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11月五都選挙① 国民党の候補者って?

2010年06月02日 19時46分11秒 | 政治

 今、台湾で最も熱い話題と言えば「5都市長選挙」でしょう。
 行政院直轄市というのは、台湾ならではの理由があって成立した地方自治体ですが、今では、例えるなら日本の政令指定都市のような位置づけの特別市となっています。
 直轄市の市長は行政院院会(閣議)への出席権を有し、予算も一般の地方自治体よりも優先的に配分されます。
 台湾における直轄市の市長というのは、日本の都道府県知事よりも更に、政治的にも、また経済的にも大きな力を持つ存在なのです。

 これまで、直轄市は首都・台北市と、南部の高雄市の二つでしたが、今年の12月25日付けで、直轄市は以下の5都市へと増える事が決まっています。

 ・台北市(そのまま)
 ・高雄市(現行の高雄市に高雄県が合併)
 ・新北市(台北県が単独昇格)
 ・台中市(台中県・市が合併昇格)
 ・台南市(台南県・市が合併昇格)

 さて、直轄市が2都市から5都市に増えるのですから、このうちどれだけの市長ポストを獲得できるかは、与野党双方の勢力に大きく影響してきます。
 11月の直轄市選挙は、2012年の次回総統選挙の前哨戦とも言われていますから、与野党いずれにとっても、負けられない勝負です。

 5月末までに、与党・国民党、野党・民進党とも公認候補者が決定し、今月から本格的な選挙モードとなっています。
 日本では、民進党の蔡英文・主席の新北市出馬だけが大きく報じられたようですが、与野党から出揃った5都市の候補者たちはいずれも、今の台湾政界を代表する人物ばかり。
 まずは、民進党より一足早く5月12日に公認決定を終えた、与党・国民党の候補者からご紹介したいと思います(民進党についてはシリーズ②として別途ご紹介します)。
 5月12日に行われた公認発表会見(上の写真)の順に、南から参りましょう。


高雄市長候補の黄昭順・立法委員
(昨日6/1、ショートカットにイメチェンしました)

 黄昭順・女史は、高雄市選出の立法委員。高雄市議会議員から始め、立法委員は既に6回当選という大ベテランです。
 彼女は、国民党の中央常務委員でもあり、党内の中常委選挙では毎回他の党員を圧倒するすさまじい得票数を獲得しており、もはや長老級(57歳ですが)。
 見た目はちょっとコワイ(!?)のですが、有権者の人気は高く、民進党の地盤である高雄に切り込める候補者として指名されました。


台南市長候補の郭添財・元立法委員

 以前、台南県選出の立法委員をつとめており、先日まで同県のビジネススクールで副校長をしていました。
 台南生まれの台南育ち、前回の台南県長選挙にも出馬し、民進党の現職に敗れたものの、国民党が弱いと言われる台南県で3%差まで迫った実力が評価され、再出馬となりました。
 アウェーながら温和な人柄で人望が厚く、「厳しい選挙区だが、不可能を可能にしたい」と語っています。


現職の胡志強・台中市長

 日本で胡志強・台中市長について報じられる事は少ないのですが、台湾では、政界きっての実力者として、馬英九・総統と人気を二分しています。
 これまでに外交部長や新聞局長をつとめ、台中市長就任後は、「治安が悪い」「台北や高雄に比べ見劣りする」と言われる事の多かった台中市を、みごとに発展させました。
 ちなみに、台中市では近ごろ暴力団関係者によると見られる発砲事件が相次ぎ、再び治安の悪化が心配されていますが、胡志強・市長は6年ぶりに警察の治安維持部隊派遣を要請、「黒道(ヤクザ)」一掃に強い姿勢で臨んでいます。
 当選確立は高い言われていますが、「人生を賭ける覚悟で最後まで戦う」と気を抜かず全力で勝負です。


新北市長候補の朱立倫・前行政院副院長

 今回、国民党の候補者の中でも最も注目を集めているのは、この人。
 新北市(現在の台北県)は、現職の県長は国民党ですが、勢力的には国民党と民進党が伯仲する地域として知られています。
 新北市をどちらが押さえるかが5都選挙の勝敗を左右すると言ってよく、ポスト・馬英九の一人と言われる朱立倫氏は、行政院副院長を辞しての参選です。
 長身で温厚な雰囲気の朱氏は経済の専門家で、桃園県長時代に同県を発展させた功績があります。
 民進党は新北市に主席である蔡英文・女史の投入を決めており、大物対決となります。
 落下傘候補という点を不安視する声はありますが、高い知名度と実績で大勝負に挑みます(ちなみに蔡英文・主席も落下傘です)。


現職の郝龍斌・台北市長

 最後の一人は、台湾の顔である首都・台北市の現役市長、郝龍斌・市長。
 馬英九・総統も台北市長出身で、馬・総統の後を受ける形で首都・台北を運営してきました。 
 台北市長は、「総統への階段」と言われるポスト。新北市候補の朱立倫氏と並んで、ポスト・馬英九の一人に数えられている郝・市長は、元行政院長を父に持つ台湾政界のサラブレッドです。
 市政運営では、台北新交通システム・MRTのトラブル多発など問題にも見舞われていますが、同市は基本的には国民党の地盤なので優位な選挙戦展開が予想されています。


候補者が一人ずつ、党旗を振って気勢をあげる
台湾では政治も賑やかなパフォーマンスが好まれる

 現行の制度下では、国民党は5都市のうち3都市を押さえています(台北市、台北県=新北市、台中県・市=台中市)。
 主席である馬英九・総統(下の写真中央)、金溥聡・秘書長(左1)は、3都市の維持に加えて、南部2都市への切り込みを宣言しています。
 今回の選挙、国民党のキャッチフレーズは「一つの心・台湾、5都前進」(候補者たちの後ろの壁にでかでかと貼られている)。
 あと半年、どのような選挙戦が展開されるのか、楽しみです。(華)

5/31の「数字の台湾」では、国民党の5都市市長候補者たちのメッセージを生音声でお伝えしています。
顔を覚えたら、ぜひ声も聞いてみてください!5/31の日付からどうぞ!



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1 コメント

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Unknown (つるを)
2010-06-03 12:50:40
非常に参考になりました。次回、民進党候補者もよろしくお願い申し上げます。
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