生活政治学研究所

福岡市議会議員「外井(とい)京子」の
 ひとりごと、政策提案、活動報告
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学校樹木への農薬散布や床ワックスが、化学物質過敏症を引き起こすー06年6月議会一般質問②

2006-07-13 21:47:27 | 議会関係
発達・成長過程にあるこどもは、化学物質によって脳や神経へのダメージを受けると、修復不可能となってしまうことから、保育園・幼稚園、学校など、子どもが長時間過ごす場所では、すでに発症してしまっている児童・生徒への対応はもちろんのこと、すべてのこどもについて、化学物質にさらされる危険性を最小限にし、化学物質過敏症の発症を予防するという「予防原則」の考え方に立つことが重要です。

 特に学校の樹木などに散布される農薬、床材に塗布されるワックスなどは、化学物質過敏症の原因となる危険性が高いことが指摘されています。化学物質過敏症対策は、発症者への対応だけでなく、発症を予防するという「予防原則」に立って考えることが必要です。
 
福岡市では、今年度から、学校樹木への定期的な農薬散布をやめたとのこと。これは評価できます。
 今後は、できる限り農薬散布はしないこと、やむを得ず散布する場合には、休日など児童生徒の登校しない日に行うこと、散布の日時・場所・薬剤について事前に保護者や周辺住民に知らせることを徹底させ、さらに、農薬を使わない防除方法である、虫のついた葉や枝を剪定する捕殺、こもまき、たいまつによる焼却などの方法で、早期の害虫防除を行うようにしていくことを求めました。

校舎床へのワックス塗布は、定期的に塗布するのか、何回塗布するのか、どの製品を使うのかは、各学校が備品の予算内で決めているとのこと。
 教育委員会としては、シックハウス対応のワックスを使うこと、生徒のいないときに塗布すること、塗布は教職員が行うこと、と指示しているとのこと。
 しかし、年に2回の塗布が習慣になっているような学校もあり、ワックスが子どもたちに与える害についてや塗布する必要性についてあらためて考えるといったことが、各学校でなされているかは疑問です。
 子どもたちが化学物質にさらされる危険を少しでも少なくするために、ワックス塗布についても、「できる限りワックス塗布は行わない」という方針を、教育委員会として各学校に対してはっきりと示すことを求めました。
 その上で、どうしても塗布の必要があると判断した場合には、天然成分によるワックスを使用するよう各学校に通知することも求めました。

化学物質過敏症を発症してしまった児童・生徒への対策として、教科書のインクからの揮発による被害の軽減策が必要です。
 保護者からは「学校に申し出れば3月の終わりか4月の初めには教科書をもらえるが、晴れた日が少ないと十分な天日干しができないまま新学期が始まってしまい、4月は目が開けられないほどの刺激があって教科書が使えない。学校に申し出ても校長の移動時期だったりすると3月には対応してもらえず、担任が決まってから、担任に言ってくれと言われたこともある。学校に教科書が届いていても引渡しの日が過ぎるまでは教科書販売会社のものなので、勝手に開けて渡すことはできないと言われた。もっと早くに教科書をもらえないだろうか。」との意見が、私たちのところにも寄せられています。
 教科書の出版会社53社が加盟する社団法人教科書協会は、平成15年から3年間「教科書改善のための調査研究」の委嘱を文部科学省から受け、化学物質過敏症の児童生徒の体調不良と教科書との関係についての調査を行いました。その結果、天日干し本、コピー本、消臭紙カバー本などはいずれも一定の効果があったと報告されています。
 今年3月に策定された愛知県の「学校における室内空気中化学物質対策マニュアル」では、指定日以前に教科書を欲しいとの申し出が保護者からあった場合には、取り次ぎ店に協力を要請するなどして適切に対応すること、全項コピー本などの化学物質対応の教科書の配布については教科書協会に問い合わせるようにと、具体的に示されています。
 福岡市においても、教科書を早期に保護者に手渡すことができるよう、また、一人一人の症状にあわせた対応ができるよう、対応のしかたを各学校に具体的に示すとともに、保護者に対しても積極的に情報提供していくことを求めました。


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