今日はまじめにオーストラリア経済の話をしてみよう。オーストラリアの経済指標としては、小売りの対前年比、鉱工業生産などがあるだろうが、もっとも分かりやすいのが住宅ローンと住宅価格である。銀行の融資は半分程度が個人向けの住宅ローンであるため、それの良し悪しが経済全体の指標ともなる。
さて個人向けの住宅ローンは不動産売買、投資を活性化させるために史上最低レベルにある。条件により違うが、2・5%から3%程度である。住宅ローンがここまで低いと定期預金もそれにつられて下がり、0.5%程度である。百万円を定期にしても年利で5千円しかつかない。
コロナ禍で経済は最悪だが、住宅ローンが安く借りられるので不動産売買は好調で、先月の不動産価格は17年ぶりの1か月あたりの上昇となった。シドニーは1か月で3%も上がった。これがこのまま続けば1年間で30%以上上がることになる。これは異常である。
ちなみに不動産価格は都市ごと大きく異なり、シドニーの一戸建・マンションの平均値は106万豪ドル(約8千万円)、メルボルンでは82万3千ドル(約6千6百万円)である。これは住宅販売の平均値であり、一戸建てのほうがマンションよりは高い。
このために中央銀行であるリザーブ・バンクは公定歩合の引き上げを検討し始めるようだ。ただし若い夫婦が共働きで負担できるローンは、50万ドル(4千万円)くらいまでだろう。シドニーでは50万ドルでは2ベッドルームの古いマンションしか買えない。それでも毎月の返済が20-30万円は必要だろうから、かなりしんどい生活になる。