大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・〔俺の妹がこんなにモテるわけがない〕

2016-10-06 07:06:04 | エッセー
ライトノベルセレクト
〔俺の妹がこんなにモテるわけがない〕



「受けるったら、受ける!」

 妹の小百合は、それで通してしまった。
 俺を含め家族は、もう説得するのにも疲れた。
「まあ、本人の人生だ。やりたいようにやらせてみようか……」
 親父のこの言葉が家族の総意ということになった。

 小百合は、来春に打ち上げられる人類初の超光速宇宙船の乗り組員に応募しようというのだ。
 なんせ、人類初の超光速である。なにがおこるか分からない。

 妹の小百合は兄の俺がいうのもなんだが、取り柄が無い。高校は平成に創立され、今年創立二百周年を迎えた古いことだけが取り柄の『青春高等学校』これが『聖駿高校』でもあれば、音はおなじでも21世紀初頭に流行ったテレビ番組と同じでカッコいいんだけど、なんにもなしの『青春』この200年間偏差値48を奇跡的に維持。学校関係者は、いっそ『SSK48高校』にしようと真面目に考えたほどである。
 その青春高校でも特に成績がいいわけでもなく、かわいいわけでもない。
 名前が示すように、イメージ古すぎ。平成の時代だったら小野さんが生まれてきた娘に「小町」と名付けるようなもの。この23世紀はカタカナの名前が一般的だ。ちなみに小百合は、この夏に大失恋している。フッた男が玉置コージ、横からかっさらっていったのが親友と思っていた名取ヨウ。二人とも並の上ってとこだけど、フラれた小百合にはフラれたという傷しか残らない。
 存在感の薄さも災いしている。遠足で点呼して、どうしても一人足りない。三回目にやっと小百合を飛ばしていたことを担任が気づくぐらいに存在感が無い。

 そこへ、宇宙船の乗組員の募集があった。

 昔の宇宙船と違って、居住性は客船並。人工引力もあり、21世紀のように宇宙酔いなどはしない。まるで超人を養成するような特殊訓練もない。ただ超光速は人類初で、なにが起こるか分からない。予定では一か月でマゼラン星雲まで行って帰ってくる予定だが、学者によっては、古臭い相対性理論を持ち出して危険と叫ぶ人もいたが、その昔、超音速に人類は耐えられないと言われた以上に少数派で、完全に無視された。

 ……それから40年がたった。

 小百合を乗せた宇宙船は、まだ帰ってこない。専門家は超光速のあまり、異次元に入り込み、二度と、この世界には現れないだろうということで意見が一致していた。
 発射場には記念碑が立てられ、犠牲者の碑がたっていて、全部漢字の小百合の名前は目立っていた。石碑になってやっと目立てたか……老眼の進んだ目に眼鏡という古典的な視力矯正器をかけて、俺は石碑を撫でた。
 23世紀も半ばを過ぎると、ほどほどの科学というのが流行り、日常生活は古典といっていい風俗に変わり始めていた。細胞操作をやれば125歳ぐらいまでは生きられるのだけど、人は、あえて自然な人生を選ぶようになり、親父もお袋も人工関節には入れ替えているが、人並みの年寄りになっていた。

 この墓参りのような、妹への追憶も、これを最後にしようと決めた。

 俺たちには、世話をしたり関心を持たなければならない家族や妻や子や孫たちがいる。この23世紀では、まだまだ仕事もしなければならない。
「じゃ、小百合。これでお別れするよ……」
 親父とお袋は、さすがに涙ぐんだ。息子夫婦は神妙にしているが、孫たちは帰って遊びたくて仕方がないようだった。顔も見たことが無い40年前の大叔母などに興味の持ちようはない。

 それは、秋晴れの日だった。

 月の交通管制局が、地球と月の間に現れた、観たこともない宇宙船の出現に気づいた。
「いきなりコスモレーダーに現れたんです。いやあ、交信した時には驚きました!」
 管制官が、モニターの中で興奮した顔で言っている。

 そう、小百合を乗せた超光速宇宙船が帰って来たのだ!

 宇宙船の搭乗口が開くのを固唾をのんで見守った。
 信じられなかった。乗組員たちは40年前に出発したときそのままの姿だった。
 相対性理論は生きていた。光速以上で移動する乗り物の時間は、その速度に従って短くなる。
「え……おにいちゃん!?」
 そう言って驚いた小百合は、高校三年生のままだった。

 そして、この時代は、新古典主義の時代と言われ、450年以上前の昭和や、平成の文化がもてはやされていた。

 40年前では、なんの取り柄もない小百合だったが、23世紀末では得難い『生きた昭和』ともてはやされた。コンタクトレンズ以外何も人工的なものをほどこしていない小百合は、それだけでも賞賛の的だったが、そのルックスと物腰は、トップスターが真似ようとしてもできないもので、小百合は世界のアイドルになってしまった。

 ああ、俺の妹が、こんなにモテるわけはない……のに!

