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【ららヨコハマ映画祭2013】『この空の花 長岡花火物語』 (2012) / 日本

2013-03-24 | 邦画(か行・さ行)

監督: 大林宣彦
出演: 松雪泰子 、高嶋政宏 、原田夏希 、尾美としのり 、草刈正雄 、柄本明 、富司純子
観賞劇場: TOHOシネマズららぽーと横浜

公式サイトはこちら。


これも昨年公開時に見逃したもので、映画祭で後追い鑑賞することができました。タイミングよくて何より、これを逃したらほぼ劇場鑑賞は難しかっただけに喜びもひとしお。
そもそも、AKB48のシングル「So Long!」DVD特典で大林監督の64分バージョンのMVを見て、その元となる本作を観なくてはと思っただけに、このタイミングでららの映画祭に来てくれたのは本当にラッキー。

とにかく、何と言っても160分という長尺に渡って映画が訴えていたことはたった1つ、「反戦」。
東日本大震災と第2次世界大戦とを結び付ける設定が数多くなされている(こじつけとも思えなくもないけれど、そこは大林監督の手法なので)。
主人公の玲子の出身地を長崎などに設定して原爆の説明をしたり、玲子の元恋人・片山の出身地を山古志にして、そこで長崎出身の玲子と接点を持たせる。舞台の長岡市は戦時中に大空襲が行われた場所であり、また東日本大震災のに際しては被災者を多く受け入れたことを取り上げて、東日本大震災と第2次世界大戦とをリンクさせている。

これだけの要素がたっぷりと詰め込まれているのだから尺が長くなるのは当然で、そこに大林監督のご説明というか、注釈が必ず入ってくる。なので解りやすいのだけど、どうかするとパンフレット的な流れになってくる。これは作風なので如何ともしがたい訳なのだが。
しかしそこは大スペクタクルとでも言えばいいのか、途中の屋外劇などはメインテーマであるところの戦争反対に基づいた、れっきとした「演劇」にもなっている。この劇の主人公である女子学生・元木花(猪俣南)の存在がどこか浮世離れしているところが何となく空恐ろしい存在で、かえって凄みを増している。花は過去と現在を行き来して、それぞれの場面の人物たちに間接的に戦争反対を訴える役割。現在が遠藤玲子、片山健一、井上和歌子らによる「戦争を語り継ぐ」者たち、そして過去では元木リリ子、野瀬清治郎ら「戦争体験を持つ」者たち。この間を自由に行き来して花は訴えていく。

もう二度と戦争をしてはいけない、死者たちの鎮魂のための真っ白な花火は胸に突き刺さるような光を放つ。
この映画の製作から2年、本公開から1年経った今、本作を見てみると、作り始めた2年前よりもキナ臭い報道がなされている今でこそより現実的にこのメッセージが響いてくるということだ。戦いはしたくはない、しかし戦争はいつの間にかできるような体制を整えてしまっている。自分たちにはその気はないのに賛成派がお膳立てをしていくのが戦争というものだ。本気で戦争が嫌なら、例えばの話、本作のような作品を毎日1度、全ての映画館で流すくらいの試みをしていかないと人々の記憶からは忘れ去られてしまうのではないか。
人は過ちの歴史を繰り返すのに、同時にそれはないであろうとたかをくくっている生き物でもある。この真っ直ぐなメッセージをどこまで届けることができるのだろうか。本作を観た者、携わった者たちはそれを繋いで行く役割があるのだろう。


★★★★☆ 4.5/5点




<追記>
この2月に発売されたAKB48の「So Long!」(DVD付きは3タイプあるが、もし購入するならば個人的には『シュガー・ラッシュ』MVが入っているTYPE-Bを映画好きさんにはお勧めしたい)で大林監督にMV依頼が来た時、このシングルを通じて確実にこの想いを拡散できると監督は踏んだのではないだろうか。大人気でシングルメガヒット確実のAKB48なら多くの人がDVDを観るに違いない、だったら彼女たちにこの想いを表現してもらえばいいのではないか。渡辺麻友と松井珠理奈という、AKB内でも「次世代を担う者たち」を主演に据えることによってMVの思惑も実現でき、映画側とCD側の両者にとっても都合がいい企画である。
きっかけはあくまで企画かもしれないが、しかしでき上がった彼女たちのMVは立派に「長岡花火物語」であった。福島県相馬市からの避難者役の松井の表情は、避難できて安心ではあるけど常に悲しげで不安をたたえている。監督は彼女の中に第2の元木花を見出したのだろう。






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6 Comments

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 (とらねこ)
2013-04-07 21:40:29
roseさん、こんばんは。
大林宣彦監督がAKBの監督をする!?なんてtwitterで読んで驚いたんですけど、なるほどそういうことだったんですね

映画でやっちゃいけないようなこと、ちょっと普通ではないこと、「ダサい」と思われるようなことが次から次へと行われていることに、ある種ショックを受けました
でもそれでいいんですよね。映画が一つの文法でなくたって、ルール違反だって構わない。
「壊すことで創造する」ということを知ってる監督だと思います。
メッセージが膨大過ぎて、受け止めるのにこちらは必死になって向かっていかなきゃいけないんですね。
素晴らしい作品でした。最高です!
こんばんは (ノラネコ)
2013-04-07 22:07:46
スクリーンで観られて良かったですね。
これはやはり暗闇の中で多くの人々と体験を共有したい映画です。
AKBのPV観た人たちもこっちに興味を持ってくれたらなあ。
今の日本を象徴する傑作でした。
とらねこさん (rose_chocolat)
2013-04-08 05:50:41
これは恐らく推測ですが、大林監督にとって長岡物語を語り継ぐ媒体としては、AKBでも何でもよかったんじゃないでしょうか。
たまたまそこに企画ありき、そしてその企画が最適だったというところでしょうか。しかしながらうまいことハマったもんです。

映画のルールって、私はよくわからないけど、ここまでなりふり構わず何でもアリなのですから、受け止める側ももうお腹いっぱい(笑)
ですけど、目が離せないんですね。私たちがすっかり忘れているからでしょう。大切なことです。
ノラネコさん (rose_chocolat)
2013-04-08 05:53:41
貴重な機会を逃さず、よかったです。これはスクリーンで観ないと。花火ですしね。
日本人が観るべき作品と私は思います。理由は観た方ならおわかり下さると思います。

>AKBのPV観た人たちもこっちに興味を持ってくれたらなあ
それは本当に思います。私もそうでしたし。後追い公開とかしてくれないかな。
この怪作の中に、うまく日本の現状への批判も取り込んでいますね。ここまでファンタジーに包むとすんなりと納得出来ちゃうのが不思議です。
 (えい)
2013-04-11 21:52:11
rose_chocolatさんからいただいたコメントの中に、

>公開が終わってしまうともう忘れられてしまう。それを防ぐための、大林監督によるAKBシングルMV参加だったのかなとも思うのです。

との一文が…。
なるほどなと…。
大林宣彦監督の言動、行動には
いつも深く感じ入るところが多いです。
えいさん (rose_chocolat)
2013-04-12 07:47:47
忘れないために、今一度AKBのMVで拡散する。
よくよく考えてみるとその意味もあるんじゃないかと思うんですよね。

でも、このMVに大林監督を起用した方は凄いと思います。
そこまで見通してらしたのかな?
例え企画側で見通してなかったとしても、大林監督の頭の中には瞬時にプランは浮かんだのでしょう。
どんぴしゃりな企画でしたので、機会がありましたらMVもご覧下さい。64分ですのでちゃんとした作品ですよ。

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