つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

或る冬の日の孤独。

2017年12月16日 14時38分23秒 | 日記
季語や五・七・五の約束事を無視し
「自由律俳句」を詠んだ大正期の俳人は、次の名句を遺した。

「咳をしても一人」

わずか九音の短律には、人生という旅の終わりが透けて見える。
この句は、作者が晩年、小豆島に小さな庵を構えていた頃に詠んだもの。
身を置く僅かな空間で咳をするも、その音が響くだけ。
声を掛けてくれる人は誰もいない。
忍び寄る死を前にした孤独と達観はいかばかりかと思うが、
僕はまだ「尾崎 放哉(おざき・ほうさい)」の心境には至っていない。
幸いにして、僕の旅には連れ合いがいる。

愛犬「りくすけ」と重ねる散歩は、立派な旅だ。
たとえ距離は短くとも、何かしら発見があり、何かしら出会いがあって、
いつも楽しみが待っている。

…だから、散歩がままならない冬は寂しい。
空からは氷雨が落ちている。

「小さく吠えても一匹」


コメント
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