大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・新釈ピュグマリオン・19『栞のフォーチュンキャンディー・2』

2018-12-08 07:14:18 | 小説7

新釈ピュグマリオン・19
『栞のフォーチュンキャンディー・2』



 ピュグマリオンは、ギリシア神話に登場するキプロス島の王。現実の女性に失望していたピュグマリオンは、あるとき自ら理想の女性を彫刻。そうして彼は自分の彫刻に恋をするようになった。そして彼は食事を共にしたり話しかけたりするようになり、それが人間になることを願う。その像から離れないようになり、次第に衰弱していく姿を見かねたアプロディーテがその想いを容れ、像に命を与え、ピュグマリオンはそれを妻に迎えた。 


 栞の『恋チュン』のコスプレ衣装はひどかった。     

「おかしいなあ……」
 颯太も、戸惑ってパソコンでMAMAZONを出して、注文したテナントのH・Sという業者のサンプルと見比べた。
「これ、別物だね」
 商売柄セラさんは、こういうコスの違いには敏感だ。颯太には、なんとなく違うとしか分からなかった。
「ようく見てよ、栞ちゃん、ゆっくり一周してみな」
 栞は、言われたようにマネキンのように、ゆっくりと回った、セラさんはボールペンの頭で指しながら解説した。
「いい、ウエストの位置が7センチほども高い。上着の裾は10センチ高い……つまり、胴長短足に見える」
「でも、これオーダーメイドなんだぜ」
「嬉しい!」
「喜んでる場合じゃない。ブラウスの襟ガバガバじゃん。帽子はちっこすぎる。頭に乗っかってるだけ。スカートはボックスプリーツだけど、これは単なるギャザースカート。パチモンだね……」
 セラさんは、そう言いながら画面をスクロールしていく。
「あ、この業者と同じ写真だ!」
「……ほんとだ」
 セラさんは、我が事のようにすぐに業者に連絡してくれた。
「……なんだって、写真は試作品で、現物とは違いがある? バカにすんじゃないわよ。特定商法ってネット通販を規制する法律に書いてあるわよ。これは完全に誇大広告の上にサンプル写真の盗用……なに、返品してくれ、代金は返すから? 冗談じゃないわよ。証拠が無くなっちゃうじゃないの、これは証拠品として押えとく。MAMAZONには保証申請しとくから……え、こんなもの売りつけといて、よく言えるわよね、首洗って待ってなよ!」

 すごい剣幕でまくしたてると、セラさんはネットオークションを検索。たちどころに中古のコスを発見、五千円で二着落札した。

 落札したコスは、あくる日には届いた。栞とセラとでファッションショー。二人ともご機嫌であった。
 MAMAZONと落札したコス代は颯太の持ち出しである。

 商店会主催の『恋チュン大会』は大盛況だった。
 なんと、AKPから振り付けのサブと地元の放送局がやってきた。
 ノリのいいセラさんは、商店会長とテレビのディレクターと相談をぶった。

 三十分ほどすると、AKPのいろんなコスをした人たちや、近くの高校や大学のチアクラブ。商店街のみなさんなど三百人が集まった。
 結局、AKPの振り付けさんが、居並ぶ恋チュン大好きさんたちに振り付け、いろんな場所やシュチュエーションで数十カットを撮った。
 その日の夜のニュースでは、ローカルニュースとして取り上げられ、ユーチューブのアクセスは五万を超えた。商店会も放送局も大喜びだった。

 その夜遅く、AKPの事務所でユーチューブを見ていたスタッフや、手空きのメンバーが、栞に注目した。
「この子、ロングで撮ると萌絵そっくりだわね……!」
 AKPから公認が出たのは当然だったが、その後意外な運命の展開があるとは、誰も気づかなかった。

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小説
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