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『ムード・インディゴ うたかたの日々』 (2013) / フランス

2013-09-17 | 洋画(ま行)


原題: L'ECUME DES JOURS
監督: ミシェル・ゴンドリー
出演: ロマン・デュリス 、オドレイ・トトゥ 、ガド・エルマレ 、オマール・シー 、フィリップ・トレトン 、アイサ・マイガ
試写会場: アンスティチュ・フランセ東京

映画『ムード・インディゴ うたかたの日々』公式サイトはこちら。(2013年10月5日公開)



フランス・パリ。働かなくてもいいほどの資産を持ち自由を謳歌していたコラン(ロマン・デュリス)は、純真な心を持つクロエ(オドレイ・トトゥ)と出会い恋に落ちる。そして二人は友人たちに祝福されながら結婚。しかし幸せに満ちた日々も束の間、クロエは肺に睡蓮が芽吹く奇病に罹る。治療費が高額なため財産は底をつき、働きに出るコラン。それでもクロエは日に日に衰弱していく。やがて彼らの周囲まで影響を及ぼすまでになる。コランに残されたのは、クロエへの愛だけだった……。(Movie Walkerより)



終映後に菊地成孔氏によるトークショーがついた試写会。しかも場所も日仏だったりして、フランス映画に浸るにはぴったりな試写なのではないだろうか。キャパが少ないので早めに行かないと満席になってしまうんだけど。

原作は、フランスの作家ボリス・ヴィアンの「日々の泡」。転じて「うたかた」というタイトルが訳にはつくことが多いらしい。




ロマン・デュリス&オドレイ・トトゥという「絵に描いたような美男美女カップル」が、自分たちの念願が叶って嬉しくて仕方がない様子が映像の際部からにじみ出てくるように映画は始まる。自分たちもだけど周囲も彼らを応援して、小道具まで浮かれているように見せるのはいつものゴンドリーっぽい演出。

「大切なことは二つだけ。どんな流儀であれ、きれいな女の子との恋愛。そしてニューオーリンズの音楽。つまりデューク・エリントンの音楽。ほかのものは消えていい。」(「うたかたの日々」光文社 野崎歓訳より)

日本語訳の冒頭に上のセリフが出てくるが、結局のところこれがこの映画の全てだったようにも思う。
人生はうたかた、まして恋愛のような熱に浮かされるものほどその泡は儚さを一層増す。きれいな女の子も、デューク・エリントンの音楽も、過ぎ去ってしまえばひとときの夢に過ぎない。



完璧に思えた人生のはずなのに、いつの間にかどこかで何かが動き始めていて、しかもそれが取り返しのつかない形になって目の前に現れる。
その前兆は映画の中でも確かにあって、例えばシミ1つない綺麗な画像や、パーフェクトなフィギュアの人間だったりインテリアだったり、そういったものにいつの間にか斑点が浮き出てしまっていたり、うっすらと埃がたまっていたりする。しかしそれは大したことがないと考えている間に、実はだんだんと侵食されて行ってしまう。気がつかないうちに時は流れ、完璧なものが壊れゆく悲劇が進行している。
だから通しで見ていると、一体この冒頭の幸福感というのはどこに消えてしまったのだろう?と思うくらい、結末の惨さが際立ってしまう。そして観客はこう思う。「これはハッピーなはずではなかったのか?最初のあの2人の姿は一体どこに消えたのだろう?」

「肺に睡蓮が芽吹く奇病」と聞いて真っ先に思い出したのは「肺にキノコが生える病気」だが、睡蓮が咲いてしまうというのは想像しただけで(ご本人にしてみたら大変なことなのだけど)もしかしたら絵的には美しくなってしまいそう。しかもそれが美女に起こる訳で。しかしこの「美しいもの」と「美しく聞こえるもの」のコラボは美しくはならない。むしろそこが不幸の始まりとなっている。どうにかして食い止めたいと奔走するコランは最早クロエへの愛だけで生かされてしまっている。
結末に向かうにつれて密かな望みが断たれ、「滅びの美学」すら感じさせる沈黙の映像の中に、否応なしに見せつけられる現実を感じる。永遠は決してない、目の前を過ぎていくものは全てうたかたの中に閉じ込められる。当たり前の残酷なことをこれだけゆっくりと、じっくりと知らされるしんどさも含めて、その現実を突き付けている作品なのだろう。

観終わった後だから言えることだけど、この世界を語る上で「ロマン・デュリス&オドレイ・トトゥ」以上のキャスティングは考えられない。美が変化していく過程を表すには最適。
予告動画にも出てくるが、ゴンドリー監督ならではの伏線たっぷりの遊び心あふれた数々のオマージュも、あらすじを際立たせる効果が大いにある。タイプライターを何故あんなに大勢で打ち回しているのか、最初は順調に流れていてもそれが途切れ、文字を打ちきれない者が現れるということも、皮肉に見えるが絶対的な現実でしかない。計算された数々の伏線、1つ1つ楽しめば微笑ましく面白いのだけど、同時に現実に向かって少しずつ内容が変わったり、その遊び心自体が少なくなったりなど、あらすじと同時に伏線がどう変化していくかを考えるのも、本作を知る助けになることだろう。






