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デフリンピック メダリストの横顔

2009年09月10日 22時07分57秒 | スポーツ

台北デフリンピック、競技が始まって早5日が過ぎました。
9月10日現在、台湾(チャイニーズ・タイペイ)は金6・銀8・銅6、計20個のメダルを獲得、国地域別の金メダルの数では第4位、メダル合計数では第3位と大健闘しています。
と、メダルの数ばかりが先行して報道されるのがオリンピックですが、どんな人たちがメダルを獲得したのか、今日は6日から10日までの台湾のメダリスト達をご紹介したいと思います。

まず、上の写真は、卓球の男子団体で9日に金メダルを取ったチャイニーズ・タイペイチーム。
前回のデフリンピックでも金メダルを取っている卓球男子団体は、決勝で宿敵のウクライナと対戦。2勝1敗となった後の4人目で、先に2セット取られた後、3セット連取して逆転勝ち、プレッシャーの中金メダルを守りました。

 

7日に銀メダルを取った空手男子67キロ以下の戴文祺選手(左から2人目)。
戴文祺選手選手は現在43歳で、空手は30年のキャリアの持ち主。
4人のお子さんのシングル・ファザーでもあり、子供たちはお父さんのデフリンピック出場の夢をかなえるため、自律的にサポートしてくれたそうです。
今後はコーチに転向し、デフリンピックの空手を世界に広め、健常者と同レベルにしたいそうです。

 

7日にテコンドー男子58-68キロ級で銀メダルを取った林伯聰選手(右端)。
28歳でチャイニーズ・タイペイのテコンドーチーム隊長だった林伯聰選手は、このデフリンピックのために足の痛みと闘いながら練習し、練習の後さらに夜中の1時までリハビリをしていたのに、みんなの前ではいつも笑って「大丈夫、大丈夫」と言っていたそうです。
デフリンピックは今回で最後にし、その後は学業を終えて公務員になり、女手一つで育ててくれたお母さんを助けたいという親孝行です。

 

8日のボウリング女子個人で金メダルを取った張堯茜選手(右)と、銅メダルを取った林香孜選手(左)。
スコアは張堯茜選手が1134、林香孜選手が1106。
林香孜選手は元々陸上の選手でしたが、足を負傷してボウリングに転向し、転向後初のデフリンピックである今回メダルを獲得しました。
メダル確実と期待されていた男子の張立孝選手は、利き手の左手が腱鞘炎になり、残念ながら20位で涙をのみました。

 

8日の空手男子75-84キロ級で金メダルを取った呂金鋒選手(左)と、空手女子68キロ級で銀メダルを取った林文芳選手(右)。
呂金鋒選手は決勝の対戦相手が準決勝の時の反則のため出場停止になり、不戦勝で金メダルを獲得。小さい頃は耳が聞こえないためにいじめられ、自分を守るために空手を始めたそうです。
林文芳選手は、なんと上のボウリングの銅メダリスト、林香孜選手のお姉さんで、姉妹が同日にメダルを取ったという大快挙でした。
林文芳選手は38歳、空手を始めてまだ4年しか経っていないそうです。
以前は陸上や柔道をやっていたということなので、何でもできてしまうスポーツ万能の人なんですね。

 

8日の柔道男子超軽量級で銅メダルを取った徐偉倫選手(右端)。
29歳の徐偉倫選手は中学のときに柔道を始め、彼より11歳年上のお兄さんがずっと励ましてくれたそうです。
そのお兄さんが昨年交通事故で亡くなり、徐偉倫選手はそのショックで在学していた台北体育学院を休学。
この銅メダルは亡くなったお兄さんに捧げるということです。
今後は、再び学業を志し、大学院合格をめざすということで、さらに柔道に磨きをかけ、4年後は金メダルを取りたいそうです。


 

8日のテコンドー男子68-80キロ級で銅メダルを取った顔國承選手。
敗者復活戦の末につかんだ銅メダルでした。


 

