大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・オメガとシグマ・32『松ネエと二人の日曜日』

2018-09-16 06:36:19 | 小説3

オメガシグマ・32
『松ネエと二人の日曜日』



 シャワーで済まそうと思っていた。

 だって午後の一時だ、お湯はとっくに抜かれているはず。俺一人の為に浴槽を満たすのは気が引ける。俺んちは大昔の置屋の名残で風呂もでかい、ガス代と水道代を考えてしまうんだ。

 ところが予想に反して浴槽にはお湯が満ち満ちているではないか。
 いつもの「温泉の素」が入っていないので、ひたすらただのお湯。
 ま、朝湯どころかの昼湯には、こういうのが清々しいかなと納得。
 
 ひょっとしたら、このまま湯船の中で寝てしまうんじゃないかと思ったけど、頭は冴え冴えとしている。

 14時間かけてあいこルートとはまりルートをコンプリートした。
 あいこが、あんなに奔放だとは思わなかった。はまりが、こんなに尽くす奴だとは予想もしなかった。
 それに、なんだ……えと……あのいたし方が、あんなにバリエーションが豊富だなんて、興奮を通り越して感動してしまった。
 湯船に浸かっていると、その感動が風呂の湿度と熱気のせいか興奮に還元されて、我ながら慌てふためく。

――ゆうくん、昼ご飯作るんだけど、いっしょする?――

 脱衣場の外から松ネエの声。
「お、お、おぉ~~~」
 虚を突かれて、なんともみっともない返事になる。

 茶の間に行くと、ちゃぶ台の上に冷凍ものではないチャンポンが湯気を立てているので「おーー!」と素直な感動。

「今日は、あたしたち二人だけなのよ」
 スープとレンゲを置きながら松ネエ。
「え、どうして?」
「伯父さんは日曜出勤、伯母さんとお祖父ちゃんはお祭りの打ち合わせ。あ、お祖父ちゃんたらおっかしいのよ、朝からお風呂沸かして斎戒沐浴してんのよ」
「サイカイモクヨウ?」
 チャンポンに半分以上の神経を持っていかれてる俺はスカタンを聞いている。
「斎戒沐浴よ、お風呂で身を清めて身に付けるものを全部新品に着替えるの」
「あ、ああ」
 祭りの当日にやっているのは知っていたが、それがサイカイモクヨクという深海魚みたいな名称だとは知らなかった。それにチャンポンがすこぶる美味しい。馴染みの豚バラやカマボコがこんな味だとは御見それしていた。
「それで、あたしも朝風呂いただこうかと思ってたら、ゆうくんが起きてくる気配でしょ。それなら順番替えてお昼ご飯を先に作っちゃった」
 大人びてきたと圧倒されっぱなしの松ネエだと思っていたが、チャンポンをモクモク食べる様子は昔のままだ。
「菊乃は、まだ寝てんの?」
「朝一番でお出かけ、この春休みは遊びまくるんでしょ」
「え、てことは、俺たち二人だけ?」
「やだ、さっきから言ってるじゃないの」
「あ、あ、そうだっけ」
 見ると、松ネエの横には風呂の用意が置いてある。昼飯のあとに入るつもりなんだろう。
「ゆうくん、徹夜でエロゲやってんでしょ?」

 グフッ!

 口からイカの足が飛び出してしまった。
「驚くことないでしょ、@ホームで、あんなに大きな声で喋ってんだもん『小説執筆中』なんて張り紙しても丸わかりよ」
「え、あ、それは……」
「分かってるわよ、シグマちゃんが引っ張てんの。ゆうくんて、なかなか踏み外さないから、いいんじゃない、エロゲもシグマちゃんも」
「いや、あー、エヘン、オホン」
「ま、家族にはなかなかね……あたしは応援するよ。ゆうくんは少し弾けるくらいじゃないとね。ごちそうさま、じゃ、お風呂いただくわね」
「食器は洗っとくから」
「ありがと、じゃ」
 風呂の用意を持って立ち上がる松ネエ。

「あ」
「え?」

 抱えた風呂の用意からボーダーのパンツが落ちた。夕べのはまりのと同じなのでドキリとする。

 そんな俺をケラケラ笑いながら一つ年上の従姉は風呂場に向かうのだった。

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