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これをやってはいけない!波照間島 ~離島のマナーについて考える~

2016年09月07日 | 以前の八重山旅行

※2023年8月更新
(この記事は2016年9月に初投稿してから、時々、更新しています)

本来、遠く離れた遥か南の島だろうが都会に住んでいようが「やってはけいない」事は同じなんだが、最近は「法律で禁じられていないだろ」とか「ふさわしくないがこれは合法」(笑)とか、「書いてないからOKだ」「教えてもらってません(キリッ)」という人たちも一定数居て、そういう人が島に渡ってくると島の文化と衝突し何かとトラブルを起こすことが増えてきているようなので、私が思う離島での注意事項をここに書いておきます。


もちろん私は、島の人間でも無いただの観光客ですから、偉そうな事を言える立場ではないのですが、これから離島を訪れる人たちが、知らなかったばかりに島の人たちとトラブルになるような事が一つでも減ればいいなぁと願って記事を書きました。

波照間島の「やってはいけない十か条」 


1.法律に触れる行為はやってはいけない 
島には駐在所が1か所、お巡りさんが拳銃1丁(たぶん)で治安を守っています。当たり前ですが波照間島も日本国憲法の下、各種法律法令の対象になります。
旅の開放感からか、ノーヘル運転とか飲酒運転とか、これ絶対禁止。波照間島には信号機はありません。レンタルサイクルもバイクも同じ、ニシハマへと続く下り坂、結構スピードが出てるから出会いがしらに衝突すると大きな事故になりかねません。そうなると島には簡易な診療所が一つだけ、もしそこで手が施せないとなると自衛隊のヘリで石垣島か沖縄本島へ緊急搬送ですが、重篤な場合だと間に合わないケースも出てくるでしょう。加害者になっても被害者になってもつまらないです。当たり前ですが交通法規、日本の法律を守りましょう。

2023年5月追記
島在住の方から悲鳴が届きました。
20代後半の男女が「波照間ってノーヘル/飲酒運転OKなんですよねー」と言われ絶句。どうやら本気でそう思っていたそうで「取り締まりが厳しいですよ」と伝えたそうです。
 
 (ニシハマを鑑賞する、いや監視する島に唯一のお巡りさん)


2.立ち入り禁止とされる場所に入っていかない 
立ち入ってはいけないとされる場所は大きく分けて二つ。ひとつはあなたにとって危険な場所。もうひとつは島の伝統として島外の人の立ち入りを遠慮してほしい場所。どちらもすべての個所に「立ち入り禁止」とは書いてあるわけではありません。
しかし「書いてないからOK」ではないのです。逆に入っていいか、このまま進んでも大丈夫かと島の人に聞いて、大丈夫と言われた場所以外は全て禁止だと考えたほうが懸命です。
あの開放的なニシハマでさえ、場所によっては離岸流など複雑な潮の流れがあり今までに何人もの人が溺れています。宿の人に今日は泳いでいいか、沖合の波や風はどうか、と確認してから泳ぎましょう。

そして御嶽(うたき)と呼ばれる、琉球信仰において祭祀を行う神聖で大切な場所が島にはあります。
昔、その「御嶽(うたき)」を「滝」かと思って水着で行った観光客が居る、と笑い話に聞きました。そこは島の聖域として島の人も限られた際にしか入りません、マジ笑い話では済まないです。あなたに何かがとり憑いて帰ってくるかもしれません(笑)
 
(高那崎、御嶽ではありませんが周囲に柵もなく足場もギザギザでサンダルで近づくのはとても危険です) 


3.飲んで騒がない、外泊しない 
島の宿はほぼすべてが民宿です。民宿に泊まり、夜出かけて飲んだまま帰ってこない人が居ますが、これは宿のおばあが大変困ります。
自分が泊まっている宿以外で寝込んだり、ほかの旅人達と仲良くなって朝までオールとか。普通、家に居て無断外泊したら家族は心配するでしょう。それと同じことです。
夜遅くまでサトウキビ畑で音楽かけながら飲んで騒いでいたら、普通に通報されます。一人しかいないお巡りさんも出動せざるをえませんし、あなたの宿のおばあはあとで島の人から怒られます。おばあは、あなたの島での保護者なのです、心配や迷惑をかけてはいけません。


4.水着で村内をウロウロしない 
最近ではそれを注意する看板やポスターも各地で見かけるようになりましたが、まだまだこういう人、多いようです。水着はニシハマのみです。島の小学生ですら海パン一丁で村内を走り回るようなことはしません。注1 村内で上半身裸で刺青をみせたり半裸同様のビキニで歩く姿を、島の人たちは快く思いません。

またラッシュガードのような肌を見せないタイプであっても、濡れたまま砂まみれでお店に入ってはいけません。ニシハマのシャワーでちゃんと落として乾かしてから行きましょう。離島ターミナルは「海の家」ではありません、旅客の為の待合所です。畳や椅子に濡れたまま座るのは迷惑です。またニシハマから近い名石部落のお店も同様に「濡れた水着で入店禁止」と書く店が増えています。

