つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

イギリスの選択/Those were the days.~メリー・ホプキン。

2016年06月25日 16時57分32秒 | 手すさびにて候。
ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載第六弾は「メリー・ホプキン」。

Those were the days, my friend.
(あの頃はよかったわ、ねっ)
We thought they'd never end,
(終わりが来るなんて思っていなかった)
We'd sing and dance forever and a day,
(歌って踊る楽しい日々は永遠だと思っていた)
We'd live the life we choose,
(生き方は自分が決めるものと思っていた)
We'd fight and never lose,
(戦って負ける事など考えてもみなかった)
For we were young and sure to have our way.
(まだ若く怖いもの知らず、独りよがりでいられたわ)
(※原題:「Those were the days」。邦題:「悲しき天使」。意訳:りくすけ)

僕がこの曲に出逢ったのは、高校時代。
金沢で、中古のドーナツ盤を購入したのが最初だった。
手にするまで作品についての知識は皆無。
タイトルと女性シンガーが気に入っての、いわゆる「ジャケ買い」である。
レコード屋の店名は失念したが、ショップ近くの喫茶店に入り、
ウインナコーヒーを注文したのは、何故だかよく覚えている。 
また、蒸し暑く、薄暗かった印象があるから、
ちょうど今頃のような、梅雨時だったのかもしれない。

家に帰り、レコードに針を落とすと、
聞こえてきたのは、マイナー調のイントロ。
そこに「メリー・ホプキン」のボーカルが重なり、何とも物憂く美しい。
一聴して、スタンダードの風格があるなと思った。
事実、1968年に「ザ・ビートルズ」主催のレーベルからリリースされ、
洋の東西で大ヒットしている。
ご存知ない方は、是非、聞いてみて欲しい。

楽しかった昔を思い出し、今の境遇を憂う「悲しき天使」。
原曲はラブソングで、やはり、過去の思い出に狂おしく胸を焦がす構成。
オリジナル制作のタイミングが、20世紀初頭のロシアだったと聞けば、
成程、センチメンタルな歌の世界に合点がいく。

当時、彼の地では「社会主義革命」が胎動していた。
300年続いた「ロマノフ王朝」治世の転覆の瀬戸際である。
貴族社会の心境は、然もありなん。
歌そのものだっただろう。
そして、新政権も、言い知れぬ不安の中で舵を取ったに違いない。
踏み出した足は、前進なのか?はたまた後退なのか?
時代が大きく転換する時、未知への船出は戸惑うのが当たり前だ。

さて「メリー・ホプキン」の生まれ故郷…イギリスが大きく揺れ、戸惑っている。
2016年6月23日、EU(ヨーロッパ連合)残留か、離脱かを決める国民投票で、
離脱派が過半数を獲得した。
しかし、圧勝ではなく僅差の勝利。
もう一度行ったら、結果は逆転するかもしれない。
栄光ある孤立は、様々な意味で遺恨を遺すだろう。
個人的には、大衆に判断を委ねたのが間違いだったと思う。
数年後…「Those were the days.(あの頃はよかったわ)」と、
後悔や懐古に囚われかねないのではないだろうか。

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