大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『64 ロクヨン』

2013-02-20 07:50:47 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『64 ロクヨン』文藝春秋・横山秀夫
    


 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している読書感想ですが、もったいないので、本人の了解を得て転載したものです。



 長い事かかったなぁ~ 別に何冊も同時読みしていた訳でもなく…まぁ、時間があんまり無かったんですが……要するに、初めあんまり乗って来なかったんですわ。
 この作家、結構ベストセラー作家だし、「このミス大賞」だし、「極めつけ警察小説」とかコピーが付いているので まぁ 二日も有りゃあ読んでしまうだろうと読み出すと……なんとまぁ、まるで退屈な私小説なんだよなぁ。それでも どこかで大ドンデン返しが有るんだろうと思いきや……ツータラツータラ 日常が続いて行く。 元刑事が なんの因果か警務部広報に回される、刑事と警務の中が悪いのは 警察小説ではお約束、本店・支店(キャリア対ノンキャリア)がいがみ合うのと同じ……。
 主人公は、着いた以上は広報官を務めるつもりながら、心の底には“刑事魂”が燃えている。何か有ったらケツまくるつもりが実はそうはいかない事情がある。 彼自身は鬼瓦のごとき面構えで カミサンは美人、娘がいるが なんの因果かオヤジに似た。彼女はそれが嫌で……まぁそれが元で家出して帰って来ない。そこは察官、伏せた形ではあるが日本全国に捜索の網が広がっている。ところがこれが一向に見つからない、だから手配はずっと継続されているので この恩義から金縛りになっている。
 時効寸前の誘拐殺人絡みでややこしい下仕込みを命じられ、折から事件の被害者の実名を公開するしないなんてな事で記者クラブと揉めている。上司は阿呆のくせに肝心の情報を明かさない、上司の腰巾着は何やら蠢いている。刑事は端から敵対視して何も言わない。
 なんて事ぁない、言うなれば中間管理職の悲哀じゃないかい。てな話がちんたら延々と続く。
 いかに進まんと言えど、ページ数は消化され、とうとう残り30頁余り、はぁ~このまま終わるんかい。  と、諦め気分で読んでいると……新たな誘拐事件発生! アホな……そんなご都合展開が有るかいな……ところがギッチョン! ここから一気に急展開! 何もかもがビタッと嵌って立派に警察ミステリーに成っちまうからアッチョンブリケ!
いやあ、やられた!メッチャ面白い、この落ちは“極大射程”のラストのカタルシスに繋がる!なぁるほどねぇ。一読オススメ!!
コメント
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