上砂理佳のうぐいす日記

銀座中央ギャラリー「10×10版画展」は無事終了。お越しいただいた皆様、ありがとうございました★

クランストンは画家さんでした

2005-01-25 | フィギュア昔話
ジョニーの演技批評記事に「J・カリーとトーラー・クランストンを思い起こさせる」という記述があったので、こうして昔の方の話をしてるわけですが。

実際、私がこの人を見たのは確か日本で開催されていた?世界プロフィギュア選手権でした。
なぜ、そんなもんが民放で放映されていたのか?多分、五十嵐さんが引退して翌年、世界プロで優勝したからではないだろか。俄然、注目が集まったのでは?(日本開催か否かは自信無し)
当時の「世界プロ」は今みたいにプロ・アマオープンでなく、正式引退した選手のみしかエントリー出来ませんでした。だからアマ選手は寿命が短かったのかも。ショーも確か出られなかった筈だから、お金を稼ぐ機会がなかなか無いですよね。

この時、各種目6人くらいが出てて、米国のデビッド・サンティー(今のN・ヤングみたいなヒト)、西ドイツのノルベルト・シュラム(今のサンデューみたいなヒト)とか、とにかく「キテレツな人」オンパレード。
その中でも、トーラー・クランストンはとにかく「柔軟性」スゴかった!

N杯でカナダのショーン・ソーヤーって若い男の子いましたよね。
両足が180度開脚する人。あんな感じです。
えんえん、とにかく深海のタコみたいに柔らかい(笑)。
コーエンがよく片足と顔を天に向けて上げて、両手でバランスを取ってツイーと滑るやつ。スパイラルの一種というのか?アレをもっとゆっくり足を上げていって、軸足とフリーレッグが一直線180度になるんです。
あれは難しい…今なら「レベル3」ですか(笑)。だって今から10数年以上も前ですよ。男の人でそんな動きをやる人って初めて見たわ。
全編そんな調子で、クネクネと、またツィーと、流れるように滑っていく。
もうエエお年のようで、お腹もドーンと張ってて小柄でずんぐりしてました。
そして胸の開いた衣装から胸毛がすごい(笑)。
でも、3回転ルッツまでキチンと跳んで、技術的にも芸術的にも素晴しかった(確かその年は世界プロ優勝なさったような)。

解説者が「彼は著名な画家でもあるんですよ」って言ってたので、長年
「はあ~あ。トーラーの絵ってどんなんだろ?やっぱカンディンスキーばりの抽象かな」
と妄想してました。
で、この度、彼のサイトから辿ってやっとその絵の数々を拝見。
ひえ~。やっぱスケートそのまんま(笑)。
キッチュというか、濃いというか、宇宙人というか、あまり飾りたくないというか…(笑)。

95年のチェン・ルーの「ラスト・エンペラー」の振付は有名ですよね。静香ちゃんの「赤いけし」もトーラー振付でないかな?でも、さすがに競技用の振付は味付けがやや薄い(笑)。
衣装デザインも振付もショー企画も、なんでもやっちゃう。
カナダ選手権6連覇を達成し、ジョン・カリーが金メダルだった76年五輪は、銅メダル。
ジャンプも高くて、エッジワークというのですか?「うまいなあ」ってシロウトの私が見ても魔法のようでした。音楽も凝っていた~。音符のひとつひとつを丁寧に掴んで滑っていました。まあ、現役当時の演技を見てないのでナンですが。

今、私はクリムキンの演技を見ていたら、トーラーを思い出します。やることの一つ一つが「他人と同じ事はしないのじゃ」て心意気が(笑)。
最近、そんな選手が減りました。4回転時代になってからかな~。
なんだろ。スケートって「あんなこともこんなことも」出来るんだ!って、そう思わせて欲しいんだけど、点数取りにギュウギュウになっちゃって、つまらなくなるのは無念です。

…もっとも、新採点法になってちょっと「揺り戻し」というのか、「ジャンプ以外で魅せる」流れが、ここに来てようやく到来かも。
バトル君がWFSで「ジャンプ以外の要素で僕は他の選手をプッシュしてる」と言ってましたね。あれ、なかなか的を得てると思う。だって皆、スピンやステップがもう「並」では駄目だ、って気付き始めてるものね。それはこの競技の発展にはイイ事だと思います。そして何より見る側も楽しい(ショーになってしまって、「競技」としてはいかん、という意見もありますが)。

ジョニーも衣装デザインや振付が好きみたいだし、なんだかトーラーと感性のベースが似ているような気がするのよね。
案外「クランストンの再来」になるかも…(ちょっとやだ)。
コメント
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