選択的夫婦別姓制度の議論で慎重派が主張の根拠として取り上げる内閣府の世論調査の公平性が問題視されている。設問を変更した直近の調査では、制度への賛成が大幅に減少。推進派議員らは、法務省側が慎重派議員に配慮して設問を変更した結果、調査結果に影響を与えたと批判する。(坂田奈央)
◆賛成が42%から28%に急低下
「恣意(しい)的な圧力があったのではないかと考えざるを得ない」。8日の参院法務委員会で、立憲民主党の田島麻衣子氏は、2021年に内閣府が実施した選択的夫婦別姓制度に関する調査についてただした。
田島氏が問題視するのは、法制審議会が同制度導入の民法改正案を答申した1996年から内閣府がおよそ5年ごとに実施する「家族の法制に関する世論調査」。直近の2021年調査で「導入賛成」が28.9%と前回2017年調査の42.5%から急落し、過去最低となった。石破茂首相は1月27日の衆院本会議で「夫婦の氏のあり方については、2021年の世論調査を見ても、国民の意見が分かれている」と述べるよう、政府の慎重な姿勢の根拠としてきた。
だが、この調査で賛成が大きく減った理由の一つとして考えられるのが、前回調査からの設問変更だ。2017年までの5回の調査では、夫婦の姓が違うことで影響があるかどうかを聞いた上で選択的夫婦別姓制度の賛否をを問う形だった。だが2020、2021年調査は夫婦の姓が違うことによる子への影響が「ある」と答えた人に、さらに影響の内容を複数選ばせる問いを新設。その上で制度への賛否を聞いた。
◆野田氏「世論調査の設問が変わること自体が変」
影響の具体的な内容は、
(1)親と姓が異なることを指摘されて嫌な思いをし、対人関係で心理的不安が生じる
(2)姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える
(3)家族の一体感が失われて子の健全な育成が阻害される
…の3つ。
(1)親と姓が異なることを指摘されて嫌な思いをし、対人関係で心理的不安が生じる
(2)姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える
(3)家族の一体感が失われて子の健全な育成が阻害される
…の3つ。
なぜ、20年間使った設問が変わったのか。
田島氏は昨年12月の参院法務委で、2021年調査開始前の野田聖子男女共同参画担当相(当時)と法務省民事局長との面会記録を提示。記録からは、慎重派議員による法務省への「圧力」にも見える働きかけが透けて見える。「過去の世論調査は別氏賛成派に傾きすぎた内容だとの批判を受けている」「保守派との関係でもたないと思う」と民事局長は野田氏に複数の議員名(文書では黒塗り)を挙げて説明していた。
野田氏は東京新聞の取材に「定点観測するための世論調査の設問が変わること自体が変。当時『これはおかしい』と指摘した」と振り返る。だが、設問は変更されて調査が行われた。野田氏は「結果は純粋ではないと思う」と語る。
これらの疑問の声に対し、鈴木馨祐法相は昨年12月の国会審議で、新型コロナの影響で対面から郵送調査に切り替えたことに触れ「『わかりやすさ』ということで担当が適切に対応した」と妥当性を強調した。
◆「フェイクに近いような質問自体が公平でない」
設問変更について、立命館大学の二宮周平名誉教授(家族法)は「(導入に慎重な回答への)誘導効果がある」と指摘する。追加された選択肢について「いずれも主観的で根拠がない。夫婦親子は同じ姓が望ましいと刷り込む設問で、フェイクに近いような質問をすること自体が公平でない」と話す。法務省の担当者も過去の国会審議で「(選択肢は)客観的なデータ等に基づいて作成したわけではない」と答えている。
二宮氏は、現行法でも離婚後に母親が旧姓に戻した場合や事実婚などで親と子の姓が異なるケースがあることを踏まえ政府の姿勢を厳しく批判する。「いろんな家族に対する偏見を増幅するような内容を列挙していて、人権侵害にも近い」






















※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます