魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
103『残留思念と生霊と』 

マユも、香奈の中で感じていたぞ。
――なんだぁ……死霊でもなく生き霊でもねえ、天使みてえなもんでもねえし。レミみてえな妖精のたぐいでもねえ……――
仁和さんは霊感が強いタレントさんとして有名でよ。一時は、自分でスピリチュアルな番組も持っていたんだけど、便乗商法が横行しちまって、自分も本来の歌手や俳優としての仕事に差し障っちまうんで、表だっては、そういうことに触れないようにしてきたんだ。
「……あなたも、なにか感じてるでしょう?」
仁和さんは、スタッフが打ち合わせている間に、香奈(マユ)に、こっそり話しかけてきたぞ。
「え……いいえ、特に、なにもぉ(^○^;)」
このボケは通用しなかったぜ。
「分かってるわよ、香奈ちゃんが人間じゃないことぐらい。でも、悪さをするようなものじゃないことも分かっているから……かわいい顔して、案外小悪魔かもね」
え(゚д゚)!
一瞬ドッキリしたけど、仁和さんが比喩的な意味で言っていることは分かった。仁和さんと言えど人間。悪魔や、小悪魔が、どんなものであるかは、正確には分からねえ。人間はよ「悪」という字が付いているだけで、もっと、危ない目で見て、まして話しかけてきたりはしねえもんだ。
「あなたのオーラはとても強くてピュアよ、いっしょに探しましょ。このままじゃ、なにか災いが起こる」
仁和さんは、出番が終わると、グラウンドの端に行って、学校全体を眺めはじめた。
「始まりは、あの体育館……でも、今は、そこにはいない。どこだぁ……」
ハーックション!!
教室のシーンのカメリハが終わって、本番に入る直前に香奈(マユ)は、大きなクシャミをしてみたぞ。
ハーックション!!
教室のシーンのカメリハが終わって、本番に入る直前に香奈(マユ)は、大きなクシャミをしてみたぞ。
「カット、カット!」
監督の声が飛んでキャストも緊張を緩めた。
ん?
と、同時に、大きなスポットライトが倒れ込んできて、席を立ちかけた加奈子目がけて倒れ込んできやがった!
「危ない!」
ガッシャーン! キャーーー!!
香奈(マユ)は、何事か予感していたんで、動きが速かったぞ。中腰になっていた加奈子の腕を思い切り引っ張って、加奈子は、危うくスポットライトの下敷きになることから免れたぜ。
瞬間のことで、教室のみんなは悲鳴をあげたきり動けなかったぞ。こないだのスタジオの件から二度目だもんな。
「大丈夫か!?」
別所Dだけが駆け寄ってきた。
「わたしは大丈夫です」
「わたしも……」
「よかったあ! でも、これで二度目だな……」
別所Dの指摘は、現象的には正しい。
オーディション会場でも、ライトが香奈の上に落ちてきて、それを庇った美紀がケガをしやがった。しかし、あれは、美川エルのアバターに入り込んだオチコボレ天使が調子にのって、とんでもない声量と音域で歌いやがって、ライトを吊ったクランクのネジが緩んで起きた事故だった(まあ、間接的には利恵のせいではあるが、悪意はねえ)。
しかし、今のは、あきらかに悪意が働いていやがる!
「その子を掴まえて!」
仁和さんが、一人のエキストラの子を指差した。その子自身は、なんの自覚もなく、仁和さんに指差され、ただオロオロ。香奈は、ゆっくりと、そのこの額に手を当てた。香奈は、教室中にわだかまっていた悪意が、その子に集中するのを感じた。
「その子を掴まえて!」
仁和さんが、一人のエキストラの子を指差した。その子自身は、なんの自覚もなく、仁和さんに指差され、ただオロオロ。香奈は、ゆっくりと、そのこの額に手を当てた。香奈は、教室中にわだかまっていた悪意が、その子に集中するのを感じた。
その子はユラリと揺れたかと思うと、口を開きやがったぞ!
「……わたしたちの学校で……こんなことはしないで……わたしたちダンス部は、ようやく都の大会で優勝して、全国大会に出られるところだった……でも、学校が廃校になって……なって、それが果たせなかった。とっても悔しい……悔しい……だから、ここで歌ったり、踊ったりしないで……わたしたち、やっと我慢して、やっと自分たちの気持ちを押し殺した……殺したところなんだから……」
「あなた、潰れたダンス部の残留思念……」
「……わたしたちの学校で……こんなことはしないで……わたしたちダンス部は、ようやく都の大会で優勝して、全国大会に出られるところだった……でも、学校が廃校になって……なって、それが果たせなかった。とっても悔しい……悔しい……だから、ここで歌ったり、踊ったりしないで……わたしたち、やっと我慢して、やっと自分たちの気持ちを押し殺した……殺したところなんだから……」
「あなた、潰れたダンス部の残留思念……」
「それだけじゃない。その残留思念に隠れて、もう一つなにかがいる」
仁和さんが、印を結び、マユは心の中で呪文を唱えたぞ!
――エロイムエッサイム……エロイムエッサイム……――
今度は、男の表情になって喋りやがる!
「加奈子……だから、オレは反対したんだ。この世界は伏魔殿だ。スターダムに上り詰めるのは難しい。そして、そのスターダムに上り詰めるまでに、何人の仲間をけ落とさなければならないか、何度け落とされるか……今度、おまえはけ落とされて、また這い上がろうとしている。もういい、もう十分だ。ボロボロになる前に……戻っておいで」
「お父さん……」
加奈子の目から、大粒の涙がこぼれたぞ。
「その声は……高峯純一さんね」
仁和さんに見抜かれた高峯純一の生き霊は、ギクっとした表情になった、と思う間もなく抜けていき、その子は眠るようにくずおれちまった。
仁和さんは、それ以上のことは言わず。体育館の舞台の隅で見つけてきた楽譜と振り付けのコンテをみんなに見せた。ダンス部が、都大会で優勝したときのそれで、曲は、オモクロが、やっとマスコミに取り上げられるようになったころの、その名も『おもしろクローバー』だったぞ。
「この振り付けで一回やってみよう。ここのダンス部の子たちのために」
仁和さんは、それ以上のことは言わず。体育館の舞台の隅で見つけてきた楽譜と振り付けのコンテをみんなに見せた。ダンス部が、都大会で優勝したときのそれで、曲は、オモクロが、やっとマスコミに取り上げられるようになったころの、その名も『おもしろクローバー』だったぞ。
「この振り付けで一回やってみよう。ここのダンス部の子たちのために」
「それがいいわ、お父さんのことは、あとで、わたしが……」
別所Dが言い出し、仁和さんも賛同。オモクロ居残りグミのみんなで、歌って踊った。なんとも懐かしくて新鮮だ。
別所Dは、それを『居残りグミ』のプロモの一部に取り入れることにした。
ロケは夕方近くまでかかって、無事に終えることができたぞ……。
ロケは夕方近くまでかかって、無事に終えることができたぞ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院 オモクロでは仁科香奈
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー 地親は黒羽英雄
- 由美子 英二の妹
- 真田 由美子の元カレ
- 美優 ローザンヌの娘 英二の妻
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 桃畑 加奈子 オモクロの創設メンバー







