Nice One!! @goo

観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

【フランス映画祭2014】『間奏曲はパリで』 (2013) / フランス

2014-06-29 | 洋画(か行)


原題: La Ritournelle
監督: マルク・フィトゥシ
出演: イザベル・ユペール、ジャン=ピエール・ダルッサン、ピオ・マルマイ、ミカエル・ニクヴィスト

【フランス映画祭2014】『間奏曲はパリで』ページはこちら。




50代の夫婦、ブリジットとグザヴィエは牛の畜産を営んでいる。仕事は順調だけれど、子どもは家を出て、夫婦2人だけの暮らしに何となく慣れない日々。そんなある時、近所でパリからやって来た若者の誕生パーティーが開かれ、ブリジットは25歳の魅力的なパリジャン、スタンに出会う。何とも言えない欲望と期待を胸に秘め、夫に嘘をついてパリへと出かけるブリジットだが...。(フランス映画祭公式サイトより)


イザベル・ユペールって、何本か作品は観ているけどどれも重たかったりキツい役ばっかりだったかも。『眠れる美女』『皇帝と公爵』『愛、アムール』『3人のアンヌ』『ヴィオレッタ』、どれもシビアというかシリアスというか。『3人のアンヌ』がコメディエンヌっぽいけどすっきりとした笑いとは言えないかな。
そんなイメージを一新させてくれる内容だった、この『間奏曲はパリで』 、すごくすごく楽しかった。そして奥が深い・・・と思わせる内容でした。

「ブリジットとグザヴィエは牛の畜産を営んでいる」ということなんですけど、どう見てもブリジットの服装が畜産農家で普段牛のお世話をするときに着るにはお洒落過ぎるんですよね。ブランド物っぽいしどう考えても外出用みたいで。牛のお世話をする手つきも何となくぎこちなくて、あんまり自分の家の仕事には積極的にお手伝いして来なかったのかなとも思えてしまったり。しかし今考えるとこれが物語の伏線でした。それでも牛の出産シーンで実際にイザベル・ユペールとジャン=ピエール・ダルッサンが介助していたのは何気にすごいと思ったけどね。

家の商売も軌道に乗っているようだし、経済的にも不自由はなさそうだし、悠々自適に暮らせてるのにそれでも何かが物足りない。今までひたすら連れ添ってきて、子どもも育てて家も手伝い、それが当たり前だと思って生きてきたけれどそれだけでいいのだろうか。こんな想いを抱えながら生きる女性たちは結構いるように思える。ルーティンワークとして生きがいに感じられればいいのだけど、そうできない人ももちろんいる。そのこと自体は何らおかしくはないと思うけど、自分の意思に沿わないことが苦痛ならばそこからどう脱却していくかを考えて行かないといけないだろう。

こうして書いてみると出口のない重めなテーマに見えるのに、そこをマルク・フィトゥシ監督はさらりとしたコメディで軽々と飛び越えてしまう。これこそが本作の醍醐味。
日常を彩ってくれるものは街角に溢れているという意味での音楽の使い方がいい。スーパーで流れる音楽、車の中での音楽、忘れかけていた自分の感情を掻き立ててくれるエッセンスとしての現れ方である。そこからスタンとの出会いにもつながっていき、更にパリ行きへとつながるきっかけとなっていく。最初の目的とはまた違った方向に行ってしまうのは確かに想定外だけど、果たしてあんな魅力的な出会いがあったら? と考えると、旅というものの持つ魔力について改めて考えさせられてしまう。一生に何度こんな出会いがあるだろうかと思う気持ちを、どこかに潜めながら人は皆生きているから。

それはグザヴィエにも言えることで、彼だってブリジットのことを責めきれないからこそ、今まで自分がしてきたことは本当は正しかったのか?と旅をしながら考えていくんですね。だから飛び出していった息子の元に向かっていく。親の意に反した息子の気持ちが、ブリジットのささやかで切ない反抗を見たからこそはっきりとわかってきて、これからも2人でトランポリンのように行きつ戻りつしながらも前に進むしかないと悟っていくのでしょう。

敢えてこうした情事ものにつきものの修羅場や喧嘩を入れなかったというマルク・フィトゥシ監督。「暴力は避けるようにしている」とのポリシーに基づいた作品を観ていると、その作風も一理あると思わせる。派手でわかりやすい感情を爆発させるシーンの多用ではなく、あくまでもアクセントとして間接的に出すことによって、人物たちの心の動きがしっかりと見えてくる。ガソリンスタンドの行きずりの夫婦のシーンは、一般的に流されてしまう光景を対比として出すことによって、自分たちの今後の生き方の指針をきちんと目指す方に向けていく。
長年連れ添った夫婦ならではの厄介な、解決に骨が折れそうな問題を受け流し、あくまで大人に穏やかにコミカルに描く。イザベル・ユペールの「大人可愛さ」にも注目ですね。公開未定とのことですがとても素敵な作品でした。


★★★★☆ 4.5/5点







Comments (2)   Trackbacks (2)   この記事についてブログを書く
« 【フランス映画祭2014】『グ... | TOP | 【フランス映画祭2014】『ジ... »
最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (とらねこ)
2015-04-28 15:10:49
これもすごく良かったですね。
想像以上にずっと面白くて、しかも深かった。
ユペールさんの服は、確かに田舎にしてはお洒落だけど、彼女の元々の性格が田舎住まいにしては本も読んだり、教養のある人という設定で
フランス人ならではのセンスの良さに感じましたので
物語そのもののリアリティを疑問に思うほどではなかったかな。
とらねこさん (rose_chocolat)
2015-05-01 09:03:26
去年のフランス映画祭で観て、なんともまあフランス映画らしい大人コメディかと思った。
日本じゃこういう風にさっくりとは描けないですよね。
フランスはそれだけこういった問題を真剣に考えられる土壌なんだと思います。

post a comment

Recent Entries | 洋画(か行)

2 Trackbacks

映画:間奏曲はパリで La ritournelle 大人のための、ちょっとした小品。 (日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~)
2度のカンヌ主演賞を授与されている イザベル・ユペール Isabelle Huppert(写真:左)が主演。 ちょっとしたきっかけから、パリへの一人旅行をでっちあげ実行するイザベル。 (もっともそのウソは直ぐにバレてしまうのだが) ノルマンディで畜産業を営むダンナ= ジャ...
「間奏曲はパリで」 (ヨーロッパ映画を観よう!)
「La ritournelle」…aka「Paris Follies」2014 フランス グザヴィエとブリジット夫婦はノルマンディで畜産業を営んでいる。子供たちが巣立ったため夫婦の会話は乏しい。そんなある日、ブリジットは隣に住むローレットの姪マリオンが開いたパーティに呼ばれ、パリから...