大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・かの世界の片隅へ:47『ブロンズですか?』

2018-11-10 13:17:00 | 小説5

高校ライトノベル:かの世界の片隅へ:47     

『ブロンズですか?』

 

 

 ケイトの回復スキルによってHPを全快したグリは、一本だけ残った鞭を高速回転させて突っ込んでいく!

 時間稼ぎをするつもりだろう。

 

 逃げるわけにはいかない、旅は始まったばかりだ。

 刹那、ケイトを見るが、十字姿勢のまま呆然と浮遊するばかりで、わたしやブリのHPまで回復してくれる様子はない。

 ブリとわたしは、HPを回復することなくグリに続いた。

 

 数秒の間に事態は変わった。

 

 ブリの突進力はすごく、瞬くうちにグリに追いつき、首が千切れるんじゃないかという勢いでツィンテールを旋回させた。

 グリの鞭もブリのツィンテールも、高速回転のあまり熱を持って発光し、灼熱のエネルギーを発散して旋回半径の倍ほどの距離にいるシリンダーも粉砕している。

 凄い!

 感動したのは一瞬だった。

 融合体が、瞬間、膨張したように見えた。

 ブワ

 膨張したのではなく、融合を解いたのだ!

 融合するときに圧縮されるのだろう、放たれたシリンダーたちは瞬間に空気を充填されたようになって、元の融合体のサイズからは想像できないような数になって二人に襲い掛かった!

 ジュッ!

 最初に襲い掛かった数百は二人の得物によって、焼け石にかかった水滴のように蒸発したが、続くシリンダーたちは、プール一杯の水を浴びせたように得物の勢いを削いで、二人を覆いつくした。

 ブオッ!!

 わたしの中を灼熱するものが突き上げてきた!

 ほんの数瞬のうちの目まぐるしいせめぎ合い! そして眼前に迫った二人の危機にわたしの自我が炸裂した!

 

 グオーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

 制御できない叫びをあげて突進し、ソードを二閃させた!

 二閃させただけでは勢いは収まらず、コマのように旋回しながら数十メートル上空に吹き飛ばされた。

 やっと踏ん張って勢いを削ぐと、さっきまで融合体であったシリンダーたちは数十分の一までに数を減らして四方に逃げ散っていく。

 浮遊していたケイトが、ゆっくりと動作し始めてグリーンのヒーラービームを放ち始め、ほとんどゼロになりかけていた二人のHPを回復し始めた……。

 

「二人とも凄かったじゃないか!」

 

 融合体との遭遇戦が終わって、しばらくは口もきけない四人だったが、回復力が人一倍のブリがニコニコ笑顔で言う。

 こういう時のブリは、出会った時のように、ひどく幼い顔に見える。

「ケイトのヒーラーぶり、ちゃんとコントロールできるようになったら、弓士とヒーラーが立派に兼ねられるぞ!」

「はあ……でも、ぜんぜん憶えてないんですよね」

「テルさんのソードも凄いです! あれが無ければ、この旅は、このムヘン川のほとりで幕を閉じていたところですよ」

「とっさに出たスキルで、自分でやったものなのか実感が……」

「実感は大事だ! あたしが、スキルに名前を付けてやろう!」

 可愛く腕を組み、額に皴を寄せること数秒。パッと灯りが付いたような顔になって宣言した。

「ケイトのがブロンズヒール! テルのがブロンズスプラッシュだ!」

「え、あれだけの力がブロンズですか?」

 二号戦車を街道に戻し、クラッチを二速にしながらグリ。

「ブロンズにしとけば、これから、シルバー、ゴールド、プラチナって伸びしろを感じるだろ。いいか、ふたりとも、これからスキルを使う時は、スキル名を高らかに名乗るんだぞ。ブロンズなんとか! すると、敵も、もっと強力なのがあるんじゃないかとビビるからな。アハハハ」

 こういうところの無邪気さも子どもだ。

 じつに、いちばん正体が分からないのは、このブリかもしれない。

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