終映後に菊地成孔氏によるトークショーを開催。

「ゴンドリーがビョークのMVを昔作っていて、この映画はそれに非常に雰囲気が似ている。このMVの雰囲気をずーっと長時間作りたかったんじゃないかという気もするくらいなので調べてみてください」
とのコメントでしたので、調べてみたらこんなものが出てきました。MVはこれのことかどうかはちょっと不明なのですが。





確かに夢見がちにポップな映像にも関わらず、どこか深く想い悩むようなタッチに仕上がっている。音楽的にも(適当な表現じゃじゃないかもしれないけど)「方向性がよくわからない感じ」なのが似ているような気が。
なのでこの方向性がハマった人ほど、この映画もきっと感性に合うという感じになるのだろうか。


 


氏曰く、「ゴンドリー監督がデューク・エリントンに非常に敬意を払って作った作品」ということでした。
とにかく菊地氏の解説が細かくてわかりやすく、内容もレベルが高いものですっかり嬉しくなる。一見の試写会のお客さんにもこんなにきちんとお話ししてくれるっていうのもちょっとなかなかないトークショーの内容でした。

帰り際に出口で原作本を売っていたので購入。帯も映画仕様で可愛い!
これはそのうちゆっくりと読みたいと思っています。


★★★★ 4/5点






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10 Comments

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うたかた (ノルウェーまだ~む)
2013-09-23 12:10:53
roseさん☆
この前話されていた映画は、なかなか高評価だったのですねー
ラストはバッドエンドなのかな?
方向性がぴったりハマルかどうかが問題ですね。
ノルウェーまだ~むさん (rose_chocolat)
2013-09-25 13:28:51
ラストは見てのお楽しみ!
何と言うか、後からじわじわと来る映画でしたね。
ありがとうございました♪ (とらねこ)
2013-10-06 01:31:51
いつもお世話になってますー。今回、完全版で見れて本当~に良かった!感謝感激です。
私はPV時代のゴンドリーが好きな人なので、思いっきりハマっちゃいましたが、他の皆は気に入ってもらえるのか、弱冠不安…。
これ、もしかしたら好き嫌いあるタイプかもしれませんよね。
とらねこさん (rose_chocolat)
2013-10-06 20:39:26
完全版の試写でよかったですよね。じっくり味わえましたし。

>もしかしたら好き嫌いあるタイプかもしれませんよね
私もそう思った。
私は観た直後は「???」だったけど、後からじんわり来てましたね。
他の人はどうなんだろうね・・・。
漂うような (q人が夢を見るから儚いんだよね)
2013-10-25 15:38:49
さすがroseさん!記事が上手いなぁ
私なんかさー おふんす語、わかんないのに
観ちゃったんだけど
まず 音楽がやられたな
ジャズピアノを弾いている私にとって
デューク・エリントンの名曲「Mood Indigo」
これで決まっちゃったもん
ロマン・デュリスとオドレイ・トトゥって
2人揃うと 濃い~~~のに
何故か この画に似合いまくってた
小道具っていうのかなぁ ああいうので
がらっ!とイメージが変わっちゃうのね
そういう遊びを含めた心理とかも良かったなぁ

ミシェル・ゴンドリーって 
ビョークのMV・・・知らなかった!!!!

人が夢を見るから 「儚い」んだよね
 
qちゃん (rose_chocolat)
2013-10-26 20:30:03
ジャズやってるんだ!すごーい。
どこまで多趣味なのよーqちゃんてば!
私はジャズに詳しくないもんで、そこら辺がもっとわかってたらもっとしっかり記事書けたんじゃないかなと思うんだけど、これが限界かな。

>何故か この画に似合いまくってた
そうなんですよね。
イメージが全てと言ってもいいくらいのこの作品。何気なく出てくる小物でさえも、意味があるところがすごくて、
裏を返すと難解の原因にもなっちゃってる訳なんだけど。
人生は儚いもんですよ。
Unknown (margot2005)
2013-12-29 00:31:30
こんばんは。
TBありがとう。

ファンタジーは好きってわけでもないのですが、ミシェル・ゴンドリーの描く世界は素敵ですね。

>夢見がちにポップな映像にも関わらず、どこか深く想い悩むような...
同感です。想い悩むロマンが可哀想でした。
margot2005さん (rose_chocolat)
2013-12-29 15:42:12
>ミシェル・ゴンドリーの描く世界
彼独特の表現が、この原作に合っていたような気がしました。
うまくマッチした映像で、幸せから不幸への心情も伝わってくるんですよね。
またまたお邪魔します^^ (latifa)
2014-04-21 14:48:08
roseさん、これ日仏学院?でご覧になられたのね、いいなー!なんかお洒落な雰囲気ですよね、あそこ。

音楽には詳しくないんだけど、いつも横浜のTVKでやってる、洋楽ベスト40みたいな番組を見続けていて、90年代前半の頃、ビョークのMV面白いので、楽しく見ていて、その監督が、ゴンドリー監督って知った時(エターナル・サンシャイン)、おおおー!という驚きがありました。

本作は、前半は楽しく好きだったんだけど、後半が淋しく悲しいままで終わったのが・・・ちょっと残念でした。
latifaさん (rose_chocolat)
2014-04-22 09:27:04
日仏は雰囲気ありますよね。
トークショーつきで背景もよくわかり、大変いい試写でした。

ゴンドリーにPV作ってもらえるなんて、この上ない幸せでしょうね。

後半、確かに悲しくなりますが、トータルで見るとそこが完成度の見せどころだったんじゃないだろうかと思いました。

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