人事・労務ニュース

人事・労務管理に関する最新ニュースをお届けいたします。

製造業派遣は原則禁止へ

2009-09-22 | 労務管理
長妻厚労相、製造業派遣は原則禁止 年金記録も再調査

 長妻昭厚生労働相は17日の記者会見で、「製造現場への労働者派遣は原則禁止する」と述べ、労働者の派遣規制を強める考えを示した。ただ、「専門業務は例外だ」との認識も示した。年金記録問題については、死亡したと推定される人など、前政権が「一定の解明が済んだ」としてきた記録の再調査に乗り出す方針を明らかにした。

 派遣規制の強化については、「専門家を交えて検討するのも欠かせない」と語り、審議会による議論などを進めていく意向を示した。年金記録問題については、「国会で追及してきたがやはり不十分。サンプル調査を指示した」と語った。

 月額2万6000円を支給する「子ども手当」については「来年度の半額支給に間に合うように法案成立を目指す」と語った。今後、詳細な制度設計を詰める方針だ。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090918AT3S1703317092009.html

 政権交代が行われ、いよいよ労働行政の方も改革が進行していきそうです。その改革の目玉ともいえる製造業派遣の禁止については近いうちに具体的な案が出てきそうです。製造業派遣については以前から問題点が指摘されており、昨年のリーマンショックを機にその労働形態のデメリットがさらに強調されてきました。製造業派遣については導入当初から識者により疑問符が打たれており、実際雇用の調整弁として弊害は多いように感じます。ただ製造業派遣によって恩恵のあった要素もあったと思いますので、このあたりは記事にもあるとおり専門家と協議し、現場の状況を踏まえた上での改革を行って欲しいと思います。

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関西発電所鉄板倒壊事故 東芝を書類送検

2009-09-16 | 労災
 鉄板倒壊で死傷、東芝など書類送検――舞鶴の火力発電所建設現場事故

 京都府舞鶴市の関西電力舞鶴火力発電所2号機の建設現場で6月、鉄板が倒壊し作業員3人が死傷した事故で、舞鶴労働基準監督署は16日までに、労働安全衛生法違反の疑いで、工事元請けの東芝と同社の現場責任者の男性(62)を書類送検した。

 送検容疑は、現場の下請け業者との間で、鉄板が倒れないようにするための作業手順の連絡と調整を怠った疑い。

 東芝広報室は「工事の安全管理を徹底し、事故の再発防止に努めてまいります」とのコメントを発表した。

 京都府警や関電によると、事故は6月4日に発生。3枚の鉄板を「コ」の字形に溶接する作業中に鉄板が倒れ、福島県いわき市の中野儀二郎さん(当時61)ら2人が死亡し、1人が重傷を負った。府警は倒壊を防ぐための支えの強度が不十分だった可能性があるとみて、業務上過失致死傷の疑いで調べている。

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news001976.html

 6月に舞鶴の発電所で起こった鉄板倒壊事故ですが、やはり作業手順等の連絡、調整がしっかりと行われなかったことが主原因のようです。労災事故は人為的ミスで起こることが多く、こういったちょっとした連絡ミス等が大きな事故につながることが少なくありません。現場では常に安全に対する意識を持ってもらい、労災事故を防止したいものです。

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偽装請負訴訟 パナソニック子会社の敗訴を見直しか

2009-09-15 | 企業
 「偽装請負」訴訟、二審を見直しか 最高裁、11月に弁論

 パナソニックの子会社で請負社員として働いていた男性が、偽装請負を内部告発した後に解雇されたのは違法として、直接雇用などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は14日、弁論期日を11月27日に指定した。

 最高裁では二審の結論を変更する際に弁論を開くのが通例。「同社と男性の間で黙示の労働契約が成立していた」として雇用義務を認めたうえで、未払い賃金の支払いなどを命じた二審・大阪高裁判決が見直される可能性が出てきた。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090914AT1G1402H14092009.html

 これは高裁判決が変更されそうな感じですね。企業側の主張がある程度通った形になるかもしれません。最近は偽装請負という言葉もそれほど聞かなくなりましたが、派遣制度に内在する問題はまだ色々とあると思います。派遣制度が悪いというのではなく、見直す点があるということです。政権交代が行われ、今後派遣制度がどのように変容していくのかは不明ですが、制度自体をなくすのではなく、しっかりとした見直しにより、より良い制度になって欲しいと思います。

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健康保険組合の7割が赤字

2009-09-12 | 社会保険
 健保、7割が赤字 08年度3000億円、高齢者医療費重く

 大企業の会社員らが入る健康保険組合の財政が悪化している。全国組織の健康保険組合連合会が11日まとめた全国1497組合の2008年度決算によると、経常収支は合計3060億円の赤字だった。赤字は6年ぶり。黒字を確保した組合は約3割にとどまった。高齢者医療の負担金が1年で約4200億円増えたことが主因。他の公的医療保険も財政悪化は深刻で、医療費増をどう賄うか新政権の課題が改めて鮮明になった。

