シンコーひまつぶし Ⅱ

しまてつの本

最近相次いで島原鉄道関連の書籍を入手した。画像左は島原鉄道が発行した「ありがとう南線 思い出をつないだ20の駅」と題された、南線廃止記念誌で廃止区間の駅の紹介を中心とする写真集である。定価2100円で島原鉄道のHPからも購入出来る。
画像右は平成10年に福岡の葦書房から発行された「噴火と闘った島原鉄道」と題された雲仙普賢岳火砕流被災から復興へのドキュメントである。
この本の存在は知らなかったのだが、たまたま中古本がネット販売で出ていたのを目にしたので購入してみた。
改めて噴火被害の酷さと復興が困難を極めた事を実感する。

島原鉄道南線廃止からひと月が経とうとしている今、これらの本をほぼ同時に入手したのは偶然ではあるが、今一度2月に最後の乗車をした廃止区間の思い出に浸っているところである。

コメント一覧

のんた
ちょっと難しい説明になりまして、申し訳ございません。わかりやすい例え話が浮かびました。

1年しか使っていない新車のバスが、路線廃止により浮いてしまった。定員の少ない特殊な仕様で、マイクロバスで済むような路線に転用されたとします。
条件の比較
橋:バス 耐用年数50年:法定耐用年数5年 実質使用可能年数150年:15年 転用は自転車道(本来は1/3の費用):他路線(本来は1/3の車両価格)

たぶん、趣味の掲示板では、勿体ない、転用先はここが良い、経営責任といった意見で、1ヶ月ぐらい盛り上がるでしょう。
橋梁については、土木マニアは少なくてクールなので、表だった意見が見えず、考え方が一般の方々にわかりやすく示されないだけなんです。

必要と判断して新車を買ったことについては、判断ミスとして外野からも手厳しい意見があるでしょう。
橋梁では、観光鉄道や地域の足として存続とした「判断」の部分に相当しますが、施設の耐用年数から10年以上先を見通さなければならないことに難しさがあります。しかし、最近話題の無駄な道路のように、細かい計算をしなくても役に立たないもの、将来行き詰まるものの予測は可能なように思えます。

また、新車のバスが何らかの補償物件であれば、経営責任は生じません。
橋梁の場合も法的には誰も責任を問われません。が、この橋梁工事をしない選択により他の治水事業を進め、人命・資産を守ることができたわけですから(毎年のように土砂災害・洪水氾濫が起こっており、整備を待っている地域はたくさんあります)、誰かが助かっていたかもしれないという損得勘定を超えた重い課題が背景にあるわけです。
無駄を省く観点から、さらに地域が幸せになるためには、復旧ありきでなく廃止も選択肢にいれた本音の議論を行うこと、その土俵づくりが初めに述べた復旧相当額を廃止対応基金として積み立てる等の柔軟な制度対応かなと思っております。
のんた
そうなんですよね。鉄道を存続する意向はあったわけでして。

問題は、このような経緯に無関係に不経済が発生するところです。
原因は、無駄に投資されたインフラストラクチャーの非常に特殊な性質にあります。それは、
・耐用年数が非常に長いこと
・税金が使われたこと(本四架橋関連も実質的に)
・労働集約型の危険の伴う事業であること(オートメ量産ができない)
にあります。50年程度は使わないと勿体ないことになり、決して楽な生活をしていない納税者の負担であること、このような施設を作るため汗水たらし徹夜までして現場で命がけで働いた人が居たこと。

個人レベルで例えると、家を継ぐものの居ない山中の一軒家の余命いくばくもない住人が、自力で豪邸を建てるなんてことはしません。それが、自分の懐が痛まないと(補償・災害復旧)、180度変わります。余命(廃止)の自覚があっても...

だからと言って、工事する時に需要予測して、50年間安泰なんて結論を出すのは難しいです。結構高額な調査費を掛けた道路の需要予測だって、最近話題になっているように大はずれします。
ただ、既得権にこだわっていると社会全体が無駄な事業を動かすことになり、どこかで負の連鎖を断ち切らないと、私たちの生活は楽になりません。

他線の事例から南線の廃止が不可避なことは、前世紀からわかっていました。
それはトカゲの尻尾切りの原理による必然であり、今世紀まで存続できたのは事業者側の想像を絶するコストダウン(何を意味するかわかる人はわかるでしょうけど)にありました。
まさに事業者の孤軍奮闘であり、島原半島の独特の地形条件も影響してか地元は驚くほど無関心でした。(一握りの思い入れのある方を除いて)

「邪馬台」バスは2台も出演ですか。BCにしては小振りなので変に思っていたら、そういうことだったんですね。ベースのクリーム色、現車と同じに見えましたが、このあたり過去車の色番号まで確認して再現したのか、何も考えずに現車通り塗ったのか、知りたいところです。
gomaさん。出演者の宣伝、よろしくお願いします。(謎)
シンコー
>のんたさま
遅レスとなりすみません。
下電と島鉄の存続は状況が違ったと思います。下電は観光鉄道として残そうとしたわけで、島鉄は住民の足として残そうと地元の熱意も島鉄の熱意も相当あったのではないでしょうか。

「まぼろしの邪馬台国」は楽しみにしております。バスは福山自動車時計博物館がレストアして保有していた中国バスの38年式いすゞBR351/川崎です。もう1台まだレストアしていなかった電機メーカー自家用の44年式日産キャブスターE690/富士重と共に関東地方の劇用車会社に移籍してこれが初仕事だったようです。
確かに島鉄カラーは新旧選ばず似合うと思います。
のんた
すいません訂正です
(誤)
島原の子守歌の作詞作曲者であり、昔、民放の朝ドラにも登場していました。
(正)
島原の子守歌の作詞作曲者であり、昔、康平氏をモデルとした民放の朝ドラもありました。
のんた
地方私鉄としてはメディアへの登場が多く、これは盲目重役として知られる宮崎康平氏の功績によるものです。島原の子守歌の作詞作曲者であり、昔、民放の朝ドラにも登場していました。

さっき放送のNHKのプロフェッショナルでは、康平氏と妻和子さんの半生を描いた映画「まぼろしの邪馬台国」が紹介されていました。(番組の後半は映画のメイキング映像に近く、少々唖然としましたが)
バスの方は、富士重(たぶんバス友の会保存のいすゞBC151P)が、ピカピカの島鉄色(現行色)に塗られていました。あのカラーは新車から旧型車までよく似合います。
康平夫妻の孫の宮崎香蓮さん(NHKドラマバッテリーに出演)、麻生祐未さん(NHK朝ドラほんまもんの白鳥聖子役)、音楽:大島ミチルさんなど、結構長崎出身者で固めているようです。

宮崎重役時代は雲仙への観光客の獲得で県営バスと熾烈な争いをした島鉄ですが、その後、普賢岳噴火に伴う経営危機に際して県が上位株主になりライバルと同族関係になり、島原半島地区の県営バスの事業を譲受するなど、康平氏も想像のつかなかった展開を見せることになります。
のんた
本にも書いてあるかもしれませんが、島原鉄道のバスが噴火の時期に大型車ばかり導入していたのは、緊急避難時の輸送力確保のためと聞いたことがあります。

水無川の改修が進んでいない頃、規制雨量に達して10分差で通行止めに遭遇したことがあります。多以良~長洲航路経由で広島へ戻る予定が不可能になり、雲仙へ登って長崎で1泊追加となりました。

それにしても水無川付近の鉄道整備区間は勿体ないですね。高架橋まで入れると数十億円は掛かったはずで、南線の廃止モニュメントとしては高価すぎます。
下津井電鉄でも同様なことがあり、本四架橋施工時に同時廃止なら数億~十億円くらいは浮いたはずです。
治水事業・道路事業に伴う機能補償として事業者負担がほとんど無いため、これまでほとんど議論無くやっちゃう事業です。最近はガソリン税に見られるよう限られた税金の使い方を考え直す時期に来ています。
将来、橋梁等の耐用年数を大幅に残して廃止の可能性がある場合は、即座に廃止して補償工事相当額を代替交通機関の基金として交付するような制度があっていいと思います。(個人住宅が補償対象となった場合、補償費をもらった後の使い方は自由です)
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