考えるな、感じるんだ!@SPIRIT & RIZE

『エミリー・ローズ』が「究極の恐怖」を目指した映画ではないように、『SPIRIT』は、純粋なアクション映画ではない。
「アクションの再定義」を到達地点とした挑戦的な題材ではあるが、リー・リンチェイという最強の武器を手にしながら、ごちゃごちゃとした観念だけの心理ドラマの枠内に収まってしまう。
この映画は、アクションの主体とはなりえなかった。
精神から解き放たれ無の境地に至ったリー・リンチェイの肉体が炸裂する、それによってアクションが再定義されるという尋常ならざる事態はどこにも存在しない。
すべての映画はアクション映画である。
会話劇が描くべきは会話の内容ではなく、人物同士が会話しているというアクションそのものに他ならない。
『SPIRIT』には、テーマをアクションによって表現するという映画の基本認識が決定的に欠けている。

デヴィッド・ラシャペルの『RIZE』はドキュメンタリー映画であるが、だから何だというハナシだ。
フィクションだろうがドキュメンタリーだろうが関係ない。
「事実が創作よりも上等である」という根拠はどこにも存在しない。
第一級アクション・エンタテイメントでもある『RIZE』には、肉体が、映画が炸裂する瞬間が凝縮されている。
登場する人物のひとりは「おれたちはオリジナルだ。同じダンスはひとつもない」と語るが、『RIZE』が映し出す光景はまさしくオリジナルの瞬間である。
彼らはみな、怒りを表現する。
「怒りこそが、憎しみを駆逐できる。
憎しみは他者に向けられるものだが、怒りは己を変えるものだ」
そんな肉体の主張が、『RIZE』からは発せられている。
怒りを解放し、制御する表現行為としてのダンス。
『RIZE』には、「たゆまぬ努力」や「貧困からの脱出」といったどうでもいいテーマは存在しない。
この傑作が見せ付けるのは、生と死の間で躍動する肉体と、編集によって物語化された映画の運動そのものであり、理解の行程を必要としない体験なのだ。
『RIZE』は、真のアクション映画である。

業務報告
●リー・リンチェイは『SPIRIT』でこの手の格闘映画から身を引くらしい。
前言撤回は歓迎するが、これ以上やってもまたしょうもない企画に拾われるだけかもしれないしなあ。
本当の意味で「ストーリーのない映画」に出て欲しかった。
●おれはこっち方面の専門家じゃないんですけどね。
長年のファンの感想が聞きたいものです。
●そう言えば、そうそうたる格闘スターの美技をズタズタに加工した挙句ゲージュツ家ぶってる巨匠がどっかにいたなあ。
ね?->チャン・イーモウ@『HERO』
●『RIZE』は、最近観たドキュメンタリーの中では群を抜いておもしろい。
これ、ヘタすると『燃えよドラゴン』並みに影響受けちゃうぞ。
おれには『マッハ!!!!!!!!』よりもずっと衝撃的だった。


RIZE

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コメント ( 7 ) | Trackback ( 29 )
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コメント
 
 
 
TB、ありがとうございました。 (せぷ)
2006-04-10 21:33:01
TB、ありがとうございました。

早速返させていただきます。



いつもながら深く考察されていて、感心させられます。

『Spirit』、自分は好きな作品ですが、いわれてみると突き抜けた傑作というわけでもないかも、という気がします。



『RIZE』はまったく興味がなくスルーしたのですが、レビューを読む限りではかなり面白そうですね。

DVDになった暁には借りて見ようかと思いますが、はたしてパソコンの小さな画面で見るような作品なのでしょうか?
 
 
 
せぷさんどーもです。 (ryodda)
2006-04-11 09:29:09
『SPIRIT』はおもしろいんですけど、まだまだ物足りないって感じでした。

もっとおもしろくできる題材だったと思います。

『RIZE』はヤバイです。

今年観た中で誰かに薦めるならこれですね。
 
 
 
TBありがとうございました♪ (ルールー)
2006-04-11 10:30:59
映像もキレイだったし、とにかく「魂」のこもった踊りにこちらの魂もぶち抜かれた感じでした。

わたしもみんなに薦めたい映画です。

ということで、今後ともよろしくです~
 
 
 
TBありがとうございました (mugi)
2006-04-11 20:27:35
TBありがとうございました。



『RIZE』のダンスバトルはすごかった。

生まれながらに黒人と日本人は違うと思いました。
 
 
 
コメントありがとございます、 (ryodda)
2006-04-12 16:23:55
ルールーさん、mugiさん。



ルールーさん、『RIZE』のダンスには確かに魂がこもっていました。

それを、台詞や表\情ではなく肉体の動作で表\現しているのがすばらしいと思います。



mugiさん、確かに日本人と彼らとでは遺伝されたものや育った環境は大きく違いますが、日本人だってやればできると思いますよ。

映画でも、白人やアジア系の人がチャレンジしてましたけど、違う形であれ、どうやって自分を曝け出せるかが大事なんじゃないかと。

最初からみんなに認められるものなんてないわけですし、今の日本には「みんなに認められないと意味がない」という雰囲気が過剰だと思います。

いずれ認められたい、というのは必要でしょうが、最初から認められなきゃいけないというのでは、息苦しいだけで何ひとつ解決しない気がします。

ちょっと話を大きくしすぎましたか。笑
 
 
 
TBありがとうございました (さわわ)
2006-04-15 22:37:18
はじめまして!TBありがとうございました

RIZEはほんと凄かったですね!

観ていて自然に泣いてしまってました

あのルズム感は彼らならではですよね
 
 
 
思わず、の瞬間 (ryodda)
2006-04-16 19:16:12
さわわさん、コメントどうもです。

自然と泣けてくる、目が釘づけになる、映画を観ていて一番幸せなのはそういうときですよね。

できるだけ多く、そんな映画と出会っていきたいものです。
 
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