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・54『エンド・オブ・ホワイトハウス/GIジョー』

2016-10-06 06:38:21 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・54
『エンド・オブ・ホワイトハウス/GIジョー』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです

『エンド・オブ~』

 一切……一切、小理屈こねなきゃ、まぁアクション映画として鑑賞可能……見に行く予定の方は、以下 読む必要ありません。ネタ割りますから気を付けて下さい。

 ゝゞ〃仝々〆〇ー―‐/ トータル ダイ・ハードと沈黙の戦艦を足して2で割ったら本作です。アクション派手ですけど、あんまりハラハラしません。
 いつものパターンでまず兵器に付いて言わせてもらう。C-130輸送機の胴体から左右両方にバルカン砲が2門出ているのでまずホワイトハウスを銃撃してくる。口径は明らかにされないが機体とのバランスからすると相当大口径のはず……ところがこいつの威力がしょぼい。あれじゃ14.5㎜機銃にも劣る。総じてピストルと携帯機銃以外の兵器の威力がバラバラ、ウエポンフリークの鑑賞には耐えられない。
 大体が正体不明のプロペラ機がチェサピーク湾を渡りきってDC に侵入する事が有り得ない。DC 上空で制止にはいる戦闘機にしても至近距離で左右を挟むのも有り得ない。反撃されたからと言って、あの近さからミサイル攻撃は馬鹿げているし、ミサイルが有効なら熱ダミーで逃げられる訳がない。
 軍基地から支援部隊の到着に15分かかるのは、実際もっと早く来ると思うが、まぁ リアルな線かもしれないが それは重武装地上部隊に限られる。まず戦闘機とヘリ部隊はもっと早いし、コマンドもそうは遅れない。ホワイトハウス警備の火力も弱すぎるし、ある程度の重武装を想定できる相手に外に出ての迎撃など有り得ない。
 まだあるけど多すぎて面倒臭い。ケルベロスシステムと言う核弾頭無力化装置が想定されているが大統領以下3人のコード入力が必要、副大統領と国防長官がコードを教えるシーンはあるが、肝心の大統領が口を割るシーンが抜けている。子供を捕らえて脅すつもりが、あっさり主人公が助けてしまう。ましてや、こういうシステムが有ったとして、発射されていないミサイルがサイロ内で自爆するなど有り得ない。せめてホワイトハウス襲撃と同時に2機のエアフォース1を爆破するくらいしてほしい。最大のミスは、大統領がホワイトハウスの地下シェルターに拉致される(救出不能)なんてな非常事態で下院議長が無事ならば、大統領は即座に見捨てられる。すでに死んだものと考えられる。
「リアルにこだわった」なんぞとほざくから こちらとしてもウダウダ言わざる得ない。ドラマも弱く、とうとう誰にも感情移入できなかった。テロリストの正体が北鮮ってのも……まだ、日本未公開だが「勇者たち」のリメイク作があって、前作はなぜかアメリカの田舎町にソ連邦空挺部隊が降下するが、今作は北鮮軍……。
 有り得ない……これなら、福井の「ナンタラのイージス」のほうがよっぽどリアルで、敵ならなんでもええっちゅうもんじゃおまへん。しかも、ここまで作っておいて ギリギリの所て北鮮に配慮してある……嗚呼 まぁ、ワシントンタワーの尖塔が破壊されて落ちてくるシーンは初めて見たかな。ほんで、今年 もう一発『ホワイトハウス・ダウン』ってぇ映画が有るらしい……ホワイトハウス受難の年ですなぁ。しかも監督、ローランド・エメリッヒですってよ。オッチャン、ホワイトハウスになんか恨みでもあるんですかねぇ〓 宇宙人に破壊され、津波に呑まれ、地震で崩れ、氷に閉ざされ…ほかにも有ったっけ? このへんにしときまっさ。


『GIジョー』

一切、理屈抜きで……どころやおまへんな〓〓 一切、なぁんも考えたらあきまへん、大体 この映画に理屈もドラマも有馬線わい。ただただ戦闘シーンの繰り返し、ついでに言うたら悪役一人逃げてますから 近々“3”が出来ますわ……いやあ、めでたいこって『最強(凶)のアメリカ』大復活です。お喜び申し上げます。好きにしておくれ〓〓

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