大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・通学道中膝栗毛・33『あれ……?』

2018-03-31 12:16:16 | 小説3

通学道中膝栗毛・33

『あれ……?        

 

 

 ぼんやりYouTubeを見ていたら、馴染みのユーチューバさんが――プレステVRの価格が一万円値下げされました!――とセンセーショナルな笑顔で言っている。

 一万円引きと言うことは……三万四千円。ちょっと現実的な価格だ。アキバでのバイトも始めたので買えないことはない。

 二人でやったら楽しいだろうなあ……思ったけど、夏鈴ははるかノインシュタインの空の下だ。

 買おうか! という気持ちは急速にしぼんでいく。

 わたしの楽しいは、多分に夏鈴といっしょということが前提になってしまっているのだなあと、改めて思う。

 

 こんなことじゃダメだ!

 

 プレステ4のYouTubeモードを解除して、メニューバーからインスコしたままホッタラカシているゲームを起動する。

 バイトの帰りにアキバで買った何本かの一つ。

 クリックすると――このアプリケーションを始めるために、ディスクを入れてください。――

 ソフトを探して入れるのが煩わしく、そのままスリープモードにして、セレクターをプレステ3に切り替える。

「こっちは入れっぱだったんだ……」

 グラフィックなどはイマイチだけど、プレステ3でも十分だ。

 小学校のころに夢中になったRPGのシリーズの続編。当時なら六千円はしたソフトが中古だけど、なんと百八十円だった。たかだか十六年ちょっとの人生だけど、ゲームがレトロになってペットボトルのお茶と同じ値段になるくらいには長いんだ……アホなことを思いながら起動されるのを待つ。

 モードはゆるゆるのイージー。

 このゲームはダンジョンでエンチャントした後のキャラたちの会話がいい。

 むろんゲームだから、数十個のパターンがランダムに出てくるだけなんだけど、小気味よくって楽しくなる。

『おまえの技って直観的なのな』『そう思ったのはキミの直観?』とかね、文字で書くとそんなに面白くないんだけど、ノリと勢いがいいから面白い。こんな風に人と話せたらいいだろうなあ……と、ややコミュ障のわたしは思うのだ。

 あれ……?

 R3ボタンというんだろうか、左のグリグリを触ってもいないのに矢印が動いてしまう。

 あ、あーーー制御できなくなってしまうよ~!

 お父さんが買ってきたものだから、もう十年はたつ。大事に使ってきたけど、やっぱ限界?

 

 こうなると一気に冷めてしまう。

 

 プレステ4をやればいいんだけど、もうそんな気分じゃなくなる。

 布団をかぶって寝ることにする。

 こういう時は、気分を挽回しておかなければ引きずるよなあ~と思いながらも横になった身体は起きてくれない。

 と言って、眠気はなかなかやってこない。

 やっとウツラウツラしかけたところでサイレン。

 意外に近い……パトカー? 消防車?

 カンカンと鐘の音がして消防車だと知れる。

 わりと近所で停まって、怒号やらハンドマイクの声、そのうちお母さんが起きだして玄関が開く音。

 お母さんは見に行ったんだ。

 たぶんボヤ程度、そう思って頭まで布団を引き上げる。

 もう焼け死んだってかまわない。不埒に思って、また眼が冴えてきた……。

ジャンル:
小説
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