大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル:連載戯曲:ユキとねねことルブランと…… 1

2018-10-14 06:53:47 | 戯曲

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ユキとねねことルブランと……

栄町犬猫騒動記

 

 大橋むつお

 

  ある春の日のある時

  栄町の公園

 

人物

ユキ    犬(犬塚まどかの姿)

ねねこ    猫(三田村麻衣と二役)

ルブラン   猫(貴井幸子と二役)

 

闇の中、猫たちの無秩序で無統制な声々しばらく続く。「おだまり!」とルブランの凛とした一声で、水を打ったように静かになる。と同時に、舞台明るくなる。舞台は栄町の公園。中央に、この町の高校二年生、貴井幸子の姿をしたルブランが、舞い散る桜の花吹雪の中、猫達(姿は見えない)を睥睨している。

 

ルブラン: おまえたち、いいかげんにしないと、三味線の皮にしちゃうよ!(猫達のしょげた声々)

 

ルブランの携帯が鳴る。手にしたラクロスのスティックを持ちかえ、腰につけた大そう立派なケースから、美しい携帯を出す。同時に猫達に「あっちにおいき」とあごでしゃくる。猫達の気配ほとんどなくなる。

 

ルブラン: ……いいこと、あなたはわがままだったのよ。どうしようもなくね。因果応報、むくいよ……だめ。今ごろ泣きごとを言ったって。恨むんだったら、自分自身を恨みな。人のことをちっとも考えない。自分の気持ち、欲望だけ。最低だったわよ!! そんなあなたに、終止符を打ってあげたの。エンドマークを出してあげたの。反省……? しても遅いわよ。もう人間として生きていく資格なんかなし! 世界のためにも、これしかないの! これからは、わたしがやるわ。あなたに代わって……そう、泣けばいい、わめけばいい。もう誰にも聞こえやしない。そうやって、自分の愚かさとみじめさを思い知るがいい! ホホホ……じゃ、またお話しましょ。これからは何度でもいたぶってあげる。もう少しあなたの心をえぐってやりたいけど(人の気配を感じて)じゃ、またね……

 

携帯のスイッチを切り、上手方向に目線を残しながら下手に去る。二三匹居残った猫が「ニャー」と後を追う。いれかわりに、同じ高校二年生の犬塚まどかの姿をしたユキが、声をひそめ、まどかを探しながらあらわれる。

 

ユキ: まどか……まどか……まどかったら……どこ行っちゃったのよ。まどか……たまんないよ、ほんとに……まどか! たのむよまどか……どうすんのよ、こんなになっちゃって……まどか! 冗談じゃないわよ……お願いまどか。出てきてまどか……出てきてちょうだい、まどか……

 

同様に、同じ高校二年生の三田村麻衣の姿をしたねねこがあらわれる。背中に大きな水鉄砲を背負い、腰にチャラチャラとひかりもの、鞄を手に、首にブタの人形を下げている。

 

ユキ: まどか……まどか……(ねねこに気づき)ユキ、ユキ……どこにいるの、犬塚さんちのユキ……

ねねこ: なにやってんの?

ユキ: あ、麻衣……いつからそこに?

ねねこ: ついさっき。公園の前を通ったら、まどかの姿が見えて……何か探してんの? ひょっとして……

ユキ: ユキ。目が覚めたらいないの。庭の柵が開いていたから、一人で散歩に出かけちゃったんじゃないかと思うの。

ねねこ: それは心配ね。まだ子犬なんでしょ?

ユキ: うん、一才ちょっと……人間でいえば、わたしたちくらいかな。

ねねこ: へえ、もう一才過ぎたんだ。

ユキ: 小柄な子だから……でも、雑種のノラ犬、賢い子だからそう心配はないと思うんだけど……

ねねこ: へえ、ユキってノラだったんだ。

ユキ: お母さん、動物嫌いのくせに見栄っ張りだから、紀州犬だって言ってるけど。ほんとは、お父さんが酔った勢いで、この公園で拾ってきたの。

ねねこ: そうなんだ。

ユキ: で、けっきょく、わたしがユキの世話係ちゅうわけよ……おーい、ユキ……

ねねこ: まどか、今日は、ちょっと久しぶりだよね?

ユキ: そう……?

ねねこ: このふた月ほどは、ろくに顔もあわせてないよ。

ユキ: そう? だったらごめん。

ねねこ: ひょっとして、麻衣のこと敬遠とかしてる?

ユキ: ううん……たまたま。

ねねこ: たまたま?……はっきり言いなさいよ。そういうずるい言い方嫌いだし、あたし。ほら、また目線が逃げる。何か思ってる証拠。かまわないから、はっきり言って。

ユキ: ……このごろ麻衣、変わっちゃったりしてない?

ねねこ: あたしが?

ユキ: うん……派手になったつうか、お化粧とかもしてるし、ジャラジャラひかりもんとかぶら下げてるし……それはいいんだけど、学校でも、よく居眠りとか、ちょっと気むつかしくなった感じ……

ねねこ: ふーん……

ユキ: はっきり言えっていうから……気ィ悪くしたらごめんね。

ねねこ: ううんいいよ、気にしてないから。あたしもいっしょに探してあげようか?

ユキ: いいよ、そんな……

ねねこ: いいよ、探してあげるよ、行方不明のまどかのこと……

ユキ: え……!?

ねねこ: 実は、ずっとさっきから、あんたのことはわかっていたのさ。あんたの探しているのは、犬のユキなんかじゃない。人間のまどかだ! どうだい、違うかい? 犬塚まどかさんちの飼犬のユキさん……

ユキ: キャイーン……!

ジャンル:
小説
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