 健保連の集計によると、現役社員やその家族向けの医療費支出が3兆2869億円と3.1%増えたほか、高齢者の医療費を賄うための拠出金(2兆7461億円)が18.3%の大幅増となり、収支を圧迫した。一部の組合が保険料率を引き上げたことから、保険料収入は6兆1934億円と前年度比2.4%増となったものの、支出増を賄いきれず、全体の68.8%にあたる1030組合が赤字となった。赤字組合の割合は前年度に比べて22.7ポイント上昇した。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090912AT3S1102611092009.html

 医療費の増加への対応は今後の早急な課題ですね。超高齢社会が進行する中、医療費は今後減るということはあまり考えられません。協会けんぽの健康保険料も9月から都道府県ごとの料率となりますが、北海道は全国で一番高い料率となっています。ただこの料率でも急激な負担増にならないよう抑えて設定された保険料率となっていますので、北海道の場合、実際の医療費との関係からいくともっと高い保険料率となります。健康保険制度は相互扶助の精神で成り立っているものです。制度の仕組みをもう一度見直す必要もあるのではないかと思います。

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じん肺闘病苦で自殺を労災認定

2009-09-11 | 労災
 じん肺:「闘病苦で自殺」と遺族の訴え認める 福井地裁

 じん肺の男性(当時76歳)が自殺したのは闘病苦でうつ病になったのが原因として、男性の妻(82)=福井県大野市=が国に遺族補償年金などの不支給処分取り消しを求めた裁判の判決が9日、福井地裁であり、坪井宣幸裁判長は自殺とじん肺の因果関係を認め、不支給処分を取り消した。

 判決によると、男性は1953~71年のうちの7年3カ月間、各地のトンネル工事に従事してじん肺を発症し、85年に国の認定を受けた。その後の闘病生活でうつ病にかかり、98年5月に自宅で首つり自殺した。

 遺族側は「じん肺による死の恐怖や闘病苦からうつ病を発症し自殺した」と主張したが、国側は「うつ病の発症前に、じん肺の症状急変や極度の苦痛発生は認められない」と反論していた。

 坪井裁判長は「じん肺の病状や療養で受けていた心理的負荷は、うつ病を発症させる程度に重く、自殺に至った」とした。

 判決に、遺族側の代理人弁護士は「じん肺の苦しみを真正面から受け止めた判決だ」と評価。男性の長女(49)は「父の苦しむ姿を長い間見ていたので、本当にうれしい。国は控訴しないでほしい」と話した。

 一方、名古屋法務局訟務部の井上雅樹訟務管理官は「判決の内容を十分に検討し、関係機関と協議した上で控訴するかどうかを判断します」とコメントした。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090910k0000e040010000c.html

 労災による疾病、闘病苦と自殺の因果関係を認めた珍しい判決だと思います。じん肺による労災対象者については世間でもかなり認知がされてきていると思いますが、それに対するフォローはまだ行き届いていない部分もあるように思います。今後国にはこのあたりのフォローに力を入れて欲しいと思います。

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2009年度最低賃金が平均で時給10円引き上げ

2009-09-02 | 労務管理
 09年度最低賃金、平均10円上昇 厚労省集計、45都道府県で上げ

 厚生労働省は1日、2009年度の地域別最低賃金額の改正状況をまとめた。全国平均で時給10円が引き上げられ、最低賃金は平均713円となり過去最高を更新した。民主党は「全国平均で時給1000円の最低賃金を目指す」とマニフェスト(政権公約)に掲げている。低所得者への配慮と中小零細企業の経営との折り合いをどう付けていくのかが課題となる。

 最低賃金は07年度に平均14円、08年度は16円引き上げられており、3年連続で大幅な引き上げとなった。新しい賃金は9月末~10月に都道府県ごとに適用される予定だ。

 新潟、岐阜を除く45都道府県で最低賃金が上がる見通しで、上げ幅は1~25円。改正後、最も高くなるのは東京都の791円。最も低いのは沖縄、佐賀、長崎、宮崎の4県で629円となる。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090902AT3S0101N01092009.html

 今年度の最低賃金改定も大幅な引き上げとなる都道府県が多いようです。北海道でも現行の667円から11円引き上げられ、678円となります。民主党が政権をとり、今後ますます引き上げの動きというのは活発になることが考えられます。労働者にとってはもちろんいいことなのですが、事業者サイドにとってはこう毎年大幅な増加改定が行われることは望ましいことではありません。賃金を上げて、消費意欲を促進するというのも分かるのですが、そもそも雇用されている会社が存続しなければ意味がないですし、賃金を上げることにより従業員数を維持できず、解雇者が出るようなことになれば本末転倒です。ある程度までの引き上げは必要なのかもしれませんが、やはり限度があるように思います。

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