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【トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2014】『馬々と人間たち』 (2013) / アイスランド・ドイツ

2014-02-12 | 洋画(あ行)


原題: Hross i oss / Of Horses and Men
監督: ベネディクト・エルリングソン
出演: イングヴァル・E・シグルズソン 、シャーロッテ・ボーヴィング 、ステイン・アルマン・マグノソン 、ヘルギ・ビョルンソン
観賞劇場: ユーロスペース

「トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2014」 公式サイトはこちら。

晩秋から初冬にかけてのある小さな村でのお話。とはいうもののそこは広大なアイスランド、隣人たちは互いに双眼鏡で繋がっている。村人は野生のアイスランド馬を調教し、時には観光客相手のホースツアーで生計をたてている。
隣人同士の諍い、恋のさやあて、のんべえ爺さんの困った行状など、いつの世でも起こりうることが日々の営みの中で繰り返されながら厳しい自然のなか、人々と馬たちが逞しく生きている。ところがところが・・・?!
(TNLF2014 サイトより)



実はこれ、昨年のTIFFでもコンペ部門に入ってたんですけどスケジュール合わなくて行けず。紹介文読んだだけでも面白そうだし、それにスチール写真からしてとってもとってもやばいじゃないですか(笑)こんな写真使っちゃうんだーってもうわくわくで(爆)
今回ノーザンライツで上映あるってわかって、這ってでも行かないとと思いました。そしてそれは大正解。

のどかな、とってもひなびたとでも言えばいいのか、それでも厳しそうな大自然の中で馬と人間が一緒に生活をする。馬は人間たちの生活の糧となっていたり、あるいは日常生活に必要なツールでもあったりする。しかし馬は馬、彼らだって立派に生きている存在なので、当然のことながら動物としての生態がある。お馬さんの生態、それはそれは生々しいとかたくましいとでも言おうか、それはまさに「本能のまま」。人間の都合などお構いなしなのである。

しかしながら、過酷な自然の中で生きて行くには馬の力を借りないといけない土地に住む人々にとっては、馬は操るべきものであり、使いこなして行ってしまうものでもある。どうしたって人間の方が「雇い主」「飼い主」としての上位に来てしまう訳なんですね。だから人間の方針からはみ出てしまった馬に対しては、人間は非常に厳しい判断をすることもある。自分が生き残るために馬を利用することもある。馬はそれには一切逆らえないというところがとても切ない。もし自分がこの中に出てくる馬たちのどれかだったら、そんな役目絶対に嫌だ!って言いたくなるシーンがある。誰が好き好んでこんな人のためにいろいろ辛く使われないといけないのか?そう思っても馬は言えない。そもそも「戦馬」なんて言葉すらあるくらいなのに。

人のために犠牲にさせられて死んでいく、それでもじっと黙って文句ひとつも言わない馬たちって本当に素晴らしい。だからこそ彼らが本能のままにふるまったっていいじゃないかという気にもなる。コミカルなシーンだったら思いっきり笑えばいい、だけど馬の営みと、人の営み、一体どこが違うのか?
恋をして、相手を狩りたい、モノにしたいと思うことに馬と人との違いはない。そこが本作が抜群に面白い理由なんじゃないかと思う。何が?とか、何故?とかじゃなくて、本能としての抜群の面白さ。馬も人間も本能なのよ。自分がいいものを得たい、生きるために必死、そして堂々と死ぬ。その繰り返しなのに何でこんなに面白いんだろうかと。
違いがあるとすれば、社会的なことに対して人というものは実にちっぽけな、邪な気分を使うことだけ。隣の人はああだこうだとか、未亡人だけどあの女には負けたくないとか、稼ぎ頭を手放さないといけないとか、何が何でも酒が欲しいとか。馬なんてそんなこと思わないよ。馬よりよっぽど怪しい人間たちの世界、純粋な馬に絶対負けてる人間様たち、恥ずかしくなってくるくらい人は澱んでいる。

くだらないことに振り回されている人間たちを尻目に、必死に生きる馬たちに対して生まれてくる尊敬の気持ち。ここまで崇高な気持ちにさせてくれる動物映画はなかなかお目にかかれない。私は動物を扱った映画(特に邦画!)が好きじゃないことが多いんだけど、理由は「人間の範疇の動物しか描いてないから」。人の都合のいい様にしか描かれない動物映画にはうんざりしていたんですが、これは全く違う視点から描いている。完全な馬目線からの馬映画であると同時に、人との距離感や相互の見方なども入っているところが今までになかった斬新な視点。馬を必要としていて馬よりも上位にいるのは人間なのに、馬の方が黙って生きる指針を見せてくれているなんて。これは馬好きな人なら他にも山ほど語ることもあると思うけど、逆に馬のことなんて何にもわからない人が見ても間違いなく面白い。たぶん動物としての本能の部分で絶対に面白いはずなんだよね。


★★★★★ 5/5点







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6 Comments

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傑作 (とらねこ)
2014-02-26 08:10:03
これは本当に素晴らしかったですね。
おっしゃる通り人間の営みから見た馬じゃないんですよね。そして人間もまた本能に従って生き物で。何ら変わりがないものとして並列されていました。
邦画の動物モノは「人間目線の動物物語だ」というのは言い得ていると思います。私の母親は何も考えていないので「お母さんはねー、動物が出てくる映画が好きよ♪」なんて言ってて呆れてしまったのだけれど(爆)
とらねこさん (rose_chocolat)
2014-03-02 10:45:57
傑作だったねえこれは。
馬の目線、馬の気持ち。馬じゃないのに切々と来ました。
馬だってしたいこといっぱいあるに違いないと思うんだよね。そういう視点でたっぷり見せていただいて満足です。

邦画は、動物ものもだけど、子どもものもそうで、「やたら可愛らしきもの」として持ち上げられてるのが不自然なんだよね。
不思議な映画でした (maru♪)
2014-11-11 00:20:24
TB&コメントありがとうございました!

不思議な映画でした・・・
全てが自分の日常とかけはなれていて、馬と人間の関係がおもしろかったです!
roseさんがおっしゃるように、馬の方が人間をやれやれと見ているような(笑)

衝撃的なシーンもありますが、淡々とした語り口で、時々クスッとなりながら見ることができました♪
maru♪ちゃん (rose_chocolat)
2014-11-20 10:14:52
こういうのすごく好きです。
なんか、真面目なようで、笑われてる人間たちっていう図式が面白かった。
もう1回行きたい!
こんにちは。 (えい)
2015-01-12 14:41:39
いやあ、とんでもなく遅くなりました。
高評価ですね。
2014ベストにも入っているのかな?

のちほど、またおじゃまします!
えいさん (rose_chocolat)
2015-01-16 09:28:37
そうです、4位に入れました!
この、何とも言えない感じが好きなんですよ。

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