは、そない言う。新聞には3月29日の最終発表で「次年度の採用はありません」と言うたらしい。
 29日て、どこの学校でも人事は決まってしもてて、OGHで再任用されへんかったら、事実上のクビといっしょなんは、うちの頭でも分かる。

 校内でも、恣意的な人事が……ここ読んでピンときた。

 ガンダムが急に生活指導部長降りて、うちらの担任になったこと。

「ガンダム先生て、どこの分掌や?」
 お父さんが聞いてきた。
「どこて、平の生指の先生」
「担任しながら生指か、そらムチャやで」
「なんで?」
「担任やったら大目に見られることでも、生指やったら見逃されへんことがいっぱいあるで。まして、前の生指部長やろ。ダブルスタンダードでしんどいやろなあ」
 お父さんは、ため息をついて新聞をたたんだ。

 気ぃついたら、お父さんと頭ひっつけるみたいにして新聞読んでた。お父さんと30センチ以内に近寄ったんは、保育所以来や。ちょっと気恥ずかしいような、落ち着かんような気持ちになった。

 校長先生は、教育研究センターいうとこに転勤いうことになってたけど、これは事実上の退職勧告やろなあと思た。

 大阪は、大阪市も府も、民間採用された区長やら校長が途中で辞めたり、辞めさせられたりいうことが多い。そやけど、まさかうちの学校で、こんなことが起こるとは思わへんかった。

 それと、佐渡君のお母さんが佐渡君のこと思てたんも、意外。

 切ないなあ……。

ジャンル:
小説
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