大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・タキさんの押しつ・け映画評『ポンペイ/グランド・ブタペスト・ホテル』

2014-06-09 06:14:38 | 映画評
タキさんの押しつ・け映画評
『ポンペイ/グランド・ブタペスト・ホテル』



 これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評論ですが、もったいないので転載したものです。


ポンペイ

 昨今 隆盛を極める「キリスト教関連作品」かと思いきや、思いっきりデザスタームービーでした。
 考えてみりゃ、ポール・アンダーソン(バイオ・ハザード)監督が、そんな映画を撮る訳ゃないか。1959年に「ポンペイ最後の日」ってぇ作品があって、人々を蹴散らして我先に逃げようとするローマ人を、主人公は柵を閉じて阻み、槍に刺される。彼の命が果てる時、神(天使だったかも……いや、キリストだった筈)がその魂を迎えにくる……と言う幕切れでした。
 同じ展開かな? と思って見ていましたが、1/3位から 「どうやら、こら違うなぁ~」と判りました。
 ブリテン島でローマに反逆していたケルトの一族が全滅させられる。一人生き残ったマイロ少年(子役の怨みの視線が尋常ではない。毎度、最近の子供の演技力には驚かされる)は奴隷狩りに捕まり、17年後、無敵の剣闘士となり、ブリテンからポンペイに送られる。 そこでポンペイの剣闘士王アティカスやポンペイ支配者の娘カッシアと出会う。
 マイロとカッシアは恋に落ちるが、折からポンペイにやってきたローマ元老院議員コルブス(K・サザーランド)は、マイロの仇であり、また、カッシアを奪おうとする存在でもあった。 闘技場で、マイロが絶体絶命の危機にさらされた時、ベスビオス火山が火を噴き、ポンペイは絶望の縁に立たされる。
 正直、食いたりません。 本作はアメリカでは不入りで、失敗作とされています。主役のキット・ハリントンは第2のテーラー・キッチュなんぞと言われています。デザスターシーンと、マイロ/カッシアの恋愛は良く出来ていますが、他のドラマが弱すぎる。105分(実質90分)では短すぎた。キーファーが極悪非道のローマ人を上手く演っているが、後一押し。他の登場人物についても描写が足りない。
 思い入れが薄いから(悪役も善玉も)悲しみに繋がらないし、カタルシスも少ない。映像が優れているだけにこれが惜しまれる。 CGを半分以下に押さえて、ミニチュアとセットで撮ったとはいえ、相当に製作費を掛けている。 それがドラマ不足でボツになるとは……キット・ハリントンに同情したくなりました。

グランド・ブタペスト・ホテル

 本作、全米60館強の限定公開から始まって、後に少しは増えたのだろうが、基本的に少数だったはず。ウェス・アンダーソンの作品は、いつも爆発ヒットにはならないものの口コミで評判が広がり、結果、長期に渡って動員数が落ちないという結果となる。
 とは言っても、超大作のように1億$超え……なぁんてな事にはならない。確実にファンに受け、それなりに愛される作品と言える。2012年の「ムーンライズ・キングダム」は4000万$程度の興行収入ながら、10週間に渡ってランキングに留まった。
「ムーンライズ~」は“小さな恋のメロディー”的、お子ちゃま恋愛がベースだったので、多少つらい部分が在ったのだが、本作は遺産相続に絡む殺人ミステリーがベースなのでストレートに面白い(と、私は思ふ) ウェス・アンダーソンは基本的に大人の寓話を作り続けている。 そこにアンダーソンの、今や無くなった物(色んな意味で)への憧憬が入り込む。そして、現実に在りそうなファンタジーワールドが立ち上がる。 今作、ビル・マーレイ他アンダーソン常連組に加え、主役の伝説のコンシェルジュ/グスタフにレーフ・ファインズ(文句なし名演)、その片腕ベルボーイ/トニー・レヴォリ(まだ新人ながら、メチャ面白い)。特筆はティルダ・スウィントンのマダムD、何ちゅう老けメイク!そらまぁ、特殊メイクが発達しとりますから驚くにはあたらんかもしれませんが、アンダーソン作品の中に現れると本当にティルダが老けたのかと思わされる。
 アンダーソンお得意の画も満載、雪の荒野にポツンと電話ボックスが在ったり、ホテルその物もまるでマチュピチュのように有り得ない山頂にデンっと建っております。1930-40年頃のスクリューボール・コメディ・スタイル(古過ぎて私もあんまり見ていません)で作られており、古いと感じる向きも有るかもしれません。若干 好き嫌いに左右されるかも……です。
 アメリカでは、映画館一軒あたり売り上げの記録を樹立、これも10週間ランクイン、最終売り上げはまだ不明ながら、判っている所では5200万$位。多少好みのセンスとは違っても、結構笑える作りになっています。
 まぁ、騙されたと思ってお出かけ下さいまし(ダメでも料金払い戻しはいたしかねます。念の為〓)



『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』  
 6月発売予定。出版社の都合で発売が延びました。もうしわけありません。(税込み799円=本体740円+税)
『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』    
    

 青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説! 

 ラノベとして読んでアハハと笑い、ホロリと泣いて、気が付けば演劇部のマネジメントが身に付く! 著者、大橋むつおの高校演劇45年の経験からうまれた、分類不可能な新型高校演劇入門ノベル!

 ネット通販ではアマゾンや楽天があります。青雲書房に直接ご注文頂ければ下記の定価でお求めいただけます。

 青雲書房直接お申し込みは、下記のお電話かウェブでどうぞ。定価本体1200円+税=1260円。送料無料。
送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。

大橋むつお戯曲集『わたし 今日から魔女!?』
 高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
 60分劇5編入り 定価1365円(本体1300円+税)送料無料。

お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。

青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351 

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高校ライトノベル・タキさん... | トップ | 大阪府立真田山学院高校演劇... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画評」カテゴリの最新記事