呼吸不全患者で身体所見やエコーから肺血栓塞栓症を疑う事はしばしばある。
その中で造影CTを撮像し、血管内に造影されない領域が認められれば、肺血栓塞栓症!と飛びつくことになる。
しかし、肺血栓塞栓症のガイドラインを見ると、除外すべき疾患として
1.特発性または遺伝性肺動脈性肺高血圧症
2.膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症
3.先天性シャント性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症
4.門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症
5.HIV感染に伴う肺動脈性肺高血圧症
6.薬剤/毒物に伴う肺動脈性肺高血圧症
7.肺静脈閉栓塞性疾患,肺毛細血管腫症
8.新生児遷延性肺高血圧症
9.左心性心疾患に伴う肺高血圧症
10.呼吸器疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症
11.その他の肺高血圧症(サルコイドーシス,ランゲルハンス細胞組織球症,リンパ脈管筋腫症,大動脈炎症候群,肺血管の先天性異常,肺動脈原発肉腫,肺血管の外圧迫などによる二次的肺高血圧症
このような記載がある。
最後のその他の肺高血圧症。
肺動脈原発肉腫について。
1923年にMandelstammが報告して以来、現在まで300例程度の報告。
肺塞栓症研究会の中でまとまって記載されているものでは、
腫瘍性肺塞栓症は肺塞栓症の4%程度に認められ(Circ J 2007;71;1765-71)、塞栓子の大きさからマクロ、ミクロの腫瘍塞栓に分類される。
マクロ腫瘍塞栓は肝癌や腎癌に代表される進展した腫瘍が下大静脈などを通り、肺動脈を閉塞するもの。
ミクロ腫瘍塞栓は乳癌に多く、毛細血管から経静脈的、ああるいはリンパ系を介し、肺動脈にいたるもの。
肺動脈原発肉腫は前者にあてはまり、右室や肺動脈から発生した腫瘍がマクロ腫瘍塞栓を呈してくる。
心臓腫瘍は非常に稀な疾患であるが、ほとんどは良性である。
血管肉腫は心臓腫瘍全体の数%で見られる極めて予後不良な疾患である(Cardiovasc pathol 2006;15:110-2)。診断時、すでに80%の症例で転移を認め、90%以上の症例の予後は9ヶ月未満である。
術前の良悪性の鑑別は困難であり、術中の病理組織から診断するしかない。
術前に診断するのは難しい。
PET-CTは有用とする報告はいくつかあるが、肺血栓塞栓症と考えている中で、まずはPET-CTとはならないだろう。
線溶系異常に乏しいという報告もあるが、これも判断は難しい。D-ダイマーが1.4のMassive PEも見る事がある。
echo所見で右室内に腫瘍が見える場合もあるようだが、これも血栓と区別がつくか難しい。
心臓MRIの分解能で区別はつくか?
予後に関しては、Am J Clin Pathol 2006;125:419-24では12例が報告されている。
診断時の平均年齢は48.4歳。組織形態と免疫組織化学的所見に基づき、2例は横紋筋肉腫、4例は平滑筋肉腫、1例は骨肉腫、1例は血管肉腫、4例は高悪性度肉腫に分類された。
すべての患者で手術が施行された.
7例は術前または術後の補助療法が施行された。
2名が長期生存。40か月、68か月。この両者は平滑筋肉腫であった。
他の報告を見ると、外科手術が行われなければ、1.5か月。
外科手術が行われた場合は10か月。
と言うようなものもある。
こんな疾患は鑑別にさえ上がらなかった。
まだまだ知らないことだらけ。
その中で造影CTを撮像し、血管内に造影されない領域が認められれば、肺血栓塞栓症!と飛びつくことになる。
しかし、肺血栓塞栓症のガイドラインを見ると、除外すべき疾患として
1.特発性または遺伝性肺動脈性肺高血圧症
2.膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症
3.先天性シャント性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症
4.門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症
5.HIV感染に伴う肺動脈性肺高血圧症
6.薬剤/毒物に伴う肺動脈性肺高血圧症
7.肺静脈閉栓塞性疾患,肺毛細血管腫症
8.新生児遷延性肺高血圧症
9.左心性心疾患に伴う肺高血圧症
10.呼吸器疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症
11.その他の肺高血圧症(サルコイドーシス,ランゲルハンス細胞組織球症,リンパ脈管筋腫症,大動脈炎症候群,肺血管の先天性異常,肺動脈原発肉腫,肺血管の外圧迫などによる二次的肺高血圧症
このような記載がある。
最後のその他の肺高血圧症。
肺動脈原発肉腫について。
1923年にMandelstammが報告して以来、現在まで300例程度の報告。
肺塞栓症研究会の中でまとまって記載されているものでは、
腫瘍性肺塞栓症は肺塞栓症の4%程度に認められ(Circ J 2007;71;1765-71)、塞栓子の大きさからマクロ、ミクロの腫瘍塞栓に分類される。
マクロ腫瘍塞栓は肝癌や腎癌に代表される進展した腫瘍が下大静脈などを通り、肺動脈を閉塞するもの。
ミクロ腫瘍塞栓は乳癌に多く、毛細血管から経静脈的、ああるいはリンパ系を介し、肺動脈にいたるもの。
肺動脈原発肉腫は前者にあてはまり、右室や肺動脈から発生した腫瘍がマクロ腫瘍塞栓を呈してくる。
心臓腫瘍は非常に稀な疾患であるが、ほとんどは良性である。
血管肉腫は心臓腫瘍全体の数%で見られる極めて予後不良な疾患である(Cardiovasc pathol 2006;15:110-2)。診断時、すでに80%の症例で転移を認め、90%以上の症例の予後は9ヶ月未満である。
術前の良悪性の鑑別は困難であり、術中の病理組織から診断するしかない。
術前に診断するのは難しい。
PET-CTは有用とする報告はいくつかあるが、肺血栓塞栓症と考えている中で、まずはPET-CTとはならないだろう。
線溶系異常に乏しいという報告もあるが、これも判断は難しい。D-ダイマーが1.4のMassive PEも見る事がある。
echo所見で右室内に腫瘍が見える場合もあるようだが、これも血栓と区別がつくか難しい。
心臓MRIの分解能で区別はつくか?
予後に関しては、Am J Clin Pathol 2006;125:419-24では12例が報告されている。
診断時の平均年齢は48.4歳。組織形態と免疫組織化学的所見に基づき、2例は横紋筋肉腫、4例は平滑筋肉腫、1例は骨肉腫、1例は血管肉腫、4例は高悪性度肉腫に分類された。
すべての患者で手術が施行された.
7例は術前または術後の補助療法が施行された。
2名が長期生存。40か月、68か月。この両者は平滑筋肉腫であった。
他の報告を見ると、外科手術が行われなければ、1.5か月。
外科手術が行われた場合は10か月。
と言うようなものもある。
こんな疾患は鑑別にさえ上がらなかった。
まだまだ知らないことだらけ。