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【PFF_2012】『贖罪』映画祭バージョン

2012-09-22 | 邦画(か行・さ行)


監督・脚本: 黒沢清
原作: 湊かなえ
出演: 小泉今日子 、蒼井 優 、小池栄子 、安藤サクラ 、池脇千鶴 、森山未來 、水橋研二 、加瀬亮 、長谷川朝晴 、伊藤 歩 、新井浩文 、田中哲司 、香川照之
観賞劇場: 東京国立近代美術館フィルムセンター 小ホール

連続ドラマW「贖罪」WOWOWオンライン 公式サイトはこちら。

第34回ぴあフィルムフェスティバル『贖罪』ページはこちら。



 



このドラマのことは知らなかったんですが、PFFで映画祭バージョン上映があるということで行って来ました。
小泉さんのエピソードがまず柱として中心にあり、そこから計5つの話が派生して、それぞれ独立した形としてWOWOWでは放映されたものが今回映画祭バージョンとしてまとめられ、上映時間も300分から270分に編集されて特別に公開されました。
時間がなかったので上映後の黒沢監督のトークショーはパスしてしまいましたが、1時間以上あったそうです。
原作も時間があったら読んでみたいですね。


15年前、ある田舎町で小学生の少女エミリ(木村葉月)が男に連れ去られ、殺される事件が発生した。直前までいっしょに遊んでいた仲良しの小学生4人(小俣絵里佳、木村真那月、菊池和澄、柴田杏花)は第一発見者になる。犯人は見つからず、事件は迷宮入り。エミリの母・麻子(小泉今日子)は、目撃した犯人の顔をよく思い出せない4人を責め「犯人を見つけなさい。でなければ、私が納得できるような“償い”をしなさい。」と激情の言葉を投げつける。事件への恐怖、麻子の言葉へのショックを抱えながら、それぞれの道を歩み大人になった4人(蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴)。「“償い”とは何か?」という呪縛にとらわれてきた彼女たちは、やがて連鎖する悲劇を引き寄せていく。(公式サイトより)


まずは出演者の顔触れを見てほしいのだけど、日本映画界を代表すると言ってもいいくらいのメンバー。
これだけの役者を結果的に一堂にまとめてしまったのだから、必然的に厚みがある作品になる訳で、上映時間も270分と長めにすることにより見応えがあるものができあがったように思う。


恐らくこの少女たちの事件当時の年齢は10歳くらいだったと思うが、その頃に受けた影響というものは意外と後々まで残ることも多いように思う。
まだ反抗期には少し早い世代なので大人たちの言うことが素直に聞けたりする反面、人の言葉を額面通りに受け止めてしまう。自分たちが関わりがあったり責任があったりする場合、真面目な子どもなら一心に受け止めそうな内容でもある。
私たちにも関係がある、エミリちゃんに申し訳ない。償いをしなさいとエミリちゃんのお母さんにも言われた・・・。
たった1つの言葉が、心に与える影響。言葉を発した方も当然真剣なはずだけど、受けた方はその何倍もの重みを抱えなくてはいけない。しかも相手は子どもである。純粋な分、償い方についても当然考える訳で、そこまで子どもたちを追い詰めてしまった麻子も罪作りである。


4人の少女たちは、15年後、それぞれに成長していくが、当然として抱えたままの「贖罪」が彼女たちの人生を縛り付ける。

<第1話 フランス人形>
紗英もまた相当なトラウマを背負って生きてきた。そんな彼女に降りかかった話だけど、その実態が明らかになるにつれて慄然とさせられる。
世の中にはそんな人間もいるものかもしれない、とわかっていても、若く美しく前途がある紗英には辛いことであり、その辛さを背負うことが償いなのだろうか。
『百万円と苦虫女』コンビである蒼井優と森山未來、息も合っているように思える。

<第2話 PTA臨時総会>
真紀の不自然なくらいの几帳面さの裏側には、厳格さがあるのかとも一見思うのだけど、実はその奥には15年前の一連の出来事に対しての拒絶から来る暴力性が隠されている。
そのことに最後まで責任を持って対峙した真紀だったが、それ故に他からの圧力に倒れてしまう。