8日に棒高跳びで銀メダルを取った安慶隆選手。
今回出した記録4メートル55は、彼の自己記録4メートル22を大きく上回り、台湾の聴覚障害者棒高跳び全国記録を作りました。

 

8日のオリエンテーリング女子短距離で金メダルを取った郭嘉秘選手(中央)。
この金メダルは、ずっと応援してくれていた今年3月に子宮頸がんで亡くなったお母さんに捧げたいそうです。
郭嘉秘選手は今回のデフリンピックで、オリエンテーリングの他にも、バスケットボールと円盤投げという全く違う3つの種目に出場しているという、スーパースポーツウーマンです。

 

8日のオリエンテーリング男子短距離で銀メダルを取った鄞綸宏選手(左)。
鄞綸宏選手はなんと、上のオリエンテーリング女子金メダリスト、郭嘉秘選手の義理のお兄さんだそうです!
3年ほど前に郭嘉秘選手の紹介でオリエンテーリングを始めたそうです。
家庭では一男一女の良きパパです。

 

9日のハンマー投げで銅メダルを取った林根選手(右端)。
54.94メートルを投げ、以前自分で出した全国記録、54.27メートルを更新しました。
23歳の林根選手は新竹県尖石郷のタイヤル族の人で、現在母校で体育教師になるべく実習中とか。
今後は教師資格を取り、体育の先生になるか、コーチになりたいそうです。
ちなみに、金メダリストは日本の森本真敏選手(中央)。
森本選手は元々59メートル44の世界記録保持者でしたが、今回はその記録を上回る61メートル08を投げ、世界記録を更新しました。
森本選手は指導を受けているハンマー投げのオリンピックメダリスト、室伏父子に感謝していました。

 

9日の女子25メートルピストルで銀メダルを取った高雅茹選手。
高雅茹選手は射撃を始めてまだ1年だそうで、予選時のトラブル(弾詰まり)がなければ金メダルは確実だった、とコーチは悔しがっていました。
しかし、短期間でこれだけの成績を出せるのは素質がある証拠で、今後が楽しみな選手です。
高雅茹選手は芸術デザイン科を卒業しており、元々今年はアメリカに留学して、国際手話と芸術を学ぶはずだったそうですが、デフリンピックのために1年延ばして参加したそうです。

 

10日の柔道男子90キロ以下級で銅メダルを取った林茂昌選手。
林茂昌選手は46歳、保険会社で働いているそうです。
仕事とトレーニングの両立、しかも対戦相手は10歳以上も年下という中でのデフリンピックは非常に大変だったようですが、勝利への執念でメダルをもぎ取りました。
今後はコーチに転向して若い世代を育てると共に、大学院へ進んでさらに勉強したいということです。

ひとつひとつのメダルの裏に、それぞれの人生があり、忘れそうになってしまいますが、彼らはみな聴力障害を持ちながら、人生に挑戦し続けている人たちです。
自分はできることをやらないでいることはないか。
夢は持っているか。
そういうことを考えさせられるデフリンピックです。
デフリンピックがあるから、みんなで応援しましょう、なんて言っていたけれども、世界中の人たちに「がんばれ」と言ってくれているのは、選手達であるような気がします。
こんな風にまとめるとまるでもう終わるみたいですが(笑)、まだまだ有望な種目がいくつもありますよ!(尾)

(写真提供: 台北デフリンピック準備委員会基金会) 



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2 コメント

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Unknown ()
2009-09-12 01:41:50
本当、「がんばれ」と言ってくれるのは、デフリンピックに出る選手達のほうです。
いろいろ考えさせるデフリンピックは、88水害に遭遇した台湾にとって、とても意味深いものですね。
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Unknown ()
2009-09-16 01:13:37
檀さま、コメントありがとうございます。
本当に、デフリンピックは思ったよりずっと、感動と感慨のある大会でした。
選手の活躍を見て、励まされた被災者の方たちも、きっとたくさんいたのではないでしょうか。
これをきっかけに、障害者スポーツが重視されるようになるといいですね。
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