※注1
初稿の本文中には「ぶらく」内で・・と書いていたのですが、gooブログはその「ぶらく」という漢字を勝手に非表示にしているようなので「村内」と追記しました。ここでいう「ぶらく」とは、地方の人たちが普段から使っている「古くからの人の集まり、"部分集落"」を意味するものです。
今でも波照間島の人たちは日常会話の中で「北、南、前、名石、冨嘉」と5つの地域をそれぞれ"〇〇ぶらく"と呼ぶことが多いです。


5.台風や荒天の時には島に行かない 
「大丈夫、大丈夫」というやつに限って、宿が決まっていなかったり安栄観光に文句言ったり。
高速船の1便で渡る際「今日は荒れると2便以降は欠航しますが」と言われた日帰り客も一緒。島は野宿やキャンプ禁止、公共施設に泊まることもできません。船は頻繁にそして簡単に欠航します、root66調べでは2015年7月の高速船運航率は50%でした。風が吹くと1週間くらい簡単に欠航します。

そして、台風が発生すると島の人から次の便が最後、これで帰るようにと促されます。島民も自分たちのことで精いっぱいです。大型台風だと命の危険があります。観光客は必ず帰りましょう。たとえ宿に残っているように見える人が居ても、彼らは台風後の復旧に備え待機している沖縄電力の職員とか、通信インフラの社員です。
どうしても残るというやつは、おばあに100万円くらい渡して「死んでも死ななくてもこれでよろしく」というくらいの覚悟で残ってください。


ここまではネットでもよく見かける注意事項の代表的なものです。

もしあなたが過去に、水着のままノーヘルでバイク乗ってよその宿に行って花火して朝まで酒飲んで帰ってこなかった奴だったとしたら、次はまず新コート盛で一晩正座し反省するところから始めてください。


続いて、ネットではあまり見かけないけど私が気になった点を挙げていきます。


6.ニシハマでドローン 
うるさいので嫌われます。確かにあの風景を上空から撮ってみたい映像に残しておきたい、という気持ちはよく分かりますが、ニシハマはのんびり静かに過ごす場所。モーター音のする大きな装置は他の観光客にも迷惑です。
古い方なら知っていると思いますが、昔、ニシハマの沖合を水上バイクで走り回った島の人に、観光客が立ち向かった「逆、島の掟」とも言うべき「水上バイク事件」という歴史があります。今の静かで自由なニシハマは、そういった人たちの努力の結果だと感謝しましょう。

2016年時点では、波照間でポケモンGOは禁止ではありませんが、島内にポケストップは無いようです。上述したように島では立ち入り禁止の場所も多いですし、スマホ越しにあまりウロウロしないほうがいいと思います。星空観測タワーの周りとか足場も悪いですから、高那崎あたりから海に落ちたら確実にあの世へGOです(笑)遺体もあがらないでしょう。
 


7.できるだけ高額紙幣は使わない 
島の金融機関、ATMは郵便局に1か所だけ。沖縄本島か石垣島で両替していきましょう。商店や宿で高額紙幣は嫌われます。あなたにとっては一回切りの事かもしれませんが次から次へと一万円札を出されると大変困ります。
商売でやっている限り釣銭を切らすことは避けたいところですが、島の人も容易に両替ができません。店番しながら郵便局に行くこともままならず、また高速船が到着すると一気に客がやってくる関係から、両替代わりに1万円札で200円のかき氷とか50円のゆでたまごを買うのは止めておきましょう。
海畑でそば食って700円、はい一万円、これ繰り返されると、今後そばが1万円になりますw 

2017年1月追記
島のJAにもATMがありました。ただし土日祝休み、平日も16時まで。 

2022年追記
波照間島フェリーターミナルの売店「海畑」(イノー)は閉店しました。


8.ゴミを捨てて帰るな 
島で買ったものならまだしも、島外から持ち込んで島にゴミ捨ててくる日帰り客。離島ターミナルにはゴミ箱はありません。離島の売店で買ったものはその店で捨ててもらえます。だから外からゴミ持ってきた奴は捨てるところに困って、ターミナルに放置して帰ります。ひどいのは石垣島で東横インのタオルを盗んできてトイレで体を洗いそのままトイレに放置してくるバカ、お前だ!お前!
日帰りで来て「ニシハマ最高ー」とかネットに書いてるくせに、その島にゴミを捨てて帰るな!
 
