ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

新国立劇場 ワーグナー:楽劇「ジークフリート」 2/20

2010-02-23 | オペラの感想
明日は、いよいよ真央ちゃんの登場だ。
結果なんて気にしないでいい。
思い切り青春を爆発させてください。
とくにこの1年間、貴女は誰よりも悩んだはずだし、それをエネルギーに変えて辛い練習にも耐えてきたはず。
とにかく自分のやってきたことを信じて滑ってくださいね。
鉢巻き締めて、応援してるよ。

さて、遅まきながら土曜日に観た「ジークフリート」の感想を…(汗)
結論から言ってしまうと、ひとこと、ブラーヴォ!
こんなハイレベルの上演に立ち会えたこと、しかもその上演を新国立劇場で観れたことに、私は日本人として本当に誇らしく思った。
粒揃いの歌手たち、本場ドイツのオケからもなかなか聴けないような東京フィルの素晴らしいサウンド、そして全体を重厚かつドラマティックにまとめあげたエッティンガーの確かな手腕。
うーん、素晴らしい!
演出もアバンギャルドな雰囲気ではあるが、私は好感をもった。何よりも押しつけがましくないところがいい。
おまけに、この日はセンターブロックの1列目という夢のような席だった。
舞台を観ながら、こんな幸運をもたらしてくれた神様に心から感謝した次第です。

ほとんどの場面で、舞台のセットが平面ではなく斜面になっていたのが印象的。
フラットな居場所なんてまず存在しない「今」を象徴しているのだろうか。
こんな安定しない足場にもかかわらず、あれほどの歌唱を聴かせてくれた歌手たちは、ほんと凄い。
ただ良く見ると、みんなスニーカーのような靴を履いていたっけ。
歌手の皆さんの苦労を垣間見ることができますねぇ。

この日の上演は先ほど書いたように全部素晴らしかったのだけど、とくに感銘を受けたのが第3幕。
さすらい人(=ウォータン)とエルダの会話の場面は、正直退屈することが多いが、これが素晴らしかった。
ウォータンが、どれほど我が娘ブリュンヒルデを、そして自らの分身のようなジークフリートを愛していたか思い知らされて、ジーンときた。
そしてクライマックスのジークフリートとブリュンヒルデの2重唱を迎える。
英雄ジークフリートが自分を目覚めさせてくれたことへの喜び、しかしそんなブリュンヒルデの喜びもつかの間。
時間の経過とともに、神性をはく奪されて、彼女は一人のか弱い人間になってしまった自分への嘆きを味わうことになる。
そんな陰鬱な気分の中、暗転した舞台から聴こえてくるジークフリート牧歌の何と暖かいこと。
その後の二人のやりとりが面白い。
ジークフリートが勇気を出してブリュンヒルデに迫ると、ブリュンヒルデは決まって一歩後ろへ下がる。
逆にジークフリートが一歩下がると、ブリュンヒルデが一歩前へくる。
うーん、まどろっこしいやっちゃなぁ。
あんた達は、いったい何やってんねん。
好きなら好きで、相手が逃げられんようにさっさと抱きしめんかい。
まるで、男と女の永遠の姿を見せられているみたいで面白かった。

粒揃いの歌手陣の中でもとくに印象に残ったのは、さすらい人のラシライネンとアルベリッヒのユルゲン・リン。
この二人がナイトヘーレのペンションに同宿する第2幕は、その意味でも聴きごたえがあった。

フランツのジークフリートも勿論素晴らしかったが、私は英雄としての強さを表現する部分よりも、むしろ弱音の美しさが際立っていたと思う。

終演は20時を回っていたが、あっという間の6時間(2回の休憩を含む)だった。
幕間では、yokochanさん、そしてブログで何度かコメントをいただいているIANISさんにばったり遭遇。
楽しい会話に、50分もあるインターミッションも全然長く感じない。
yokochanさんとは終演後、地下の居酒屋でさらに打ち上げ。
いやー、楽しかった。
ただでさえ大きな感動を与えてくれた公演だったのに、そんなこんなでさらに増幅されて、私の心に深く残ることになりました(笑)
感謝、感謝です。

