つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

初めての亜米利加。~ コカ・コーラ。

2020年05月02日 21時47分21秒 | 手すさびにて候。
前回の同カテゴリー投稿< 幻想の越南。~ 回転する熱帯。>では、
小説「回転する熱帯」を取り上げた。
今回は、その本の中の一節に着想を得ている。

ここではまだアメリカは豊かさの象徴なのだ。
 日本にもそんな時代があった。日本も戦後アメリカに侵された。
 私もアメリカンカルチャーに見事にやられた。
 ベトナムは、戦争に勝ったのにアメリカンカルチャーにのまれている。
 アメリカの力は、やはり、強大だ。

(※赤文字、「回転する熱帯」より抜粋引用/原文ママ)

僕は、アメリカが豊かさの象徴だった時代を知っている。
「豊かなアメリカ」の原風景は何だろう?
--- と考え、思い浮かんだのは、半透明の緑の小瓶に入った炭酸飲料だった。

ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百三十八弾は「コカ・コーラ with チアガール」。

20世紀を代表するポップアートの巨人「アンディ・ウォーホル」はこう言った。

『この国(アメリカ)が素晴らしいのは、
 大金持ちも、貧しい消費者も、同じモノを買っているところだ。 
 例えば、TVを見ていると遊説中の大統領の映像が目に入ってくる。
 休憩中の彼が飲むのは「コカ・コーラ」。
 「エリザベス・テイラー」も幕間に喉を潤すのは「コカ・コーラ」。
 その「コカ・コーラ」を貴方も飲む事ができる。』

第二次世界大戦後。
ボトリングシステムを確立した「コカ・コーラ」は、販路を飛躍的に拡大。
覇権を握り、経済的な繁栄と楽観主義に沸き立つアメリカの勢いを追い風に、
「憧れのアメリカンライフ」の代弁者として、世界中に浸透していった。

僕が生まれた当時、空前の繁栄を謳歌した時代は過ぎようとしていた。

アフリカ系を中心にした、公民権運動。
ウーマンリヴ、女性解放運動。
「レーチェル・カーソン」の「沈黙の春」に代表される、環境保護運動。
泥沼のベトナム戦争と、反戦運動。

アメリカは、大きく揺れ動き、疲弊し始めていた。
しかし、日本の、北陸の片田舎の少年が世界情勢など推し量れるはずもなく、
大国の活躍ぶりに目を見張るばかり。

オリンピックでのメダルラッシュ。
アポロの月面着陸と宇宙開発。
ハリウッドムービーとヒットナンバーの数々。
それら、まだまだ眩しさを保つアメリカの斜陽に包まれていたのだ。

100円玉を握りしめて向かった近所の万屋の壁には、ポスター類。
「スカッとさわやかコカ・コーラ」
「Come on in Coke」のコピーが躍り、
コーク片手にガイジンのオネーさんが微笑みかけてくる。

同じ緑の小瓶を買い求め(確か1本60~70円くらいか?)、
栓抜きを使って「シュポン!」
口を付け、一気に喉へ流し込む。
襲い掛かる炭酸の刺激に顔をしかめながら、
僕は、アメリカを味わった気になって、ほくそ笑んだ。

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