<第3話 くまの兄妹>
晶子も極めて真摯に「贖罪」を受け止めてしまっている。彼女は兄の連れ後の若葉のなかにエミリちゃんを見たのだろう。そして何があっても若葉を守ると。
このエピソードの中では加瀬くんの暴力性も目立っていたように思う。

<第4話 とつきとおか>
個人的にはこのエピソードが最も印象に残る。これまでの3人と違う点は、由佳は「贖罪」について、自分の身を犠牲にしてまでという気はさらさらないことだ。
しかしながら彼女の思考回路はどこか歪んでいるようにも見える。「取られてばかりの人生」というのはそのまま姉に対しての恨みでもあったけど、唯一由佳の心に触れたあの警察官の手のぬくもりだけは離したくない。その想いが由佳に人生のアウトロー的な道を歩かせているようにも思うのである。

<最終話 償い>
そして話は麻子に集結する。
4人に償いを要求した結果、今度はその4人に対しても償いをしなくてはいけなくなった麻子の悲劇はまさに因果なものだろう。
そして最終的には償える場所すらも見い出せなくなる。
手軽に償うことを要求した結果なのだろうか。言葉で人を縛ることの恐ろしさ、加害者は忘れてしまうけど被害者はずっとそれに縛られる。



言葉というものの拘束力を改めて知らされる作品でもありました。何気なく感情に任せて口走る言葉達。勢いに任せて言ったつもりが、相手の人生を左右するものだったとしたら。拘束するつもりもないのに言葉だけが先走って行くことに、言葉を発した本人は気がつかない。
そして、一体その言葉の何が正解なんだろうと自問自答してみても、対象者が「違う」と言ってしまっては贖罪の意味がなくなる。相手の望むようにしてきたけど違う。自分が苦しんだ日は何だったのかと考えてみても、成り行きでそうなってしまった以上後戻りはできない。
そうやって4人が苦しむこと自体が贖罪だとしても、麻子自身がこれから先に苦しむ人生を歩むことになって跳ね返って来ているのだから。


さすがに270分ともなると休憩が2回もあり、長いなという印象もなくはない。
そして音声が10か所くらい途切れてしまったのも残念。今時これほど多い音声の途切れは驚きます。10か所くらいあったかな。
4本の映画をそれぞれ見ているかのように違和感がなく、故に編集しやすいのかもしれませんが、それでもこれだけ空白の音声が多いと集中力が途切れるんでしょうね。致し方ないようにも思えますが。
じっくりと細部まで書き込んだのは、テレビ放映ならではのことだと思います。
それを1つの映画にした訳ですから、ともすると散漫になりがちな長さでもあり内容でもありますが、長すぎる部分があったとしてもおかしくなくて、それでも今が旬の日本の若手女優たちと、それを引っ張る小泉さんの大人な感覚との競演でしょう。
そこをまとめているのは監督の手腕。監督は俳優さんたちからも絶大なる信用を得ている訳で、その信頼感が画面から伝わってくるような作品でした。


★★★☆ 3.5/5点






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2 Comments

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ありがとうございます! (ボー)
2012-09-28 00:06:06
記事になったー!

麻子は罪作りですよね。感情に任せたといっても、子ども相手ですもん。
考えてみれば、償えったって、犯人探しのほかには、何をしたらいいのか。

各パートで、ひとりずつの女優さんが主役を張る、そんな面白さもありました。

音声途切れは多かったですよね。セリフが消えたりしたら、それこそ「償いなさい」ですよ。…返金とか?(笑)
ボーさん (rose_chocolat)
2012-09-28 08:03:06
そうです。罪作りですよね麻子は。
でもそういう人は結構いそうです。
重大なことになると我を忘れるというかね。

見どころはたっぷりでしたが、さすがにこれだけ長いと1つにまとめるのも大変だったと思う。あくまでもドラマとしての作りだからね。
それでも最後のキョンキョンのシーンも圧巻でした。

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