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『マーサ、あるいはマーシー・メイ』 (2011) / アメリカ

2013-03-19 | 洋画(ま行)


原題: MARTHA MARCY MAY MARLENE
監督: ショーン・ダーキン
出演: エリザベス・オルセン 、ジョン・ホークス 、サラ・ポールソン 、ヒュー・ダンシー
観賞劇場: シネマート新宿

公式サイトはこちら。


あらすじ: 森の中を追跡してくる男たちをかわし、カルト教団のコミューンから脱出した20歳の女性マーサ(エリザベス・オルセン)。唯一の家族である姉のもとを訪ねる彼女だったが、姉夫婦は何も尋ねずに受け入れてくれる。美しい湖のほとりに建つ屋敷で姉夫婦と暮らし始め、安らぎを感じるようになっていくマーサ。だが、徐々にマーシー・メイという名前で呼ばれていたコミューンでの異様な日々の記憶がフラッシュバックしてくる。やがて彼女は、妄想と現実、過去と現在、さらには自分がマーサとマーシー・メイのどちらなのか判別できなくなる。(シネマトゥデイより)


映画は静かなトーンで始まる。しかしその静けさの中にもすぐに異様さがあることが感じ取れる。それは何をどうということではなく、マーサの何気ない言葉や態度の中にある。一見とても普通にマーサがそれらの動作をしていくので、見ている側もどうかするとそのままやり過ごしそうになるが、しばらく経つとマーサの行動の不可解さに気がつくような仕掛けになっている。
例えばマーサが湖で泳ぐ時に水着を着ないシーン。その動作がとても自然なのでするすると進みそうなのだけど、姉の一言で観客も我に帰る。人前で泳ぐ時に水着をつけないのは常識的にはおかしいのだと。

裏を返せば、「常識的におかしい」行為がカルト教団(とあとになって観客も気がつく。)の内部で行われていたことになる。
マーサがどうしてここにやってきたのか、その詳細は一切語られないが、いぶかりながらも自然に馴染んでしまう彼女の様子は、今までの暮らしでは得られなかったものがそこに存在したことを示している。親元や姉の元から姿を消すほどの理由、そして彼女が教団で経験したことに矛盾を感じて逃げ出すいきさつは殆ど描写がないが、逆にそれが観客の想像力を掻き立てられることとなって興味深い。

ぬくもりや繋がりを求めてやってきた教団。しかしそこにあったのは支配者層のエゴだけではなかったか。
「愛」を餌に繋ぎとめ、プライドをくすぐることによって客から内部の人間へと変化させようとする手口は洗脳そのもの。そして教団の出来事に参加させられた彼女が見たものは到底精神的に耐えられないものだった。
その日々に疑問を感じたマーサが姉の元に身を寄せて、「普通の生活」に戻ろうとしても、どこかで洗脳時のフラッシュバックが揺さぶりをかけてくる。この描写がとにかくリアルなのだ。たぶんこんな状況になってしまったら、自分ももしかして引き戻されてしまうかもしれないし、甘い言葉で偽られていたあの日々を思わず懐かしく思ってしまうのではないかと。過去と現在のクロスオーバーの描写で彼女の深い病理がわかる。

マーサが犯してしまったささやかな失態、そしてますます強くなるフラッシュバックの症状がラストへと拍車をかけていく。果たして彼女はこれからどんな日々を送るのだろうかと観客は予想するのだけど、実は最後は梯子を外した展開になっている。しかしながらこの尻切れトンボのようなラストが、より一層の不安感を醸し出している。余計なものを一切省き、十分に計算された秀作と見た。


★★★★ 4/5点





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4 Comments

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こんばんは (ノラネコ)
2013-04-10 23:56:48
これは力作。
カルトを描いた作品は多々あれど、ここまで個人の内面に寄り添った作品は観た事がありません。
鮮やかなラストカットまで、目が離せませんでした。
エリザベス・オルセンが大化けするかもしれません。
ノラネコさん (rose_chocolat)
2013-04-12 07:36:40
そう。これはよかった。
あのラストですよね。
あれ? ここで終わり? って思っても、その余韻に意味を持たせているのが凄い。
エリザベス・オルセン、どうなるんでしょうね。楽しみです。
こんばんは! (ヒロ之)
2013-08-26 23:23:31
コメント有難うございました!
逃げ出してきたマーサは姉夫婦の元でどう生きていくのか。
でもあそこで体験した出来事が忘れられず、フラッシュバックに悩まされ続けさせられる。
このまま一般女性として過ごす事は可能なのか否かなのかと色々と考えさせられる作品ではありました。
映像も現実と過去を頻繁に切り替え、見る側にもマーサと同じ気持ちを体感させる手法は中々の秀逸だと感じました。
ラストシーンは嫌な余韻を残させてくれましたね。
ヒロ之さん (rose_chocolat)
2013-08-27 22:43:42
マーサは、姉夫婦の下であのままはいられないでしょうね。
あれからどうなるのか。
マーサも姉夫婦ももしかしたらこの世に存在しないようになっちゃったらどうしましょう・・・ という想像もできちゃう。
怖いですよねえ。

そんな不気味さすらも思わせるというか、「観客の想像に任せる」という結末の、いい意味での使い方だなあと思いました。

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