<日時>2010年2月20日(土)14:00開演
<会場>新国立劇場
<キャスト>
【ジークフリート】クリスティアン・フランツ
【ミーメ】ヴォルフガング・シュミット
【さすらい人】ユッカ・ラシライネン
【アルベリヒ】ユルゲン・リン
【ファフナー】妻屋秀和
【エルダ】シモーネ・シュレーダー
【ブリュンヒルデ】イレーネ・テオリン
【森の小鳥】安井陽子
<演奏>
【指 揮】ダン・エッティンガー
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
<初演スタッフ>
【演 出】キース・ウォーナー
【装置・衣裳】デヴィッド・フィールディング
【照 明】ヴォルフガング・ゲッベル
【振 付】クレア・グラスキン

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6 コメント

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お疲れさまでした (yokochan)
2010-02-24 00:51:51
こんばんは。
土曜日は観劇お疲れさまでした。
そして楽しいひと時をありがとうございました。
体力を要するワーグナー上演ですが、ほんとに時間の長さを忘れさせてくれる、飽きることの決してない素晴らしい上演でした。

日本の劇場が自信をもって世界に発信できる名「リング」が来月で完成されると思うと、私もromaniさんと同様、誇らしく思います。
何度も書いてますけど、映像化してもらいたいですね。
お待ちしておりました~(笑) (KiKi)
2010-02-24 10:21:00
こんにちは♪  romani さんのこのエントリー、今日か明日かとお待ちしておりましたぁ!  今回の「ジークフリート」、KiKi はちょっと所用があって行けなかったのですけど、yokochan さんがいらっしゃるという情報はゲットしていて、月曜日に早速、あちらのブログへお邪魔したんですよね。  そしたら、romani さんと薩摩焼酎で打ち上げをしたと書いていらっしゃるじゃないですか!!  だからホント期待して待っていたんですよ(笑)

うんうん、KiKi が尊敬するお二人が声を揃えて「良かった~!」と仰っているのでこれはやっぱり見逃した KiKi は大ばか者ですねぇ。

>フラットな居場所なんてまず存在しない「今」を象徴しているのだろうか。

なるほどね。  実は KiKi は写真なんかでこの舞台の様子を見るにつけ「どうして斜めなんだろ?」と思っていたんですけど、romani さんのこのコメントを拝見して合点がいきました。  次回、「黄昏」はなんとか日程調整して行きたいなぁ。
  
>yokochanさま (romani)
2010-02-24 23:14:22
こんばんは。
20日は大変お世話になり、ありがとうございました。
「ジークフリート」を実際に舞台でみたのは初めてだったのですが、想像以上に感動しました。

>映像化してもらいたいですね
まったく同感です。楽しみに待ちましょう。
>kikiさま (romani)
2010-02-24 23:26:34
こんばんは。
コメントとTBありがとうございました。
ひょっとして、土曜日の公演にkikiさんも来られているのかなぁと思っていました。
そんな中で「良かったですよぉ」というのは誠に申し訳ないのですが、ほんと素晴らしかったです。
「黄昏」は是非ご覧になってくださいね。
私も今からワクワクしています。

それから薩摩焼酎の「赤兎馬」は、私の大のお気に入りです。
しっかり芋の威厳を保ちつつ、どこかフルーティな感触があるんです。
機会があれば是非味わってみてください。
遅まきながら・・・ (IANIS)
2010-03-01 00:38:43
こんばんは。その節は大変お世話になりました。日帰りだったもので、普通ならばYokochanさんと「帰りに一杯」のコースだったところを、今回はパスさせていただきました。それでもギリギリ(一回拍手してすぐ初台駅に駆け出しました)。次回の「黄昏」は、終電ですので、新潟ないしは燕三条まで車です。
さて、お二方の申されているとおり、「ジークフリート」、本当に楽しかった。あの舞台、いろいろDVDでそれぞれの劇場の成果を観させていただいてますが、その中でもバイロイトの舞台に匹敵する完成度の高さでした。このような上演なら「黄昏」に対する期待がさらに高まりす。
>IANISさま (romani)
2010-03-01 23:36:31
こんばんは。

20日は、思いがけずお目にかかれて光栄でした。
ほんとに素晴らしい上演でしたね。
本文にも書きましたが、日本が世界に誇れるワーグナーだと確信しました。
「事業仕訳」かなにか知りませんが、芸術の価値を理解できない輩に見せてやりたかった!

「黄昏」も、実はもうすぐですね。
新潟へ日帰りというお話ですので「帰りに一杯」はしんどいかもしれませんが、また是非アフターオペラもご一緒させてください。
ありがとうございました。

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