(離島ターミナルのベンチにゴミを放置) 


9.客だからといって売店で大きな態度をとらない 
島にはコンビニはありません。共同売店になります。共同売店とは島の地区住民が出資して生活用品を確保するために構えたお店です。
もちろん、店にとっても観光客によってもたらされる現金収入はありがたい話ではあります。しかし、そもそもが一般観光客を対象にしたお店ではないため、数量は限られている上、品揃えは島の生活物資に偏っています。消費期限でさえ正しく守られていない商品もあります。(滅多に出ないホカロンとか、数年前に期限切れてるw)

それを、都会のコンビニのような品質管理と接客を求めるほうが間違っているのです。台風の時に居座って限られたカップ麺を買い占めてるバカや観光案内所と勘違いしてる人はヤギにかじられてください。あとレジでお金投げる奴も、どうせ投げるなら一万円札を「釣りは要らない、とっておきなさい」くらいの度量を見せるべきでしょう。どちらかといえば物資を分けてもらってると思ったほうが正しいくらいです。

とは言え、普通に接し普通に訪れる分には、店の人たちは観光客にとても優しいです。シエスタ(昼休憩)に入っても対応してくれるし、泡波が入ったよ、と教えてくれたりもします。
丁寧に付き合えばこその信頼関係なのです。

2017年2月追記
「共同売店マップ」 共同売店ファンクラブ オフィシャルガイドブックなんてものがあるそうで、島の方から写真を頂きました。
 
2023年8月追記
この夏、「Z字」に移動した台風6号(カーヌン)は沖縄地方にも長く影響を及ぼしました。波照間島在住の方とツイート(X)で会話したところによると5日振りにようやく船が運航したそうです。ところが、その船に積まれてきた生鮮食料品を、その船に乗ってきた観光客にまとめ買いされてしまったそうです。
5日間も輸送が止まったら島の物資は厳しくなります。当然、島の住人達も久しぶりに届いた食料品を心待ちにしていたでしょう。
それを、その船で来た観光客が買い占めてしまった・・・。石垣島から渡ってくるのですから、野菜などの生鮮品はサンエーやかねひででもある程度は手に入るはずだと思います。「売ってるから買ってる」のでしょうが、あとから共同売店を訪れた島の人たちはさぞかしがっかりした事でしょう。


10.ネットの記事を鵜呑みにしない 
ネットにはキュレーションサイトが数多くあります。これは誰かが書いたブログや情報をかき集めて「まとめサイト」のように紹介するものです。
その多くは、他人が書いた情報を引用する形で書かれており、サイト独自の取材は行っていません。従って間違ったものや古い情報が、最新の日付でまとめられていることもあります。
そうしたネット情報を鵜呑みにして島を訪れた際、「間違っている」「店が開いていない」「話が違う」と、島の人に苦情を言うのはやめましょう。離島はゆるーい感じで営業してます。島で行事(祭事や運動会)があれば店を閉めてそちらに参加してますし、HPに載っている時間とか関係なく急に休みます。
ネット上のどこかで適当な記事が書かれていたとしても、島の人とかまったく関係ありません。その店が今日営業するかしないかは、島の人でさえ知らないことが多いのです。

ちなみに、最近見かけた記事では、「波照間島星空観測タワー周辺のグルメスポット」として、竹富島のそば処「竹の子」が紹介されていました。これは波照間島も竹富島も同じ「竹富町」だからと適当にネット検索しただけで掲載しているのではないか、と疑ってしまうような記事でした。
波照間島の観測タワーから竹富島に行くには片道2、3時間はかかるでしょう。それを「島グルメを食べるなら、外せないのが「そば処竹の子」です」と表現すること自体、実際に行ったこともないままに書いている証左でしょう。
 

また、幻の酒「泡波」を波照間酒造所に一升瓶もっていけば分けてくれる、なんて間違った情報が広がってしまったこともあります。現在ではそのような販売方法はありません。
このような適当な記事を信じ間違っていても売店や島の人に八つ当たりするのはやめましょう。

2016年12月追記
無断引用や信憑性の乏しい記事をかき集めたと炎上しているDeNA「WELQ問題」に伴い、同社が経営する旅系キュレーションサイト「Find Travel」も閉鎖になりました。
本文中に書いた、"島グルメを食べるなら、外せないのが「そば処竹の子」です" の元記事はFind Travelのものでしたので現在は閉鎖され記事は掲載されていません。 



せっかく遊びに行ったのに、「あれはいけない、これをやってはダメだ」と言われると面白くないし、場合によっては気分を害する事もあるでしょう。
まだ比較的新しい宿や観光客に特化したお店は、島外から来た移住者の方が経営していることも多いので、都会風に観光客にも慣れた接客をされています。しかし島民の中には「ゆるーい感じ」で生きている人も居て、酔っ払って管を巻いたり約束を守らなかったりと、てーげー(いい加減)さにイラッとする場面も多々あります。

しかし、それも含めて離島の魅力です。初めて波照間を訪れる方は島にお邪魔する気持ちで「島の人に尋ねる、お礼を言う、感謝する」を守ればきっと素敵な旅行になると思います。

この美しい島が、いつまでも続きますように。

コメント (10)
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