魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

老人釣り

2012年02月05日 | 日記・エッセイ・コラム

団塊世代の還暦をターゲットにした商戦が失敗したのに、団塊が65才を迎える今年こそはと、各企業は再び「シニア市場」を狙っているそうだ。

はっきり言って「また失敗する」
こういう発想自体が、海外売り込み競争「負け続け」の原因だ。

見える魚は釣れない
魚釣りをする時、見えている魚の前に釣り糸を垂れて、飛びついてくるような魚は、食べられないような雑魚だ。
大物を狙う時は、見えない相手の存在を推理し、相手の気持ちになって、さりげなく仕掛ける。

魚は自分のペースで、自分が探した餌だと思ってゆっくり食いついてくる・・・と言っても、魚釣りの趣味はない。
子供の頃は釣りに熱中して、池や川にブユに咬まれながら毎日のように通ったが、大人のようには釣れなかった。以来、釣りはしていないが、大人になって初めて、なぜ釣れなかったのかが解ってきた。

人も魚も同じだ。人が一杯いるから一人ぐらい買ってくれるだろう、とか、うちの弁当は美味いから誰でも欲しがるはずだ、といった安易な商売は必ず失敗する。これは相手の立場で考えていないからだ。

人の心を捉えるのは、テストの答えを書くのとは違う。当たり前の約束された答えを探すのではない。
相手の心を手探りで知り、その人の気持ちに合わせて寄り添う。
こういう能力は学力優等生には身につかないが、ナンパ師は見事にマスターしている。実践を通し自分でノウハウを身につけるからだ。

ナンパや営業能力は教室では身につかない。たった一つ必要なものは「勇気」だ。
旧日本陸軍の、抜刀して敵陣に飛び込む精神は、機関銃の前には無力だったが、戦後の高度成長期の、海外売り込みには役立った。

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
答えがわかるまで売り込みに動かない日本企業は、偏差値教育の害毒が組織の隅々まで回っている。3Dも、有機ELも、後手後手になった。

戦後、起業した企業も、30年もすれば、成績優秀な新入社員ばかりになり、保身術だけが出世の能力になった。その結果が今日の日本企業や、日本の政治になった。過去30年は、戦後の遺産の食いつぶしに過ぎない。

ところで、シニア層から金を絞り出したいなら、ゆとり金を狙うのではなく、老後の不安を取り除くことだ。
そういう意味では、保険のかけ直しや、介護付きマンションも良いかも知れないが・・・ あ、この先は、言わんとこ