飛騨の山猿マーベリック新聞

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◆<東京新聞社説>衆院解散、27日総選挙へ 「裏金」に審判を下そう

2024年10月10日 10時03分14秒 | ●YAMACHANの雑記帳
 衆院が解散された。自民党派閥による裏金事件後、初めての総選挙は15日公示、27日投開票の日程で行われる。自ら定めた法律に背き、国民に隠れて違法な資金を手にした議員に、職にとどまる資格があるのか否か。審判を下すのは私たち有権者だ。
 衆院選は本来、私たちの暮らしや国の在り方に関わる政策を争点に政権を選ぶ機会だ。しかし、今回の「裏金解散」では「政治とカネ」が最大争点にならざるを得ない。いかなる政策も政治への信頼なしには遂行できないからだ。
 実質賃金が伸びない中、国民が納税の義務を果たす一方で、多くの自民党議員が長期間、組織的に脱税まがいの手法で資金を隠し続けていたのが裏金事件だ。
 裏金議員は85人。有罪が確定した2人を除き、裏金を理由に自ら辞職した議員はいない。衆参両院の政治倫理審査会への出席は約1割の9人。しかもそろって「知らぬ存ぜぬ」の弁明だった。反省しているとはとても言えない。
 岸田文雄政権の対応も極めて不十分だった。聞き取り調査では裏金づくりの経緯や実態を解明できず、国政選挙の非公認につながる処分は5人にとどまった。石破茂首相は衆院選小選挙区の非公認を12人まで広げたが、30人以上は公認される見通しだ。これでけじめをつけたと言えるのか。
 立憲民主党の野田佳彦代表は、衆院解散直前の党首討論で「首相は『相当程度が非公認になる』と言ったが、実際は大半が公認だ」と批判した。首相は「同志に対し厳しく、つらい決断だ」と反論したが、党内向けの理屈にすぎず、裏金議員の大半にお墨付きを与えたことは否定できまい。

◆長期政権の緩みと驕り

 しかも首相は、首相就任時には新しい事実が判明すれば調査するとしていた方針を覆した。
 裏金事件で政治資金規正法違反の罪に問われた旧安倍派の会計責任者の裁判で、派閥幹部による指示が認定されたものの、再調査を明言しようとしない。
 自民党に染み付いた金権体質も問われなければならない。2021年10月の前回衆院選から現在までに「政治とカネ」絡みで起訴された国会議員は裏金4人を含めて8人に上る。全員が自民党所属時の罪状である。長期政権の緩み、驕(おご)りと断じざるを得ない。
 再発防止の決意も見えない。先の通常国会での規正法改正は、自民党が野党側の要求をことごとく拒否。金権政治の温床とされる企業・団体献金の禁止、使途公開が不要な政策活動費の廃止、政治資金パーティーの抜本的な規制強化は、いずれも実現しなかった。
 若手議員のころ「平成の政治改革」の論客として知られ、総裁選でも刷新を訴えて就任した首相は党首討論で企業・団体献金は「認められるべきだ」と言明した。政策活動費の将来的な廃止検討には言及したが、政策活動費を今回の選挙にも充てる考えを示した。
 首相の変節はこれらにとどまらない。衆院解散前に予算委員会を開き、国民に選択の材料を提供するとの総裁選公約を反故(ほご)に。経済運営や外交・安全保障政策も、岸田前政権の方針を引き継ぐ「現実路線」に転じ、総裁選で訴えた独自政策の多くを棚上げした。
 首相が長年唱えてきた自説を曲げたのは、党の「顔」を代え、期待感が高いうちに短期決戦で逃げ切るという党内の大勢に屈したからにほかならない。私たち有権者はそんな筋書きに惑わされず、自民党の「中身」が変わるかどうかを見極めねばなるまい。
 自民党と対峙(たいじ)する立民は「政権交代こそ最大の政治改革」と打ち出すが、野田氏の代表就任後、保守層にも支持を広げる狙いから、政策が「現実路線」に傾き、自民党との違いが鮮明でなくなったことは否定しがたい。

◆緊張感取り戻すために

 最大の問題は、野党側が目標とする「自公の過半数割れ」が実現した場合、どんな政権ができるのか有権者に示していないことだ。立民の小選挙区候補は200人を超えたが、半数以上で日本維新の会と重複。選挙前の野党連立合意はおろか、公示までに候補者調整が大きく進む可能性も低い。
 それでも私たち有権者は変化を諦めてはならない。自民党が政権復帰した衆院選以降、8回の国政選挙で有権者のほぼ半数が棄権した結果が、裏金事件に代表される自民党の金権腐敗だ。候補者や政党の主張に耳を傾けて投票することが政治に緊張感を取り戻し、民主主義を再生する第一歩である。

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