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知られざる台湾版NSC

2010年03月02日 21時13分18秒 | 台湾ニュース

 みなさんは、「NCS」と聞いて、すぐにピンと来ますでしょうか。National Security Council、米国のNCS・国家安全保障会議は、米国の国防や外交に関する最高意思決定機関で、国家安全保障政策の中枢として知られています。
 実は日本にも、内閣に置かれている安全保障会議というものがあるのですが、意思決定機関という位置づけではありません。一時は、米NSCの日本版に仕切り直すという案が検討された事もありましたが、その後撤回されました。
 議院内閣制と大統領制という違いや、そうした強力な権限を持つ機関を設置する事への意見集約の難しさから、日本版NCSが誕生する事は当分なさそうな雰囲気です。

 さて、ところ変わって、ここ中華民国台湾に、言わば台湾版NCSとも呼ぶべき、「国家安全会議」が存在する事は、あまり知られていないようです。
 1993年に当時の李登輝総統が制定したこの国家安全会議とは、総統府に直属している、総統のための諮問機関です。
 その任務は、総統が国家安全に係る問題で決定を下すための助言などであり、その「国家安全」とは、「国防、外交、両岸関係、および国家の重大な異変に関連する事」であると憲法で定められています。
 両岸問題は、純粋な内政とも外交とも異なる、台湾独特の領域ですから、つまりは、内政以外の問題+重大問題を担当する最高機関、という事になります。

 国家安全会議の助言などを経た上で最終的に決定を下すのは、会議主席でもある総統本人ですが、実質的に中心的役割を果たしているのは、「国家安全会議秘書長」です。
 この国家安全会議秘書長という地位は、米NSCに例えるなら、ホワイトハウスの最重要ポストの一つである国家安全保障担当補佐官に相当します。というとおのずから、台湾の安全保障政策における同会議秘書長の地位の重要性が分かろうかと思います。

 おそらく一般のニュースでは、国家安全会議についても、またその秘書長についても、あまり耳にした事はないのではないかと思います。
 それもそのはずで、国家安全会議は、国家政策を決定する最高機関ですから、その会議内容などが公にされる事はほとんどありません。

 2月23日付けの上の写真は、台湾の新旧国家安全秘書長が並んだ、貴重な一枚。左側が、蘇起・前国家安全会議秘書長、右側は、旧正月の連休明け初日、2月22日付で新秘書長に就任した胡為真氏です。
 蘇起氏は、旧正月前に電撃的に辞任を発表。健康上の理由と説明されていますが、対米関係の懸案事項であった牛肉輸入問題に関連し自主的に事実上の引責辞任をしたとの見方も少なくありません。

 いずれにしても、馬英九政権一期目の任期半分を目前に、台湾の国家安全保障政策のトップは交代する事になりました。
 「中国大陸との和睦・日本との友好・対米関係の強化」を外交の柱とした蘇起・前秘書長の路線が今後どのようになって行くのか、見守りたいと思います。(華)



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3 コメント

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Unknown (???)
2010-03-03 10:02:49
真ん中の人は誰ですか?

黄色い包みは何ですか?
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ご紹介します ()
2010-03-03 20:11:14
おっと、説明不足でしたね。ご指摘ありがとうございます。
写真真ん中の人物は、蕭萬長・副総統です。
副総統、と言えばナンバー2な訳ですが、海外の方が目にする機会はあまり多くないかも知れません。
真ん中の包みには決済印が入っています。
つまり、その職位の権限を表す決済印を手渡す事で、任務の受け継ぎを表しています。
↓の過去記事などもご参考にどうぞ。

http://blog.goo.ne.jp/rtijapaneseblog/e/bf8809704a697906e53bff45958e252f
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Unknown (???)
2010-03-04 10:13:04
昨年の自民党から民主党への政権交代で、諸大臣の引継ぎ場面の報道は、ぶ厚い引継ぎ文書ファイルを新大臣に渡していました。

決済印の引継ぎは、象徴的ですね。

それにしても、どでかい印璽だ。
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