大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・不思議の国のアリス・19『アリスのアイドル大研究』

2018-07-13 06:15:21 | 不思議の国のアリス

不思議の国のアリス・19
『アリスのアイドル大研究』
    


 桂米国さんとメルアドの交換をやった。

 軽い気持ちだったんだけど、それは、すぐアリスにめったにできない体験をさせてくれることになった。
 志忠屋さんに『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』を返しにいった、帰り道、地下鉄の入り口でかかってきた。
「アリス、テレビに出えへんか?」
「え……!?」
 という展開になった。

 Kテレビの企画で、「外国人VSアイドルグル-プ」というバラエティーがあるのだけど、その収録の外国人の中心メンバーであるシカルド・キーンさんが体調を崩して出演できなくなり、プロデューサーが困り果て、米国さんに相談。で、米国さんは「あ、あの子や!」ということで、アリスに白羽の矢を立てたのである。
「なんで、ウチに!?」
「あんたやったら、なんか面白そうなこと言うてくれそうやし。なによりテレビ映えしそうやし」
「そうかな……」
「うん、そうや。ほな、そういうことで」
「もしもし……」
 もうスマホは切れていた。
「なんの電話?」
 千代子が聞いてきた。
「なんか、ウチ、テレビに出ならあかんようになったみたい……」
「ええ!?」

 アイドルグループというのは日本独特のプロモートのやり方で、アリスも常々「かわいいなあ!」とか「オー、クール!」と思わず母国語で言って感心してしまう。しかし、いざ、テレビに出て彼女たちと話すとなると勉強が必要だ。
 米国さんは、あとからメールで詳しい内容を伝えてくれた。東京からAKR47の選抜メンバーと、おもクロ。大阪からは地元のMNB47から選抜メンバーが出るとのことであった。本番は明後日である。
 
 その夜から、アリスはネットで検索しまくり、グル-プの成り立ちから、メンバー一人一人の情報まで仕入れた。

 卒業ソングの中に「卒業とは、お別れじゃなく出発なんだ」というフレーズを発見。うちらと一緒やと思った。アメリカの卒業式は、式の始めに国歌を歌うことが共通なだけで、あとは全然ちがう。卒業証書だって、日本じゃ代表が一人もらっておしまいだけど、アメリカは、たとえ生徒が千人いても、校長は一人一人に渡す。これが一番時間がかかるんだけど、文句は言わない。しかし賑やかなことは、この上ない。自分の子どもが名前を呼ばれ壇上に立つと「やったぜアリス!」「ヘイ、アリス!」などと親は、ここ一番と張り切って、騒ぎ倒す。日本なら、式場からつまみ出されるだろう。

 それに、ここが肝心なんだけど、誰も「お別れ」なんて思っていない。「出発」だと思っている。だからギブミーファイブのハイタッチにもなる。

 アリスは研究熱心な子である。なんせホンマモンの大阪を体験したいために、半年も交換留学生で大阪にいる。
 TANAKAさんのオバアチャンが言っていた伝説の霊柩車が見たいために近所の葬式に参列し、焼香までして、出棺で霊柩車が来たときには泣けてしまった。伝説の御殿のようなそれではなく、アメリカと変わらないステーションワゴンだった。期待が大きかった分、悲しみになり、それが参列者の人たちには、遠い異国の少女が故人のために涙してくれていると思われ、感謝の目でみられた。
『君が代』の中に出てくる「さざれ石」が、実在のものであると聞くと、S駐屯地まで見に行き、その荘厳さに胸が打たれた(いっしょに行った千代子は、ただの石ころのかたまりとしか思えなかった)
 勘違いではあるが、千代子が東クンに「女の子の大事なもの」を捧げようと悩んでいると思いこみミッション・バレンタインも計画した。

 で、今度は、アイドルグル-プである。たった一日半であるが、アリスは研究しまくった。半分徹夜で検索した資料はプリントアウトして、綴じると、A4で30枚ほどのレポートのようになった。

 そして、今日は、千代子以下、クラスの女の子五人を集め、近所のカラオケに突撃。七時間かけて、アイドルグループのヒット曲をマスター、うち五曲は振りまで覚えてしまった。
 
 千代子は、ノーベル賞にアイドル部門があるなら、アリスは受賞間違いなしだと思った……。

ジャンル:
小説
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