ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

「熱狂の日」2009(2) 村治佳織:チェンバロ協奏曲,小林道夫:イギリス組曲第4番ほか

2009-05-07 | コンサートの感想
最後に聴いたマタイから書き始めた今年のLFJ。
時間を戻して、4日に聴いた7つのコンサートの感想を数回に分けて書きます。

この日は、日頃お世話になっているMICKEYさん、ユリアヌスさんとご一緒させてもらいました。
我々にとってのオープニングコンサートは、村治佳織さんをソリストに迎えたバッハのコンチェルト。

<日時>2009年5月4日(月)9:30開演
<会場>東京国際フォーラム ホールC
<曲目>
J.S.バッハ
■ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調 BWV1048
■チェンバロ協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1053(ギター&オーケストラ版)
■チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV1056(ギター&オーケストラ版)
<演奏>
■村治佳織(ギター)
■シンフォニア・ヴァルソヴィア
■ジャン=ジャック・カントロフ(指揮)

朝9時半というのは、普段ならリハーサルどころかウォーミングアップをしている時間帯でしょう。
こんな時間に開演というのは、いかにプロとはいえ、演奏家にとって本当につらいと思います。
ブランデンブルクの3番で、ホールの音自体は少しこなれてきたはずですが、大きな拍手に迎えられて白いドレス姿で登場した村治さんの表情はいささか硬め。
ホールの大きさを考慮してでしょうか、マイクを使用しての演奏でしたが、あまり音量的にはプラスになっていませんでした。
また、このチェンバロ協奏曲のギター編曲版は技術的にもなかなか難しいところがあり、よく弾いているのですが、指が温まるまでの間に終わってしまった感じでした。
あれだけハイポジションの動きが多いと、高音を美しく確実に発音することにどうしても気を取られてしまうので、音が響かないとどうしても無理をしてしまいがちですね。
CDではあれだけ小気味よく弾ききっていたことを思うと、少々残念でした。
しかし、2番のシチリアーノ・5番のアリオーソといった緩徐楽章は、しっとりとした情感をたたえた佳演。
また別の機会(夜のコンサート等)に、是非通して聴いてみたいところです。
余談ですが、プログラムの表示は5番→2番でしたが、本番は2番→5番の順で演奏されていました。

この日二つ目のコンサートは、チェンバロの大御所小林道夫さんのイギリス組曲とフランス組曲。
<日時>2009年5月4日(月)11:15開演
<会場>東京国際フォーラム ホールG402
<曲目>
J.S.バッハ
■イギリス組曲 第4番 ヘ長調 BWV809
■フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815
■イギリス組曲 第5番 ホ短調 BWV810
(アンコール)
■オルガンのためのパストレルラより第2曲
<演奏>小林道夫(チェンバロ)

このホールG402というのは、教室あるいは会議室風の場所で、決して音響的には恵まれた会場ではありません。
しかし、どこかサロンの雰囲気を感じさせてくれるところは、なかなか得難い魅力です。チェンバロのような繊細な音色を楽しむ空間としては、むしろ良かったかもしれません。
小林さんは今年76歳になられるようですが、聴かせてもらったバッハは本当に瑞々しく素晴らしかった。
冒頭、小林さんは「リラックスして聴いてください」と語りかけるとともに、演奏曲目についてこんな話をされていました。
●イギリス組曲4番
解説には「おだやかさが特徴の」と書かれているが、決してそんなことはなく溌剌とした雰囲気もある音楽。終楽章のジーグは、モーツァルトの最後のピアノソナタとのテーマと関連があることは知っておいていただきたい。
●フランス組曲第4番
冒頭のアルマンドは、「プレリュード、フーガとアレグロ」のフーガに雰囲気がよく似ている。
●イギリス組曲第5番
ホ短調というのはマタイ受難曲に代表されるように、やはりシリアスな雰囲気をもっており、この曲も例外ではない。

さて、小林さんの演奏ですが、ひとこと「大家の至芸」とでもいうべきもの。
舞曲という性格を過剰なまでに意識した演奏や、緊張感ですべてを覆い尽くすような演奏にも出会いますが、小林さんのバッハはそれらとまさに対極にあります。
「もっとリラックスして、バッハの音楽を楽しんでください。リラックスして聴くと、いままで見えなかったものが見えてくるかもしれませんよ」と言われているような気がしました。
柔らかなタッチ、自然なアーティキュレーション、弾力性をもったリズム。
「こんなバッハなら一日中でも聴いていたい」、そんな気持ちにさせられる素敵なバッハでした。

続きは次回に。

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4 コメント

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楽しかった1日でした。 (ユリアヌス)
2009-05-09 14:20:40
romaniさんとMICKEYさんと過ごした1日は最高に楽しかったです。村治さんは、特に前半、本当に苦戦していた感じでしたね。でも後半になってだいぶ持ち直してロマンティックなバッハを聴かせてくれました。バックのオケも気遣いながらの好サポートでしたね。小林さんのチェンバロは、人柄のにじみ出た演奏でした。気負わず、自然に彼のバッハ像を見せてくれた感じです。イギリス組曲やフランス組曲のチェンバロ演奏のレコードをあらためて聴きたくなりました。
>ユリアヌスさま (romani)
2009-05-10 11:34:25
こんにちは。

4日は、本当にお世話になりました。
私にとっても最高に楽しい一日でした。本当にありがとうございました。
終演後は、いささか飲みすぎましたが…(笑)

最初のコンサートでは、ギターの繊細な音に対するヴァルソヴィアのメンバーの気遣いがびんびん伝わってきて、私も感激しました。

>小林さんのチェンバロは、人柄のにじみ出た演奏でした
まさに同感です。とくにフランス組曲が素敵でしたね。
あの小さめのホールも、ジャストフィットだったと思います。
先日はありがとうございました (MICKEY)
2009-05-10 16:52:50
今年も音楽とワイン三昧の“熱狂の一日”にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。中年三人衆の享楽ツアーも今年で2回目。LFJの楽しみ勝手も堂に入ったもので、実に盛り沢山かつ有意義な一日でしたね。romaniさんの仰るとおり、最後は完全に呑み過ぎでしたが・・・(爆)。

来年のショパンは、ピアノ好きの私にとってアドレナリン分泌過多必至のプログラムが目白押しなんでしょうね・・・今から昂奮します(笑)。またまたお付き合いくださいね。よろしくお願いします。
>MICKEYさま (romani)
2009-05-10 21:22:37
こんばんは。
先日は本当に楽しい一日を過ごさせていただきました。
今回のイベントも、チケットの手配を含めMICKEYさんのご尽力なくしては決して実現しなかったと思います。本当にありがとうございました。

「大好きな音楽を贔屓の演奏家の生演奏で一日中堪能する。そして、終演後は、ワイン片手に飲むほどに酔うほどに大好きな音楽の話で盛り上がる・・・」というのは、まさに最高の贅沢ですよね。
飲みすぎもイベントの一つだと思うようになりました。(笑)
来年も、是非よろしくお願いいたします。

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