大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル やくも・21『体重大事件・1』

2019-01-13 12:51:28 | 小説・2

やくも・21『体重大事件・1』

 

 

 

 図書室当番でカウンターに座っている。

 

 溜まった返却本を戻すために、隣に座ってる杉野君が立ち上がって後ろを通る。いつものように少し椅子を引いて通してやる。

「狭っ」

 小さく言って抜け、背中に杉野君の体が擦れていく。気を使っているのは分かる。ちょうど腰のあたりが触れるからだ。

 電車の中で、こういう通り方したら痴漢かもしれない。

 窓際の席で、女子二人が笑ってる。

「ちょっと……」「ねえ……」「あの子……」「……ったんじゃない?」

 小さな声だけど聞こえてしまった。

 

 聞こえたのは自覚があるからかもしれない。

 

 きのう、お母さんが買ってきてくれたブラ、サイズがいっこ大きくなってた。

 制服は、転校した時に買ったものだからよく分からないんだ。

 うちの体重計は浴室の前にある。脱衣にあると量るんだけど廊下だとね……音がするのよ、カシャンカシャンと。

 年代物の体重計で『ハカリ』と言った方がしっくりくる。その音がリビングまで聞こえてくる。

 お爺ちゃんが出てくるときに量ってるから分かってる。

 昨日は、思い切って量ってみたんだ……ちょっとショックだった。

 だから、いま笑われたのはビビっとくる。

 

「席かわってくれる?」

 

 戻ってきた杉野君に提案、「あ、ああ」と顔を赤くして頷いてくれる。

「小泉さん、ょっと」

 霊田先生が呼んでいる。

「ハ、ハイ」

 杉野君の後ろを通る、今度はわたしの腰が杉野君の背中にあたる。

 バランスを崩して杉野君の背中に、もろに被さる。

「あ、あ、ごめんなさいごめんなさい!」

「う、ううん💦」

「なにやってんだ」

 もたもたしてると霊田先生が寄ってきた。

「ああ、そういうことか」

 そう言うと、先生はゴゴゴと音をさせてカウンターを動かした。

 目からウロコ!

 カウンターというものは、根が生えてるというか床に固定してあるものだと思っていた。

 プ

 少し遅れて窓際の女子がふいた。瞬間堪えてふいたものだから、プのあとがグフフアハハになって傷つくことおびただしい。

 杉野君も霊田先生も女子と女子の反応を無視してくれている……優しさなんだろうけど、いっそ明るく笑ってくれた方が気が楽だ。

 テンパってアタフタしているうちに二人の女子は居なくなった。やっぱ、ちょっと悪かったと思っているのかもしれない。

 

 で、これは、次に続く不思議な事件のイントロでしかなかった……。

 

ジャンル:
小説
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