大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

Regenerate・10≪鈴木先生との再会・2≫

2019-12-14 06:19:08 | 小説・2
Regenerate・10
≪鈴木先生との再会・2≫
       


 違うと思った。

 鈴木先生を人間じゃないと確信した。スキャンの結果に反するが、詩織の頭脳の奥で、そうアラームが点滅した。
 確信と同時に行動していた。押し出されきる寸前に「鈴木先生」の襟首を掴み、そのままの勢いで車道の僅か3ミリの窪みで足を突っ張り、巴投げに「鈴木先生」を投げ飛ばした。投げ飛ばしつつ、膨大な量の思念を送った。「鈴木先生」からは未整理のままのビジョンが情報として反射してきた。本物の鈴木先生の居所が分かった。

「鈴木先生」の体は、10トントレーラーの前5本のタイヤに轢かれ、人間の体とは思えないくらいに粉砕され、急ブレーキをかけたトレーラの下で無残に散らばった。血しぶきが押しつぶしたトマトケチャップのチューブから噴き出るように飛んできた。辛くも避けきったが、歩道を歩いていたオバサンにもろにかかり、オバサンは悲鳴を上げて、その場に尻餅をついた。

「大丈夫だっだすか!?」

 タカミナに擬態したまま、ドロシーが聞いた。
「本物の鈴木先生は閉じ込められてる。行こう!」
「わがっだ!」
 現場に背を向けたとたん、千切れた「鈴木先生」の右腕が飛んできて幸子に擬態した詩織の首を掴もうとした。
「あぶねえ!」
 振り向きざまに、ドロシーが叩き落とし足で踏みつぶした。

「先生、大丈夫ですか?」

 詩織は体育館の倉庫の中で、マットにグルグル巻きにされていた鈴木先生を助けた。鈴木先生は、脱水症状を起こし意識不明だった。
「体温が40度近いだす。緊急冷却せねば!」
 二人で先生の腋の下と股の付け根を手で押さえ冷却した。二人の手はマイナス10度になり、急速に鈴木先生の体温を下げた。下げながら詩織は鈴木先生の声で、保健室の先生に電話をかけた。
「すぐに保健室の先生が来る。見つかるとややこしいから、逃げよう」
「ええんが、やっと会えた先生だべさ」
「他の人に見られたら、手に負えなくなるから」
 体育館入り口の方で人の気配がした。二人は急いで体育館のギャラリーにジャンプし、駆けつけた先生たちに助けられる鈴木先生を確認して、学校を後にした。

「やっぱり、こいつらは義体だな」

 ラボに戻って、メモリーを見せると、教授が断定した。
「体表面は生体組織だが、中身はカーボン骨格のロボットだ。トレーラーで轢かれたぐらいでバラバラになるようなシロモノ。B級品だな。奴らも、そうそう最先端の義体は使えんようだな」
 教授がモニターを切り替えると、秋葉原高校横のトレーラー事故のテレビ放送をやっていた。
 運転手は、女性が空中を飛んできて、トレーラーで踏みつぶしたと証言しているが、その直後に都の清掃車がやってきて、現場をきれいに掃除していってしまった。警察が来て調べたが、洗い流された路面からも、歩道で血しぶきを浴びたオバサンからもルミノール反応は出てこなかった。オバサンに飛び散った液体は一見血液のようだが、成分がまるで違った。
 そして、車載カメラにも、この事件を撮影したという通行人のスマホからも映像は消えていた。
「やつらも、まだ万全の体制が組めているわけではないようだ。今のうちに我々も手を打たねばな……」
 教授は、ラボのモニターやコンピューターを見ながら、なにやら操作を始めた。
「なかなかハカがいかん。ドロシー手伝え」
 ドロシーは、頭脳を教授とシンクロさせながら、操作を手伝った。詩織は、その間幸子になって、回線を通さずに鈴木先生のスマホに電話を掛けた……そんな能力が今まで無かったことなど気にもならなかった。

 詩織の覚醒はさらに進んでいく……。
コメント   この記事についてブログを書く
« 乃木坂学院高校演劇部物語・... | トップ | 永遠女子高生・28《塔子の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小説・2」カテゴリの最新記事